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【簡単に発電原理がわかる】図解で太陽電池の仕組みを解説

太陽光発電

太陽電池というと、複雑な仕組みを想像する人もいるかもしれませんが、実はその仕組みはシンプルなものです。

アインシュタインが解明した光電効果を基本原理とし、2種類の半導体を組み合わせて構成されています。
半導体にはさまざまな種類があり、どのような素材を使用するかによって、太陽電池のパワーも異なってくるのです。

一般家庭や企業が利用できるような市販の商品は、リーズナブルでなければいけません。
一方、宇宙開発など国家予算が出るような現場では、値段と関係なく、変換効率を追求することもできるでしょう。

ここでは、そんな太陽発電の発電システム・活用例について解説します。

光電効果はアインシュタインが解明した

太陽光発電は、光電効果を利用した発電方法になります。
光電効果とは、薄板に太陽光が当たると電流が生じる現象です。
1839年にアレクサンドル・エドモン・ベクレルによって発見されました。

たとえば鉄板に太陽光を当てても微弱ながら光電効果はあります。
しかし、ソーラーパネルの多くにシリコンが使用されているのは、電流を取り出しやすく、エネルギーへの交換率が高いからです。

このように物質によって光電効果が異なるメカニズムは、1905年にアルベルト・アインシュタインが発表した光粒子仮説によって解明されました。
太陽光の中で最も強い波長は500nmで、500nmの光で内部光電効果を起こす材料というのがシリコンだといえます。

そのため、現在のソーラーパネルで広く利用されることになったのです。

太陽電池の発電原理

太陽電池がどのように電気エネルギーを作り出すのでしょうか。
電気を作るまでの仕組みについてご紹介します。

なぜ電気が生じるか

太陽電池は「電池」という名前こそ付いていますが、電池を蓄える装置ではなく、ソーラーパネルを使って太陽光エネルギーを電力に変換する「発電機」としての役割を担っています。

太陽の光エネルギーが太陽電池に当たり、光電効果が起き、電子に光エネルギーが吸収され、エネルギーを持った電子を外部に取り出すことで、電気を発生させることができるのです。
この電子を取り出す仕掛けとして必要になるのが半導体になります。

半導体とは、条件によって電気を通したり、通さなかったりする物質のことです。
半導体には、n型半導体p型半導体の2種類があります。

n型半導体は動きやすい電子が多く、接触した物質に電子が逃げ出しやすくなっていることが特徴です。
一方のp型半導体は、動きやすい電子が少なく、電子が足りていない部分があります。

n型半導体とp型半導体を隣り合わせにすると、n型半導体からp型半導体へと動きやすい電子が逃げやすくなることがわかっています。
電子が放出されたn型半導体は電子が帯電し、電子過剰になっているp型半導体は、マイナスに帯電するというわけです。

通常、太陽電池はn型半導体とp型半導体をつなぎあわせた仕組みになっています。
太陽電池に光が当たると、電子の移動が起きて電気が流れ出すのです。

必要な条件

太陽電池が電気を生成するのに必要な条件は、十分な太陽光が当たることです。
その条件さえ満たしていれば、設置する場所の制約が少ないのも特徴の一つといえるでし
ょう。

民家の屋根はもちろんのこと、腕時計・人工衛星などさまざまな場所で稼働しています。
ただし、ソーラーパネル等の設備部材の荷重に耐えられないような屋根には、設置できないので注意しましょう。

たとえば3kWの発電をするには、およそ20㎡前後の面積を有し、200kg~300kg程の重さに耐えられる土台が必要です。

ほとんどのケースで問題ないと考えられますが、場合によっては補強が必要だったり、設置が不可能だったりする場合もあります。

交換効率が大切

太陽電池の優劣を決めるのは交換効率です。
交換効率とは、元になるエネルギーをどれだけ電力に変換できるかの割合になります。
現在、市販されている太陽電池の交換効率は、最高でも20%台です。

火力発電の交換効率である40~60%と比較すると、効率が悪いという意見もありますが、長期的に見れば単純にそうとも言い切れません。
枯渇が心配される化石燃料を使わず、二酸化炭素も排出しない太陽発電には、限りない可能性があるといえます。

