再生可能エネルギーの普及を促す政策が、日本だけでなく世界各国で広がり、太陽光関連の売電投資は急速に拡大してきました。
住宅の屋根はもちろん、ビルや工場の屋上、ビニールハウスの上にまで太陽光発電システムが設置される時代です。
近年とくに注目を集めているのが、駐車スペースであるガレージの屋根にソーラーパネルを設置する「ソーラーカーポート」です。
今回は、注目のカーポートについて詳しく解説します。
口コミもあわせて見ていきましょう。
カーポートで太陽光発電
マイカーを雨から守る役割をもつカーポート。
「この屋根スペースを有効活用して太陽光発電をしたい」と考える人が多く、今注目を集めています。
人気の理由
ソーラーカーポートには、さまざまな設置メリットがあります。
ここではソーラーカーポートが人気を集める理由について、説明します。
屋根に設置できない家に最適
既存の住宅に太陽光パネルの設置を行う場合、さまざまな条件があります。
まず、南および東側に屋根や屋上に、面積の広い十分な設置スペースが確保できることが条件です。
新築時に太陽光パネル設置を行う住宅は、あらかじめ南側に広い平坦なスペースを確保して設計するため効率がよいのですが、既存の住宅の場合はその点がネックになりがちです。
それに加えて、寄棟造りに代表されるように、複雑な形の構造が多い日本の家屋。
屋根で太陽光発電をしようとしても、小さいパネルを組み合わせながらのレイアウトになってしまいます。
そうなるとコスト面や効率面で不利になることが多く、積載量も増やしにくくなってしまうのです。
その点、ガレージの屋根はフラットな面積を確保しやすい特徴があります。
たとえフラットでなくても改装の自由度が高いため、設置可能なケースが多いのです。
屋根と合わせて容量アップできる
すでに住宅の屋根に太陽光発電システムを構築し売電している場合は、ソーラーカーポートを利用することで容量設置を増やし、発電量を上げることが可能です。
たとえば、10kW未満の余剰電力買取制度の対象で売電をしている場合、ソーラーカーポートを増設し9.9kWの容量に増量したとします。
この場合、新規で設置した当時の高い売電価格のまま、現在の安い設置費用で増設することが可能です。
売電期間は設置当初から10年のままとなりますが、残りの買取期間が7~8年あれば、十分なメリットがあるといえます。
住宅の外観を損なわない
太陽光パネルの屋根設置を、外観が損なわれる理由から断念してしまうケースは、少なくありません。
パネル設置に適している住宅の南側は、大きな窓や中庭など、住宅の重要なポイントとなる部分が多く集まる部分。
近年の住宅は塀が少なく、周囲からの外観も重要視されるようになってきていることも要因です。
その点、ソーラーカーポートは屋根そのものにあまり傾斜をつけないため、架台の設置方法により外観を損なわない施工ができるのも、人気の理由となっています。
取り付けが簡単
ソーラーカーポートの場合、住宅の屋根の上に太陽光パネルを設置するのと比べて低い場所に設置することができるため、施工が短期間・低予算で行うことが可能。
カーポートの設置工事は屋根の上での作業と異なり、地上から作業を行うことができるのです。
また、メンテナンスについても、低い位置にパネルがあるため、日ごろから自分で汚れや破損がないかチェックすることができます。
汚れがあった場合は業者に発注することなく、自分で清掃ができるため、維持費が抑えられるメリットのもメリットです。
電気自動車に最適
近年、自動車市場のなかで電気自動車が急速に勢力を拡大し、各メーカーが電気自動車の開発に取り組んでいるのです。
街中にも専用の充電スポットが増えてきており、今後ますます普及が進んでいくことが予想されます。
ソーラーカーポートに電気自動車対応規格品のプラグインスタンドを設置すれば、家庭のコンセントからではなく、太陽光発電からの充電が可能です。
自宅のガレージで、自給自足のエコエネルギー環境を作ることができるようになります。
カーポート太陽光発電のデメリット
カーポート太陽光発電には、デメリットもあります。
効率のよいカーポート太陽光発電のために、デメリットも理解しておきましょう。
影になりやすい
低い位置にあるため設置やメンテナンスが容易であるというメリットは、その分、影ができやすいというデメリットにもつながります。
屋根よりも低い位置にあるため、季節や時間帯によっては、自宅や樹木、電柱の影に隠れて日の光が当たらない場合があるのです。
太陽光発電の場合、パネルを直列に接続しますので、一部でも影ができて発電量が下がった場合、影響範囲は想像以上に大きくなります。
