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固定資産税の特例|太陽光発電設備導入前に知っておくべき減免方法

太陽光発電

これから太陽光発電投資をはじめようとする人にとって、まず知っておかなければならないのが「太陽光発電に関わる税金」です。

太陽光発電には固定資産税や所得税が課税されますが、免除される場合や減免する方法があります。
思わぬところで損をしてしまわないために、太陽光発電の固定資産税・所得税に関する知識をご紹介します。

固定資産税とは

固定資産税とは市区町村や自治体が、土地や家屋などの固定資産を所有している者に賦課する税金です。

 

賃貸でマンションやアパートに住んでいる場合は納税の義務がなく、その家屋を所有している家主が固定資産税を支払います。
固定資産税の金額は、その時の「固定資産の評価額」に固定資産税の税率である1.4%をかけたものです。

固定資産税の評価額とは、国土交通省が定めた「土地の値段」「家屋の時価」を合わせたものの7割程度です。
土地の価格には当然変動があるので、3年に1回評価額が見直されています。
しかし、最終的に評価額の設定は市区町村にゆだねられているため、地域によるバラつきがあるようです。

太陽光発電の機器は減価償却が発生します。
太陽光発電の耐用年数は17年なので、導入費用を割った金額を毎年の減価償却費として経費申請するのです。
定額法と定率法があり、事業者の条件によって採用すべき法が変わるため確認しておきましょう。
なお、太陽光発電では『再生可能エネルギーの固定価格買取制度
』の認定を受けている場合、特例適用申請書その他書類を提出すると課税特例が受けられます。

太陽光発電においての課税対象は

太陽光発電には「所得税」「固定資産税」、2つの税金が賦課されます。

太陽光発電では、発電した電気を利用して「光熱費の削減」または「電気事業者への売電による収益」を上げることができます。
この売電による収益は所得扱いとなり、所得税が賦課されることになります。

しかし、この所得税は必ずかかるわけではありません。
売電による収益は、雑所得が年間20万円を超えた時に初めて所得税の課税対象となります。
20万円以下の場合は所得税を支払う必要がありません。

必要経費は、太陽光発電の減価償却費がほとんどです。
太陽光発電を購入した経費を17で割った金額で導くことができます。

全国平均の設置容量である、4.87kWの太陽光発電システムを150万円で導入している家庭を例に挙げてみます。
発電量は約年間4,870kWhとして、その内の3割程度を自家用で使用している場合の税金の計算は

【売電収入】

出力対応機器無しの場合:4,870kWh × 0.7 × 28(平成29年度売電単価) = 9万5,452円
出力対応機器有りの場合:4,870kWh × 0.7 × 30(平成29年度売電単価) = 10万2,270円

  • 太陽光発電の耐用年数は17年のため、1年あたりの償却率は1/17(0.058)で、今回は電気の3割を自家用で使用しているので、設備費用7割を経費計上しています。

【経費】

150万 × 0.058 × 0.7 = 6万0,900円

【所得計算】

出力対応機器無しの場合:9万5,452円(売電収入) - 6万0,900円 = 3万4,552円
出力対応機器有りの場合:10万2,270円(売電収入) - 6万0,900円 = 4万1,370円

以上のケースでは年額所得20万円を超えないため所得税はかかりません。
ご家庭用の10kW未満の太陽光発電システムのほとんどのケースが所得税が発生しないことがわかります。

固定資産税に関しては、法人や個人事業主(個人事業者)の所有物の場合どんなものでも課税対象です。
個人の住宅用に関しては10kW以上のものが課税対象となります。

固定資産税の支払額は「固定資産の総評額×税率0.014」で決まります。

太陽光発電の総評額は、購入時の価格に原価率の0.127初年度は0.064をかけたものです。
それに税率0.014をかけると固定資産税の金額が出ます。

支払期間は太陽光発電の法定耐用年数です。
国が定めた太陽光発電の法定耐用年数は17年ですから、原則17年間は納税義務が発生します。
具体的な額は、設備の大きさや市区町村によっても異なりますが、1平方メートルあたり200円程度と言われています。

平均的な住宅用の太陽光発電は4kWで25平方メートルで、固定資産額は年間5,000円前後になる場合が多いです。
「固定資産税」と聞くと大きな額を想定してしまいがちですが、決して支払えない金額ではありません。

また、個人の場合は固定資産の評定額が150万円を切ると固定資産税の納税義務がなくなります。
たとえば事業を営まない個人が、新たに太陽光発電を350万円で購入した場合の固定資産税評定額は以下の通りになります。

