公式ブログ

自作なら必須?MPPT方式などチャージコントローラーの種類と使い方

太陽光発電

クリーンエネルギーの代表格といえるのが、太陽光発電です。

太陽光発電は他の発電システムと異なり、太陽電池パネルと蓄電システムを組み合わせることで自作ができ、エネルギーのDIYという点からも注目されています。

自作で太陽光発電システムを作るために必要なもの

 

太陽光発電システムを自作するために必要なものは次の通りです。

  • ・太陽光を電気に変換するための「太陽電池パネル(ソーラーパネル)」
  • ・発電した電力を蓄積するために「蓄電池(バッテリー)」

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーや鉛バッテリーなどがあります

  • バッテリーへの充電・放電を制御するための「チャージコントローラー」
  • 太陽光発電で生成・充電した電力(DC:直流)を家庭で使用できるような電力(AC:交流)に変換するための「DC/ACインバータ」。
  • これらを接続するための「コード」
  • パネルの設置場所に合わせた「固定器具」

太陽光発電に必要なチャージコントローラー

チャージコントローラーは、太陽電池パネルが生み出した電気を適切にバッテリーに蓄電するための装置です。

生産した電気を何に使うかによって製品選択可能なので、自作の太陽光発電システムに向いています。

 

チャージコントローラーには、

  • バッテリーへの充電だけを行う「充電コントローラー」(V充電用)
  • 充電および放電をコントロールする「太陽電池(ソーラーパネル)充放電コントローラー」があります。

ただし、“チャージコントローラー”というと、「充放電コントローラー」を指すのが一般的です。

※チャージコントローラーは太陽光パネルと一緒に放電・充電コントローラセットとして販売されている場合もあります。

 

チャージコントローラーは、充電・放電の制御・管理機能のほか、バッテリー保護(充電保護)のための自動出力停止を含む過充電防止機能(各種電圧任意設定が可能等)、ソーラーパネル側への電流の逆流を防ぐ放電防止機能も併せ持ちます。

DC電流を直接取り出せるDC出力端子が付いているものもあります。

 

また、液晶モニタ付き製品には、インバータの電力供給量、ソーラー用パネルの発電量、バッテリー電圧などを一目で確認できるものもあります。

さらに、充電や動作状況をPCで確認できたり、PC記録可だったりする機種もあります。

このような機能を持つチャージコントローラーが、数多く商品化されています。

どのような種類があるかを説明していきます。

2-1.チャージコントローラーは基本的に2種類

 

チャージコントローラーには、

  • MPPT(Maximum Power Point Tracking):最大電力点追従制御方式
  • PWM(Pulse Width Modulation):パルス幅変調制御方式

この2種類があります。

MPPT方式とは?

太陽電池パネルは光を受けることによって電力を発生させますが、日射量により電池内に発生する電圧と電流の大きさは常に変化します。

太陽電池パネルの発電量は「電圧(V)×電流(I)」で決まりますが、チャージコントローラーを使用すれば、太陽電池の電圧と電流がある一定の組み合わせになったときのみ、電力を発生させることができます。

 

MPPT制御方式は電圧と電流をコントロールして、常に最大の電力量を取り出せる組み合わせを選んでいく構造になっています。

このため、変換効率はおおむね97%という高効率性を誇り、日射量がばらつく曇天時でも安定した発電が可能です。

反面、高性能な分、価格が高くなる点には注意が必要です。

PWM方式との違い

PWM制御方式とは電圧を変化させるための、パルス信号のパルス幅を長くしたり短くしたりして、一定の電圧と電流が発生するように制御する方式のことです。

 

PWM方式では一定の効率以上で電力を作れますが、電力の発生効率の点では、MPPT方式よりも低い水準にとどまります。

しかし、価格はMPPT方式よりも安く抑えられます。

チャージコントローラーの理想的な使い方は何A(アンペア)を選ぶ?

チャージコントローラーは、太陽電池の出力量に合わせて最大入力電流値が定められています。

その最大入力電流値は、「5A」、「15A」、「24A」というように示されています。

※動作電圧は「12V-24V」というように示されています。)

 

12V動作で「5A」のチャージコントローラーでは、最大入力電力値は理論上

”5A×12V=60W”

です。

 

これは、出力60Wまでの太陽電池パネルが使用できることを示しています。

 

しかし、安全性の面から入力性能に余裕を持たせる必要があります。

15%程度の余裕をみておけば安心です。

最大入力電力値が60Wであれば、実際には50W程度の太陽電池が使用できる

と考えておけばいいでしょう。

 

■最大出力の計算

最大動作電圧(V)×最大動作電流(A)

 

太陽光発電システムを自作する際に、最も気をつけなければならないことは、太陽電池パネルとチャージコントローラーの組み合わせです。

ここでは、組み合わせを考えるにおいて、最も手に入れやすい12Vのバッテリーを前提として太陽光発電システムを考えてみます。

 

