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IPOの初値は?カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の評判と動向

太陽光発電

東証のインフラファンド市場をご存知でしょうか。

2015年4月に開設された、太陽光発電施設および港湾施設などのインフラを上場対象とした市場ですが、一般にはまだ認知度が低いかもしれません。

 

このインフラファンド市場に2017年10月上場した「カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人」が、いま注目を集めています。

 

太陽電池モジュール製品の出荷量が世界3位の太陽光発電メーカーカナディアン・ソーラー」をスポンサーにもつインフラファンドの魅力や、IPOの初値、将来性などの評判を紹介していきましょう。

 

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人とは?

 

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は、2017年5月に設立された新しいインフラファンドです。

1億5,000万円の出資金で設立されたこのインフラファンドは、社名でわかる通り、カナダに本社を持つ海外メーカーのCanadian Solar Inc.(カナディアン・ソーラー社)がスポンサーとなっています。

 

なお、カナディアン・ソーラー・ジャパン株式会社は、カナディアン・ソーラーの日本法人で2009年に設立されました。

住宅用・産業用に高品質で高効率な耐久性の高い太陽光発電システムを提供している太陽光メーカーのひとつです。

 

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の具体的な業務内容としては、産業用太陽光発電システムなどへの投資・運用がメイン。

投資・運用のキャッシュフローから生まれた分配金を、安定的に投資家へ配当することを目的としています。

なおカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は、日本国内で東証インフラファンド市場に上場した4番目のインフラファンドになります。

 

このカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人が投資対象としているのは、カナディアン・ソーラーの日本法人「カナディアン・ソーラー・ジャパン」が運営する太陽光発電所です。

 

現在、カナディアン・ソーラー・ジャパンは鹿児島・茨城・大分など9県15ヶ所の発電所を運営しており、これらの発電所へカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人が投資をおこない、その収益を年2回配当として払い出す仕組みとなっています。

太陽光発電インフラファンドのメリットとリスク

運営会社が持つ太陽光発電所で発電した電気は、電力会社などが買い取ってくれる(売電)ため、その運営会社に投資したインフラファンドは収益に基づいて配当を受けることができます。

 

それでは、太陽光発電のインフラファンドに投資することについて、メリットとリスクを解説していきます。

【メリット】固定買取価格制度による安定性と高配当

電力会社は「固定価格買取制度」(FIT制度)によって、一般家庭や企業などが太陽光発電によって作り出した電気を一定額で買い取ることが決められています。

 

そのため、とくに組織的に太陽光発電をおこなっている企業は、安定した売電収入が見込めます。

もちろん、太陽光による発電のため日照時間の問題はあります。

しかし、運営会社は比較的安定した日照時間が見込める場所へ太陽光発電所を設置しているため、大きな心配をする必要はありません。

そのうえ、カナディアン・ソーラー・ジャパンでは、太陽電池モジュールに25年間、30年間の出力保証と10年間の太陽光発電システム保証をしているため安心です。

 

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人のように太陽光発電事業をおこなうスポンサー企業が同一グループの場合、施設や設備の企画・開発から運営まで、最適な運用が見込めます。

そのため、安定的な売電収入から高い配当(6~7%程度)を得ることが可能といえます。

【リスク】インフレ・固定買取価格制度終了後の売電価格下落

太陽光発電のインフラファンドは、株式のように売買取引が可能です。

そのため、需要によって取引される金額が決まっています。

 

太陽光発電による売電収入は安定しているため、インフラファンドでも安定した配当を受けることができると想定されます。

インフラファンド市場は大きな変動なく、相場価格にも影響されにくいため安定した

長期的な投資に向いているのです。

 

しかし、市場がインフレに傾くと状況は変わってきます。

インフラファンドは太陽光発電の運営会社へ投資し、配当を受け取るシステムです。

もしインフレになった場合でも、売電価格は固定されているため収入は変わりません。

 

つまりインフラファンドへの投資は、受け取る配当に増加の余地がないのに賃料収入や運営、維持管理コストがインフレの影響を受けてしまう、きわめてインフレに弱い資産への投資といえます。

 

また大きいリスクといえるのが、固定価格買取制度が終了した場合、売電価格が下落する可能性です。

もし売電価格が大幅に下落したら、太陽光発電設備を新規に開発できなくなるため、太陽光発電インフラ自体の成長が困難になる恐れがあります。

 

さらに、太陽光発電は運営開始から20年が経過すると、インフラファンドに対して一般の企業と同様の法人税が課せられることになります。

現在では、収益のほとんどを投資家へ分配できるインフラファンドですが、固定価格買取制度の買取期間20年が経過すると売電価格が想定できなくなるため、どのくらい投資家が配当金を受け取るれか不透明です。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人のIPO初値

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人が上場したのは2017年10月のことでした。

世界第3位の太陽光パネル出荷量シェアを誇るカナディアン・ソーラー社がスポンサーということで、この上場には大きな注目が集まっていました。

 

日本の東証インフラファンド市場に上場した企業としては、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人が4社目となりますが、はたしてIPO初値はどのくらいだったのでしょうか。

IPOの初値とは?

