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太陽光発電の肝!知らないと損する変換効率について徹底解剖

太陽光発電

太陽光パネル購入のために比較検討する際、価格や出力、サイズに加えて「変換効率」の比較も重要なポイントとなります。

しかし、この「変換効率」の意味を正確にご存知でしょうか。変換効率は太陽光パネルの性能を表す重要な指標で、どのメーカーも変換効率の向上に努力しています。

通常はこの値が高いほど価格も高くなりますが、その意味と、今後の動向について解説します。

 

太陽光発電の変換効率とは?

太陽光発電は、太陽電池によって太陽の光のエネルギーを電気に換える発電ですが太陽の光をどれだけ電力として変換、つまり出力できる量を測る指標となるもの、それが「変換効率」です

地球に到達する太陽エネルギーは177兆kWですが、海中に蓄積されるエネルギーや宇宙に反射されるエネルギーを除いて、地表で使用できるエネルギー密度は、1mあたり約1kWとなります。
これを、50%利用できれば変換効率は50%、20%であれば変換効率は20%となります。
太陽光発電では、太陽エネルギーを出来るだけ沢山電力に変換するのが理想ですから、変換効率が高ければ高いほど、太陽電池の性能は良いということになります。

また、ソーラーパネルには、シリコン系、化合物系、有機物系とハイブリッド型のHITがありますが、日本で住宅用として普及しているのは結晶シリコンパネルで全体の約80%近くとなっています。残りは、アモルファスシリコンと呼ばれる薄膜シリコン太陽電池と、化合物系のCIS太陽電池です。

住宅用では、現在性能が一番高いといわれるシリコン系の単結晶パネルのモジュール変換効率は18%前後で、東芝が最高20.1%を達成しています
住宅用の多結晶パネルの変換効率は14-16%で、化合物系の薄膜ソーラーパネルではソーラーフロンティアのものが13.8%で最高となっています。

変換効率の計算方法について

変換効率は、太陽電池の面積あたりの最大出力となり、以下の式で計算されます。

変換効率=公称最大出力(W)面積(m2)÷1,000(W/m2)

出力が同じであれば、面積が小さいほど発電効率の数値は良くなりますが、その面積のとりかたにより、変換効率は以下の種類に分かれます。

セル変換効率とモジュール変換効率

太陽電池はソーラーパネルというパネル状の太陽電池を使って発電するものですが、このパネルは太陽電池モジュールとも呼ばれます。

しかし、このモジュールはそれ単独で電池となっているのではなく、太陽電池セルという、単体の出力が0.5W程度にしかならない小さな基盤を沢山接続したものです。
これをソーラーパネル、または太陽電池モジュールと呼びます。

上記の変換効率の計算式の面積の部分に、フレーム部分なども含めた最終製品としての太陽電池パネルの面積を使ったものがモジュール変換効率で、商品の比較の際に有用となります。
一方、小さなセル毎の変換効率をセル変換効率と呼びます。
フレームなどを除いた電池部分だけの効率ですからモジュール変換効率の数値よりも高い数値となり、電池の性能を比較するのに使われます。

真性変換効率と実効変換効率

太陽電池のセルには、発電した電力を集めるための電極が表面に貼られています。
セルからこの電極部分の面積を差し引いて、正味光を受ける面積だけを計算の対象としたものを真性変換効率といいます。
太陽光発電を固定買取価格で売電する為に必要な設備認定にあたっては、この真性変換効率の記載が必要となります。

一方電極部分も含めた太陽電池全体の面積を使ったものを、実効変換効率と呼びます。
通常変換効率という場合は、こちらの実効変換効率を指します。

 変換効率の限界数値とは

現在太陽電池の殆どはシリコン系太陽電池ですが、その変換効率は14-20%で、理論上は29%が限界といわれています。
物質には、金属など電子の移動により電気を通す「導体」とガラスやゴムなど電気を通さない「絶縁体」とありますが、この違いは、物質の中に電子が存在できないバンドギャップという帯があるかどうかの違いです。
バンドギャップがあるものが絶縁体、ないものが導体となりますが、物質の中にはこのバンドギャップが存在はするが絶縁体よりも幅が狭い「半導体」があります。