とくに東側に障害物がある場合は、朝の起動時間が遅くなります。
結果、最大出力への到達時間も遅れ、ロスが大きくなるため注意が必要です。
自分の家や樹木なら予測がつきますが、隣接する土地に高い構造物や看板、電柱が新設されることも考慮しておく必要があります。
太陽光発電は長寿命ですので、売電期間が終わった後も自家消費や売電継続を考え、現地調査をしっかり行って長い期間での可能性を検討しましょう。
雪の影響
住宅に比べると設置が容易であるとはいえ、構造計算は必要です。
既存のカーポートに太陽光パネルを設置する場合は、設置者がかならず強度計算を行いましょう。
太陽光パネルは1枚でおよそ15~20kgあるものが主流です。
また、カーポートに直接パネルをおくのではなく、架台という鉄骨を組んでその上に設置するケースがほとんど。
補強なしでの設置は、なかなかありません。
また、雪の影響も考慮しておきましょう。
年に数日でも積雪がある場合は、その分の重さを考慮した構造設計が必要です。
屋根上や野立ての太陽光パネルと比べて、傾斜角度を緩やかに設置する場合が多いため、一度積雪するとなかなか溶けづらいという面もあります。
カーポート太陽光の平均価格
既存のガレージに架台をつけて太陽光パネルを設置する場合、補強工事にかかる費用は通常の太陽光システム費用に加え、税抜で25〜30万円程度かかるケースが多いようです。
1台用のガレージでは2kW前後しか載らないため、kW単価が相場よりも4〜5割高い、50万円相当まで上がる可能性があります。
2台用になると3〜5kWくらいまで積載量を増やすことが可能です。
補強の費用も合わせて、kW単価40万円程度が相場といえるでしょう。
また、ソーラーパネルにはさまざまな素材、価格帯の商品があります。
住宅用に多く使用されている結晶モジュール系やCIS系、素材によって発電効率も変わってくるので、設置環境にあったパネルを選定することが重要です。
システム費用が増えるにつれてパネル単価は減る傾向にあるため、小規模なシステムで初期費用の総額を抑えるか、大容量システムを導入して回収をめざすか、検討する必要があります。
複数の販売店に見積もりを依頼し、価格比較を行って初期費用を計算してみましょう。
売電収入とのバランスで、期間内に確実に回収し、長期間の売電が可能な販売店を選ぶことが大切です。
固定資産税はかかる?
自宅の敷地内にガレージがある場合、その分の固定資産税はどうなるのでしょうか。
課税対象となるかどうかは、ガレージのタイプによって決まります。
- 地面に基礎が埋め込まれており、そこに建物が建てられている場合
- 三方向が壁で覆われており、そこで作業、居住することが可能な場合
上記の条件を満たしていると、固定資産税の課税対象になります。
固定資産税により収益計算も左右されますので、できれば課税対象でないタイプを選択したいところです。
カーポート太陽光の口コミ
便利なカーポート太陽光ですが、実際の利用者の口コミや評判はどうなのでしょうか。
見ていきましょう。
30代男性
「以前から再生可能エネルギーに興味がありましたが、自宅の屋根に太陽光を設置するのは抵抗があり、あきらめていました。
太陽光を屋根ではなく、ガレージに設置できるということでしたので、もともとガレージが欲しかったということもあり、導入しました。」
40代男性
「発電量がシミュレーションを大幅に上回って、満足しています。
見た目もかっこよく、近所の方達からの評判もよいです。」
30代男性
「雨の日は雨除けになるし、晴れの日は発電するので、これなら一石二鳥になると思い導入を決めました。
順調に発電しており家族も喜んでいます。」
カーポートを有効的に使おう
カーポート太陽光のメリットとデメリットについてご紹介しました。
自宅の敷地内にカーポートがあるのであれば、その面積を有効的に使って発電し、エコ活動をしたいですね。
年間収益をプラスにするためには、初期費用を抑えて長期間発電できるシステムにすることが重要であることがわかりました。
売電単価や、設置条件、設置費用と年間売電収益とのバランスなど、いろいろな角度から検討することがおすすめです。
FIT価格の下落と、蓄電池の市場拡大により、注目される自家消費型の太陽光発電。
カーポートを有効利用して太陽光発電に参入してみましょう。
- カーポートの屋根に太陽光発電を設置する「ソーラーカーポート」が人気を集めている
- 設置の容易さや住宅屋根との併用によるメリットがある
- ソーラーカーポートには、影や積雪のリスクなどのデメリットもある
- 2台用のソーラーカーポートであれば、kW単価40万円程度が平均
- カーポートのタイプによって、固定資産税がかかる