1年目 3,500,000×1-0.064=3,276,000

2年目 3,276,000×1-0.127=2,859,948

3年目 2,859,948×1-0.127=2,496,735

4年目 2,496,735×1-0.127=2,179,650

5年目 2,179,650×1-0.127=1,902,834

6年目 1,902,834×1-0.127=1,661,174

7年目 1,661,174×1-0.127=1,450,205

7年目には評定額が150万円を下回るため、固定資産税の課税申告は必要なくなります。
固定資産税も積み重なると大きな出費になりますから、なるべく早く申告の対象から外れることができるように、購入する際には設備費用にも注意する必要があります。

固定資産税と家屋の区分

前述したように、住宅用太陽光発電が固定資産税の対象となるのは10kW以上の場合です。
つまり、発電装置が10kW未満の場合は原則固定資産税の支払い義務はありません。

しかし、たとえ自宅の太陽光発電が10kW未満であっても、装置が「家屋」の一部とみなされ、家自体の固定資産税が増額してしまうケースがあります。

それは、ソーラーパネルが屋根と一体になっている「屋根一体型」の場合です。
屋根一体型のソーラーパネルは独立した装置ではなく、「家屋」としてみなされます。

家屋の値段にパネルの値段が加わると、たとえ装置が10kW未満でも支払うべき固定資産税が発生します。
ただし、パワーコンディショナーなどは課税対象になりません。
家屋とみなされるのは、あくまで屋根と一緒になったパネルのみです。

また、屋根に架台を設置してその上にパネルを取り付ける「屋根設置型」の場合は、10kW未満であれば固定資産税が発生することもありませんし、家屋の固定資産税が増額することもありません。
なぜなら屋根設置型の場合、ソーラーパネルやパワーコンディショナーは家屋ではなく、独立した固定資産と見なされるからです。

家の外観のことを考えて、屋根一体型を選択したいと考える方もいるでしょうが、節税という観点から考えると屋根設置型がおすすめです。

課税標準の特例について

法人や個人事業主の所有する太陽光発電装置の場合、どんなものであっても固定資産税賦課の対象となります。
個人が所有する太陽光発電装置が10kWを超えた場合も同様です。

しかし、この固定資産税を減免する事のできる特例が存在します。

平成24年5月29日平成28年3月31日までに設備導入

太陽光発電の固定資産税を減免する特例として「再生可能エネルギーに係る課税標準の特例措置」というものがあります。
2011年、東日本大震災をきっかけに、エネルギー起源CO2削減や再生可能エネルギー導入拡大のために作られた制度です。

この制度によって、平成24年5月29日から平成28年3月31日までに発電施設を導入した場合、固定資産税が減免されました。
具体的には「太陽光発電を所有したその翌年からの固定資産税が3分の2になる」というものです。
特例を受けるための条件がこちらです。

  1. 固定価格買取制度の認定を受けて取得した再生可能エネルギー発電設備であること
  2. 再生可能エネルギー発電設備の認定通知書に記載されている発電出力が10kW以上で太陽 光発電であること
  3. 平成24年5月29日から平成28年3月31日までに取得された資産であること

この条件に当てはまっていた場合、申請を行えば、減免措置を受けることができました。
しかし、残念なことに平成28年でこの特例は終了しています。

平成28年4月1日から平成30年3月31日までに設備導入

特別措置の期間は、2年間延長されて平成30年まで伸びることになったのですが、太陽光発電設備のほとんどが対象から除外されていると考えて良いといえます。

その対象は「経済産業省大臣の認定を受けた再生可能エネルギーの固定価格買取制度の対象外設備であり、再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金を受けた自家消費型の太陽光発電設備蓄電装置、制御装置等を含む」としています。

家庭用の太陽光発電の場合、10kW以上になるものはほとんどないですから、もともと固定資産税の対象になるケースが少ないでしょう。
産業用は、企業などで自家発電型として利用するケースでない限り減免の対象ではないということです。

固定資産税を理解してお得に太陽光発電

ここまで、主に住宅用太陽光発電の固定資産税・所得税についてご紹介しました。

固定資産税の制度や税率はもちろん、売電収益にかかる所得税などについてもしっかり理解しておけば余計な損失を回避することができます。

売電による収益、発電による光熱費の削減だけでなく、しっかりと税金も節約していくことで快適な太陽光発電ライフを送ることができるでしょう。

まとめ
  • 住宅用太陽光発電設備は主に「固定資産税」「所得税」の2種類の税が課せられる
  • 所得税に関しては売電収益が年間20万円以下であれば課税されない
  • 住宅用太陽光発電に固定資産税が課税されるのは10kW以上の場合である
  • 屋根一体型パネルを採用した場合、パネルは「家屋の一部」とみなされるため家そのものの固定資産が増えてしまう
  • 太陽光発電の固定資産税を減免する制度が過去にあったが、現在は太陽光発電設備のほとんどが対象になっていない

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