チャージコントローラーは、太陽電池パネルとバッテリーの間に置かれることから、対応できる太陽電池パネルの発電量・バッテリー容量により、使用できる規格は決まってきます。

 

1週間の発電量=1時間当たりの発電量×日照時間×7日間

 

1週間の充電期間で必要となるバッテリー容量は12Vバッテリーの場合、1週間の発電量を12Vで割ったものとなります。

 

たとえば、20Wh(ワット・アワー)出力の太陽電池パネルを使用した場合、1週間の発電量は

20Wh(1時間当たりの発電量)×3.5(1日あたりの平均的な日照時間)×7日間=490Whこれが1週間の総発電量となります。

そして、490Wh÷12V(バッテリー)=40.8Ah

こちらが必要なバッテリー容量となります。

 

充電期間を3日間で考えるなら、その半分程度の容量が適していることになります。

コントローラーを選ぶにあたっての注意点

チャージコントローラーは、選ぶにあたっていくつかの注意点が存在します。

さっそく解説していきましょう。

 

■予算・用途に合わせて選ぶ

前述したように、チャージコントローラーにはMPPT制御方式PWM制御方式があります。

 

MPPT制御方式の製品は、高性能(高変換効率)ではありますが、高価格です(5万円~)。

これに対してPWM制御方式の製品は、性能はMPPT制御方式のものにおよびませんが、低価格(数千円~2万円ほど)で入手できます。

 

そのため予算に合わせて、いずれかの方式を選ぶことになります。

 

「太陽光発電システムを作ってみたい興味がある」という感じでしたら、低価格のPWM制御方式で充分ですが、電力として本格的に使用したいなら、MPPT制御方式をおすすめします。

 

■チャージコントローラーの性能で選ぶ

チャージコントローラーの性能は「アンペア(A)」で表示されます。

この数値はコントローラーの最大入力電流値を示しており、12Vシステム用で「10A」の表示があれば、理論的には“12V×10A=120W”の太陽電池パネルが使用可能です。

ただし、以下の点も踏まえてチャージコントローラーを選びましょう

 

《1》性能に余裕のあるチャージコントローラを選ぶ

チャージコントローラーは太陽電池パネルの最大出力よりも余裕があるものを選びましょう。

例えば、12Vシステム・20Wパネルを使用した場合、20W÷12V=約1.7Aが最大電流値となります。

そのため、余裕をもって5A程度のチャージコントローラーを選べば問題ないでしょう。

50Wパネルなら最大電流値が約4.2Aになるため10Aのコントローラーを、100Wパネルなら約8.3Aになるため15Aのコントローラーを選ぶのがおすすめです。

このチャージコントローラーの性能に合わせて、バッテリー容量を選ぶことになります。

《2》バッテリー容量とのバランスに注意

バッテリー容量に対してチャージコントローラーから提供される最大入力電流値が小さすぎると、このバッテリー充電方法では時間がかかりすぎるため、実用に適さないものとなってしまいます。

このように、最大入力電流量とバッテリー容量のバランスを考えることが重要です。

《3》チャージコントローラーの自己消費電流も加味する

チャージコントローラーを選ぶにあたって、自己消費電力も重要です。

この自己消費電力が低いほど発電システムとして効率が良いことになります。

例えば、10W程の発電量しかないソーラーパネルに対し、自己消費電力が50mA以上もあるチャージコントローラーを使用していては、せっかく発電しても自己消費電力に使われてしまいます。

チャージコントローラーは最大容量が小さいものほど、基本的に自己消費電力が低くなるので、太陽電池パネルの最大電流に合わせて、可能な限り小さなものを選ぶことが望まれます。

 

チャージコントローラーを選ぶ際は、インターネットで検索して、口コミなども参考にしてみましょう。

ネット通販で購入する場合は比較的高価なものなので、出品者や送料、決済方法も製品選択の基準にするのも一つの手かもしれません。

太陽光発電システムの配線方法

太陽電池パネル、チャージコントローラー、インバータ、バッテリーなどのユニットを揃えたら、流れる電流の量に適したケーブルを選んで、間違いのないように接続していきましょう。

許容電流値が低いケーブルを使ったり、配線を誤ったり、接続が不十分であったりすると、動作しないだけでなく、発火する可能性もあるのでも注意が必要です。

とはいえ、配線自体は難しいものでありません。

それではケーブルの種類や配線方法について解説していきます。

太陽電池パネルとチャージコントローラーの配線

太陽電池パネルとチャージコントローラー間の接続には、太陽電池パネル用ケーブルを使用します。

 

太陽電池パネルと接続する側にはMC4というコネクタが付いています。

屋外の太陽電池パネルと室内のチャージコントローラーを接続するケーブルは、基本的に屋外で風雨雪や紫外線にさらされるため、安全の面から耐性の高い専用ケーブルを選びましょう。

 

