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「自家用電気工作物」に該当する太陽光発電の条件範囲・点検の頻度

太陽光発電

太陽光発電設備を設置する場合、法令について詳しく知らなくても、実際の運営は専門家に委託することが多いため心配はいりません。

 

細かな法令上の問題を難しいと考えるのであれば、問題が起きる前に専門家に相談することが大事ですし、設備によっては有資格者が維持点検すること(保安監督業務)が義務付けられていることがあります。

 

ここでは自家用電気工作物について解説します。

興味のある方は事前知識として。

電気工作物の種類について

電気工作物とは「電気を使用するための工作物」のことをいいます。

発電・変電・送電といった目的で利用するものは、基本的にすべて電気工作物で、太陽光発電もこれに含まれます。

 

身近なところでは、家庭用のコンセントや配電盤といった配線も電気工作物です。

無資格者が無断で増設するような行為は罰せられることがありますから注意しましょう。

電気工作物は、その出力などによって次の3つに分けられます。

一般用電気工作物

専門知識が必要のため厳密な定義は記載しませんが一般電気工作物の基準は、電気事業法の第38条と経済産業省の令によって定められています。

 

太陽光発電に限っていえば、出力50kW未満の太陽電池発電設備がこれに分類されます。

一般的に「家庭用」といわれる太陽光発電設備が10kW未満なので、一般家庭の屋根に設置されているようなタイプのほか、産業用と呼ばれる太陽光発電施設でも小規模な施設はこれに含まれます。

事業用電気工作物

法令では簡単に「一般用電気工作物以外のもの」と定義されているのが、事業用電気工作物です。

その中でも用途によって2つに分けられます。

電気事業用に供される電気工作物

事業用電気工作物の中でも、電気事業者が発電事業で利用するものを「事業用電気工作物」と呼びます。

簡単にいってしまえば電力会社が使う火力発電所や原子力発電などがこれにあたります。

自家用電気工作物

事業用電気工作物の中でも電気事業者が使わないもの、つまり工場やビルなどで使う電力施設などが「自家用電気工作物」と呼ばれます。

 

太陽光発電設備については、出力50kW以上の物がこれに当てはまります。

50kW以上というのは、太陽光発電設備の中で大きな規模になり、資金としては1000万円以上が必要です。

 

そのため個人で所有している場合は、本格的に投資目的で利用する方がメインとなります。

 

それ以外では、大きな工場の屋上に設置されている設備などがこれに当てはまります。

自家用電気工作物の義務について

一般電気工作物にもさまざまな義務や資格の決まりがありますが、自家用電気工作物と比べると比較的ゆるく設定されています。

自家用電気工作物については、その規模の問題などから保安点検などの面で厳しい義務が課せられています。

維持する義務

経済産業省令において技術基準が定められており、この基準に沿って維持・管理を行う義務があります。

保安規程を制定する義務

技術適合に沿って維持管理などの保安業務を行うため、自家用電気工作物の使用の開始前に保安規定を定めて提出する義務があります。

電気主任技術者を選任する義務

保安規定を守るほか、法律に適応した工事・維持・管理を実施するために管理責任者として電気主任技術者を選任して申請する必要があります。

ただし規模によっては外部に委託することも可能です。

個人の方は外部に委託している方が多くいます。

自家用電気工作物の注意点

自家用電気工作物は一般用電気工作物よりも厳しい規定がありますが、その中でも2000kW以上の物はさらに厳しい規定が定められています。

しかし、2000kWというのはかなり大規模な施設です。

一般的にメガソーラーに分類される施設は1000kW以上なので、国内でもかなり大規模な施設であり、個人が運用を考えること自体現実的ではありません。

 

有資格者・法人関係者の方で、メガソーラーに参入を検討している方や、監督業務などでメガソーラーに関わるつもりがある方などであれば、通常の電気工作物とは扱いが違うと知っておくとよいでしょう。

電気技術者について

2000kW以下であれば、産業経済大臣の許可を得るなどの手続きを行ったうえで、電気主任技術者の業務を外部に委託することができます。

出力が2000kW以上の場合、電気主任技術者を選任する必要があります。

30日まで申請が必要

2000kW以上の太陽光発電設備については、設置工事の30日前までに工事計画届出書を届け出る義務があります。

点検の頻度について

点検の頻度は点検する対象によっても異なりますが、原則最長で半年、つまり1年に2回以上の点検が義務付けられています。

 

とはいえ定期的に点検を行い、維持・管理を徹底してトラブルを回避する必要があるため、実際の運用では月や隔月に1回程度の定期点検のほか、

  • 巡視での検査
  • 台風やトラブルが起きた際の臨時点検
  • 事故対応に伴う点検

などが行われるので頻度としてはもっと多くなります。

 

また50kW以下の一般用電気工作物であれば、自主点検です。

ただしこちらもトラブル回避の観点から、定期的に点検することをおすすめします。

点検をしないと起きてしまう事故

点検を行ったとしても事故が起こる場合があります。

事故の例としては、動物による投石・風によって飛んできた枝によるパネルの破損や、パワーコンディショナーの破損などがあります。

 

ただし経年劣化や内部の故障が原因で起こる事故は、定期的な検査によって防げますし、定期的な検査によって大事故を未然に防ぐことが可能になるので、点検をしっかり行い事故を防ぎましょう。

 

こういった事故を分類する場合、次の2つの分け方で考えられています。

単独事故

太陽光発電施設内部で事故が発生した場合、主遮断器が作動して太陽光発電施設と電力会社の接続を停止させます。

そのため事故を設備内のみで留めることが可能になり、影響が小さくなります。

波及事故

この主遮断器よりも外で事故が発生した場合、変電所側の操作で物理的に遮断することによって大事故や大規模な災害になることを防ぎます。

 

ただし変電所から電気が送電されている地域はすべて停電ということなります。

地域によって異なりますが、一つの変電所から1000以上の家庭などに電気が送られているので、波及事故が発生するとそれだけ影響力が強く、賠償などの規模も大きくなります。

点検は義務。安心安全に電気を利用しよう

点検は法令によって定められている義務であり、安全・安心に電気を発電し売電するためには必須です。

 

現在は保守点検などの委託を受け付ける企業も多いですし、個人で対応するのは現実的に無理があるため、信頼できる企業に委託することをおすすめします。

まとめ
  • 発電や送電など電気を使用するための設備を電気工作物と呼ぶ
  • 電気工作物は法令において基準が定められておりいくつかの種類に分けられている
  • 一般電気工作物・事業用電気工作物・自家用電気工作物に分けられる
  • 太陽光発電施設では50kW未満が一般電気工作物に分類される
  • 50kW以上が自家用電気工作物に分類される
  • 50kW以上は一般電気工作物と比べて規制が厳しい
  • 2000kW以上は自家用電気工作物の中でもかなり厳しい規制が定められている

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