また、現在開発中の太陽電池の中には、交換効率46%というものもあり、今後の実用化が期待されています。

太陽電池の材料と特性

太陽電池は、さまざまな材料で構成されています。
それぞれどのような特性があるのか見てみましょう。

単結晶シリコン

単結晶シリコンは、変換効率の高さや耐久性ともに優れ、これまで豊富な使用実績があります。
地上用は、もちろん人工衛星のソーラーパネルなどとしても使用されています。

強度が必要なソーラーパネルであれば、こちらを使用している可能性も高いです。

多結晶シリコン

多結晶シリコンは、単結晶シリコンよりも変換効率が劣りますが、比較的安価なため大量生産に適しています。
地上用として主に使用されています。

アモルファスシリコン型

アモルファスシリコン型は、変換効率が低いというデメリットがあります。
ただし、小さな電力が必要な場面で活躍しており、蛍光灯下でも比較的良く動くことも大きな特徴です。

アモルファスシリコン型は、電卓や腕時計などに使用されています。

単結晶化合物

単結晶化合物の変換効率は、18~24%と優れていますが、重く割れやすいという欠点があります。
ただし、そういった点がデメリットにならない無重力の宇宙空間での使用にはさしつかえないため、宇宙開発の現場で主に使用されています。

多結晶化合物

多結晶化合物は、変換効率が低く原料も少ないうえ、カドミウムなどの公害物質を含む場合もあるのは問題といえます。
ただし、アモルファスよりは変換効率に優れているため、電卓等に使用されることもあります。

太陽電池の温度特性

太陽電池の仕組みを考える時に忘れてはいけないのが温度特性です。
単結晶シリコン太陽電池・多結晶シリコン太陽電池などの結晶系太陽電池では、一定の温度以上になると出力が低下してしまいます。
これを温度特性といい、注意しなければいけないポイントの一つです。

太陽電池では、年間の放射照度だけではなく、温度特性にも注意しなければいけません。
夏の暑い時期には、太陽電池の表面温度が70℃以上になることもあります。
太陽光発電をはじめるにあたっては、夏場の出力低下も考慮しなくてはいけないのです。

 

太陽電池の用途

ここまで太陽電池の特性や材質について述べてきました。
では、実際にはどのようなところで使われているのでしょうか。

住宅や施設での使用

太陽電池の主な用途は、住宅や施設での使用になります。
最近では、住宅用太陽電池でも実用性に優れたものがあります。
電力自由化により一般家庭でも余剰電力を売ることができるようになったため、売電収入で設置コストを回収することも期待できます。

もちろん太陽発電とこれまでの電力を併用することも可能です。
そうすることで、住宅でも施設でも、電気代を節約できるメリットがあります。
企業では、節電目的の小規模な太陽発電から、電力を売ることを主な目的とした太陽電池施設、いわゆるメガソーラーを設置しているところまで、その取り組み方は多種多様です。

太陽電池のほかの用途

一般家庭でも取り入れられることが増えてきた太陽発電ですが、やはり産業用・事業用が住宅用を上回っているというのが現状です。
照明用・計算機用などのほか、人工衛星用として活用されることもあります。

より変換効率の良い太陽電池の開発も進んでいるので、今後の発展が大いに期待されるところです。

対応技術者が求められる太陽電池

東日本大震災をきっかけとして、電力問題に関心を寄せる人が増えています。

福島第一原発の事故により、原子力発電を疑問視するようになった声も少なくありません。
とはいえ火力発電では、二酸化炭素の排出量などから環境問題を悪化させる可能性も指摘されています。

そこで、注目されているのが太陽発電なのです。
今後も住宅・企業ともに太陽電池を使用するところが増えるのではないでしょうか。

しかし、出力が50kWを越える太陽光発電設備では、保守点検をする電気主任技術者が必要です。
電力自由化により、今後は大型の太陽光発電施設が増加すると予想されているので、電気主任技術者のニーズはますます高まることになるでしょう。

電気主任技術者として働くために必要な「電験3種」など、資格取得者の求人が増加する可能性もあります。
また、それに伴って日本の未来を支える技術者のさらなる育成も期待されています。

最後に

太陽電池の仕組みはとてもシンプルです。

単純な仕組みの中で、さまざまな素材を組み合わせることで、変換効率を少しでもアップさせることが太陽発電開発の肝(きも)ともいえます。

現在の市販品では、エネルギー変換効率20%台がほぼ最高値ですが、将来的には50%以上の商品が誕生しないとも限りません。

太陽発電の仕組みを理解するためのポイントを押さえ、今後の技術開発に期待しましょう。

まとめ
  • 発電効果を発明したのはアインシュタインである
  • 太陽電池の発電原理は、光エネルギーが当たって光電効果が起き、半導体によって電気が 取り出されることである
  • 太陽電池が電気を生成するのに必要な条件は太陽が当たることのみ

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