接続の仕方は以下の通りです

《1》ケーブルを通す位置に穴をあけます

《2》穴の周りを保護するゴム器具(ゴムブッシング)を取りつけます

《3》ケーブルを穴に通して室内に引き込みます

《4》ケーブルをチャージコントローラーの太陽光パネル入力側に接続します

専用ケーブルには使用している芯線サイズ(sq)によって許容電流が定められているので、製作するシステムに合わせて選びます。2.0sq~4.0sqサイズが一般的なものとなっています。

 

芯線サイズと許容電流の関係は、2.0sqでおおよそ20A、4.0sqでおおよそ30Aとなっています。

 

許容電流値としては、安全性の面から、太陽電池パネルの出力電流に対して3倍程度の余裕を持たせることが望ましいため、出力電流が最大6~7Aであれば2.0sq、10Aまで使いたいとすれば4.0sqのケーブルを選ぶことになります。

許容電流値は、出力電流の2倍程度でもいいかもしれませんが、専門知識のない“自作”ということを考えると、より余裕を持っておくべきでしょう。

バッテリーとチャージコントローラーの配線

チャージコントローラーとバッテリー間の配線には、家電製品用電源ケーブルとしても使用されているビニール平行線(VVFケーブル)を使用します。

 

ビニール平行線はビニールコードの一種で、家庭用電気機器の電源線として広く普及しています。

 

VFFは芯線の断面積によって許容電流値が決まってくるため、システムの電流値に合わせて選ぶ必要があります。

 

ケーブルの端部は、バッテリーに接続できるような形状に加工して、確実につなぎます。

接続ができれば、チャージコントローラーのバッテリーを認識するパイロットランプが点灯します。

インバータとバッテリーの配線

バッテリーからインバータには、100Wの供給システムの場合おおよそ8Aの電流が流れますが、このレベルであればVVFコードが利用できます。

許容電流に合わせて、適切なサイズのコードを選びましょう。

 

ケーブルの端部は、バッテリー用・インバータ用に端子を付けて接続します。

最後に太陽光パネルを接続

室内の各配線を再確認した後に、太陽電池パネルにケーブルを接続します。

チャージコントローラーには安全装置が組み込まれているため、大きな誤りがない限り、ショートなどの心配はしなくてもいいでしょう。

 

なお、チャージコントローラーには直接、電力供給ができる出力端子を備えている製品もあります。

その場合は出力可能な最大電流が定められているため、使用に際しては電圧計を接続します。

チャージコントローラーをつながないのは危険

オフグリッドの太陽光発電システムには、チャージコントローラーは必須のユニットです。

自作に際しては、チャージコントローラーへの配線を確実におこないましょう。

配線ミスによりチャージコントローラーが正しくつながれていないのは危険な状態です。

 

太陽電池パネル発電の際、19Vの電圧が発生している場合、バッテリーの充電電圧は14Vにもなります。

 

そのため、電圧を制御するチャージコントローラーを抜いて、太陽電池とバッテリーを直接つなぐと、バッテリーに規格以上の負荷がかかります。

満充電を超えても充電が継続されることで、バッテリー内に水素ガスが発生し、最悪の場合、燃焼・爆発といった重大な事故につながる可能性もあます。

また、バッテリーの劣化・寿命の短縮の原因にもなりかねません。

 

さらに、太陽電池パネルが発電を停止している夜間(電圧は0)は、バッテリー側の電圧の方が高くなるため、電力が逆流して太陽電池パネルを壊す危険性があります。

 

安全なシステムを作るためにも、チャージコントローラーは必ず使用し、正しく接続しましょう。

自作の規模に合わせて適切な機器を選ぼう

 

太陽光発電を自作する場合、使用目的に合わせて適切な発電規模を設定することが重要です。

 

規模としては、太陽電池パネル1枚からでもシステム構築は可能です。

太陽電池パネル自体もフレキシブルに開発が進んでおり、設置場所の自由度も高くなっています。

 

戸口や庭などの室外灯・防犯灯といった照明の電源、パソコンや家電製品への電力供給、自動車やボートなどへのバッテリー充電など日常生活での使用、または災害時の緊急電源を目的として作っておくのもいいでしょう。

 

目的や発電規模に合わせて、適切な太陽電池パネル、チャージコントローラー、インバータ、バッテリーを選んで太陽光発電システムを自作しましょう。

まとめ
  • チャージコントローラーはバッテリーへの充電・放電を制御する太陽光発電システムの要
  • チャージコントローラーには、高性能なMPPT制御方式と低価格のPWM制御方式の2つの方式がある
  • チャージコントローラーは太陽電池パネルの発電量とバッテリー容量のバランスを見て、最適な性能(A:電流値)のものを選ぶ
  • チャージコントローラーの自己消費電力も考慮する
  • 太陽光発電システムを自作する際は、適切なケーブルを使って間違いなく接続する

最新情報を受け取る

ブログでは書いていない太陽光発電の情報などもFaceBookページで発信しています。ぜひ、「いいね!」をお願いします。