IPOとは「Initial Public Offering」の頭文字から取った造語で、日本語に訳すと「新規公開株」あるいは「新規上場株式」という意味です。

「IPO」は新たに株を投資家へ売り出し、証券取引所に上場して株取引が可能となる状態のことを指します。

 

また、上場された株に対して最初に付けられた値段のこと「IPOの初値」と呼びます。

IPOの株に投資するというのは、新たに上場する際に「株の購入権」が抽選で投資家に配布されるので、上場日にその権利を株価の初値で売ることで利益を出す取引のことです。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人のIPO初値は公募割れ

東証インフラファンド市場の上場に注目が集まっていたカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人のIPO初値ですが、意外なことに公募割れとなってしまいました。

 

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の株の購入権は、100,000円で配布されたのですが、いざフタを開けてみればIPO初値は95,000円となり、5,000円のマイナスでした。

 

これは、おそらくインフラファンド市場自体の認知度がさほど高くなく、しかも投資家がカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の株を必要としなかったことが原因といえるでしょう。

過去のインフラファンド3銘柄とカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の違い・評判

IPO初値が公募割れの5%安でスタートしたカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人ですが、本当に将来性はあまり期待できないのでしょうか。

過去3銘柄のインフラファンドとはどんな違いがあり、その将来性・信頼性などの評判を紹介します。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は時価総額が過去最大

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人が、4番目の東証インフラファンド市場に上場した銘柄だということはご説明してきました。

それでは過去に上場した3銘柄と、そのIPO初値はどうだったのでしょうか。

 

  • タカラレーベン・インフラ投資法人(2016年6月上場)

IPO初値/109,900円(+9.9%)

  • いちごグリーンインフラ投資法人(2016年12月上場)

IPO初値/96,100円(-3.9%)

  • 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(2017年3月上場)

IPO初値/89,200円(-4.1%)

※日本再生可能エネルギーインフラ投資法人のみ公募価格が93,000円。

 

引用元:https://iponote.jp/articles/info/infrastructure_fund

 

インフラファンド市場の上場銘柄は、主に国内メーカーのソーラーパネルを利用した太陽光発電所に投資するタカラレーベン・インフラ投資法人以外は公募割れしています。

この結果だけを見ると、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人への投資は、あまり有効な手段とはいえません。

 

しかし、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は時価総額がインフラファンド4銘柄でトップの171億円を記録しました。

IPO初値を意識しなければ、株価が公開価格よりも上回ることはよくありますので、将来性を見極めるのは早計だといえます。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は相対的に時価総額の流動性が高い

インフラファンドの株は時価総額が小さい上に、流動性が乏しいという問題が指摘されています。

ただ、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人に関しては、他の3銘柄に比べて流動性がもっとも高くなっています。

これは、前述した太陽光発電の運営会社がスポンサーになっていることに起因します。

 

太陽光発電モジュールから運営、設備管理までを一貫してグループ内でおこなえるうえに世界規模での開発実績が豊富なため、外部成長が期待できるという見方が強いのです。

将来的にほかの3銘柄以上の分配金が期待できる

カナディアン・ソーラー・ジャパンの所有する太陽光発電所の規模は、上場銘柄の中で最大です。

当然、発電量も4銘柄中トップなので、他の銘柄よりも規模の拡大が見込めます。

 

つまり、将来的には他の3銘柄と同等か、それ以上の分配金が期待できるというわけです。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の動向

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の分配金は年2回で、その分配金の額はどのくらいなのか解説します。

    • 2018年6月分/2,062円(予定)
    • 2018年12月分/3,539円(予定)

引用元:http://www.japan-reit.com/infra/9284/dividend/

 

なお、2019年以降の分配金予定はまだ公開されていませんが、他の3銘柄の分配実績やカナディアン・ソーラー社の発電規模などを考えると、3,000~3,700円程度になると予測されています。

 

また、東証インフラファンド市場の株価は、2018年3月現在、99,200円程度となっており、IPO初値から400円前後アップしています。

 

カナディアン・ソーラー社は資産規模が大きく、減価償却費を減資とした利益超過分配金の支払い能力も高いです。

そのため、今後も分配金は少しずつ上っていくことが予想されています。

太陽光発電投資ファンドも視野に入れるのもおすすめ

投資家にとっては、いかにリスクが少なく資産を運用できるかが重要となります。

そういった意味では、今後ますます注目が集まる太陽光発電のインフラファンドへ投資することは、選択肢として十分価値があるといえます。

 

しかし、住宅用太陽光発電による固定価格全量買取制度を利用した売電は、個人でおこなうことができません。

個人でお考えの方は太陽光発電ファンドを活用することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

太陽光発電ファンドは、大型の太陽光発電に適した設置場所をファンド管理会社が探し、発電所を建てるために分譲という形で出資を募るシステムです。

これなら、自分で太陽光発電をおこない売電する必要がなく、配当利益を受け取ることができるため、個人に適した投資だといえます。

まとめ
  • カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は2017年5月に設立された新しいインフラファンド
  • カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人のIPO初値は公募割れだった
  • 時価総額はインフラファンド4銘柄中トップ
  • 資産規模が大きく発電量も4銘柄でもっとも多いため将来性が高い
  • 個人で太陽光発電による売電の投資より太陽光発電ファンドのほうが利回りはいい

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