シリコンは半導体ですが、太陽光を利用する際、半導体のバンドキャップよりもエネルギーが小さい赤外線のような波長が長い光は、発電につながらず素通りしてしまいます。
また、バンドキャップよりもエネルギーが大きい紫外線のような波長が短い光は、発電にはつながりますが、バンドキャップエネルギーを超える分のエネルギーは熱となって逃げてしまいます。

つまり、物質により利用できる光のエネルギーは原理的に決まっており、シリコンの場合はこれが29%となっています。

そこである物質の限界数値を克服するために、バンドギャップの異なる様々な物質を組み合わせる方法が開発されています。その一つが多接合型化合物太陽電池で、中でもシャープが実用化した「化合物3接合型太陽電池」は変換効率35.8%という世界記録を達成し、多くの人工衛星で使われています。

 

発電効率をアップする方法

同じ発電効率の同じ製品でも、設置方法により出力は変わってきます。
発電効率を最大限に利用するためには、日光を直角に受けられる角度にパネルを傾けて設置する必要がありますが、日光は常に一定の角度であたるわけではなく、一年の中でも一日の中でも常に変わりますし、地域によっても違います。
日本であれば一般的には、南向きで30度の傾斜が最適とされています。

太陽の動きに合わせて、自動的にパネルの向きや角度が変わるタイプのソーラーパネルもありますが、そこまでしなくても、年に数回設置角度を手動で変えることが出来る架台もあります。
投資に見合う発電効果が見込めるのであれば、こうした可変型もおすすめですが、固定する場合は最適の設置位置や角度をあらかじめよく調査する必要があります。

また、太陽電池で発電した電気を電化製品で使用したり電力会社に売電するには、電流を直流から交流にパワーコンディショナーを接続して変換する必要がありますが、変換の際にエネルギーが多少ロスします。
従って性能の良いパワーコンディショナーを選ぶことで、電力をより有効に使うことができます。

 

変換効率の推移や将来

現在家庭用の太陽電池の主流は結晶シリコン系で、変換効率は理論上29%が限界となっています。
シリコンではなく、バンドギャップの異なる物質を組み合わせた多接合型化合物太陽電池では、変換効率を30%以上達成することも可能ですが、その分価格もシリコン系の100倍以上します。

このため現在では、多接合型化合物太陽現地は人工衛星向けにしか使われていませんが、量産化による低コスト化で他の用途にも使えるようにする開発が進められており、将来的には家庭用でも変換効率30%以上のパネルが出現することも期待されます。

また、変換効率40%を目指す化合物4接合型の太陽電池の開発や、太陽光をレンズで集める集光型太陽光発電システムの開発も進んでおり、集光型では2025年に向けて変換効率を50%とすることが目標とされています。

 

変換効率は今後更に改善される可能性あり

ソーラーパネルを選ぶ際には、出力やパネルの大きさ、寿命なども考慮する必要がありますが、変換効率が高いほど一定のサイズでの発電量が増えるわけですから、固定買取価格による売電を狙う場合は収益アップにつながります。

クリーンな再生可能エネルギーである太陽光を最大限に利用するべく、「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の主導で2025年に向けた変換効率の向上が官民一体で取り組まれており、今後更なる変換効率アップが見込まれます。

まとめ
  • 変換効率とは、太陽光発電パネルの面積あたりの発電量で、単結晶シリコンパネルでは現在20.1%が最高値
  • 製品としての太陽光発電モジュールの変換効率と、太陽電池のセルあたりの変換効率とある
  • またセルの電極部分の面積を除いた真性変換効率と、それらも入れた実効変換効率とある
  • 製品比較は実効変換効率で行うが、売電に必要な設備認定では真性変換効率の記載が必要
  • 変換効率をアップするためには、設置の向きと角度が重要
  • 研究開発により人工衛星用などの宇宙向けでは2025年には化合物系太陽電池で50%達成も可能か
  • 汎用の結晶シリコンは2025年に向けて30%が目標

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