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【太陽光発電】確定申告の際の必要書類とその書き方・所得の計算方法

太陽光発電

太陽光発電システムを導入し、自宅で使用しなかった余剰電力を電力会社に売電すると、売電収入が入ってきます。

売電収入は所得となるので、確定申告をする必要が出てきます。

確定申告は、毎年春先に行います。

しかし、その時期になってから書類を準備するのでは焦ってしまい、申告を失念してしまう恐れがあります。

例外もありますが、確定申告する際に所得の計算をどのように行えばよいのか必要な書類は何かなどを事前に知っておくことが大切です。

あらかじめ、どのような記入項目が必要なのかを把握しておき、いざというときにスムーズに確定申告書を提出できるようにしましょう。

 

太陽光発電による売電収入も所得の一種

前述でもあったように、太陽光発電システムを導入すると、売電収入を得られます。
発電して自宅で使用しなかった余剰電力を電力会社に売れば、売電収益が入ってくる仕組みです。

収入があれば所得税が発生しますから、確定申告が必要です。
しっかり所得を申告すれば、税金の支払いを抑えることにもなりますから、必ず行いましょう。

また、売電収入の額によっても課税対象になるか、ならないかが違ってくるため、売電収入と所得税の関係をしっかり把握しておく必要があります。

さらに、課税対象は売電収入だけでなく、太陽光発電設備も「固定資産税」がかかってしまうことがあります。

住宅用太陽光発電の場合、固定資産税の対象となるのは、こちらすべての条件に該当する方に限られます。

  1. 屋根と一体型のタイプ
  2. 設置容量が10kw以上であること
  3. 年間の売電収入が20万円以上あること

産業用太陽光発電の場合には、小規模であっても設置容量が10kw以上であれば全量買取となり、事業目的で売電収入が得られるために固定資産税がかかります。

固定資産税の課税額を求める計算式は、「評価額×税率」で、税率は市町村によって異なります。(東京都の場合は1.4%)

課税評価額は、償却資産の取得年月取得価額及び耐用年数に基づき毎年計算されます。
課税額は調査次第で、1平米あたり200円などの課税例が参考になるでしょう。

また、確定申告が必要になる条件は、基本的に給与所得者以外に所得がある場合です。
太陽光発電の売電収入も立派な所得ですから、確定申告の必要が出てくるということになります。

所得は、収入から必要経費を差し引いたものです。
必要経費とは、太陽光発電の場合、基本的には導入費用を指します。

そう考えると、必要経費は太陽光発電パネルなどを導入した初年度にしか認められないように思えますが、経費として認められる年数は、通常17年と法定耐用年数に定められています。
つまり、17年間は、太陽光発電の売電収益から導入費用を差し引くことができます

 

売電収入で得た所得の種類

太陽光発電による売電収入は、雑所得として扱われます。

売電収入は、電力会社から売電量とともに連絡がある売電額を1年分合計し、必要経費を差し引いて算出することができます。
必要経費には、太陽光発電システムの導入費用以外にも、いくつかの種類があります。
のちほど詳しく触れますが、代表的なものとして「メンテナンス費用」「パワーコンディショナーの交換費用」などがあげられます。

導入費用は、減価償却資産としてパネルなどを取得した価格から、法定耐用年数の全償却期間にわたって分割して計算します。

また、所得の内容が変わる場合があります。
これは、自宅ではなく、賃貸アパートやマンションの屋上に太陽光発電パネルを設置した場合です。
余剰電力を売電する場合は不動産所得全量売電する場合は雑所得となります。

さらに、それが事業として設置された太陽光発電設備については、事業所得となるため注意が必要です。

 

必要経費として認められる費用

太陽光発電システムをローンで設置した場合、支払い利息を必要経費に計上することができます
確定申告の対象期間分
の利息を加算すれば 、簡単に必要経費とすることが可能です。

システムのメンテナンス費用パワーコンディショナーの運電費用も必要経費に加算して問題ありません。
パワーコンディショナーとは、太陽光パネルによって発生する直流電力を家庭用に交流電力に変換する装置のことです。
この電気代も必要経費にできますから、毎月数百円分としても年間にすれば数千円の必要経費として算出が可能となります。

必要経費として認められるのは、余剰電力を売却するために必要な経費のみです。

太陽光発電システムの導入費用全てを必要経費に計上できるわけではなく、売電のために使用した経費のみを必要経費として申告できることを忘れないでおきましょう。

 

確定申告時に注意すべき点

太陽光発電の確定申告をするにあたって、見落としやすい所得や費用があります。
ここで紹介するものを参考にして、実際の申告時に漏れがないようにしてください。

系統連系工事負担金

売電のために太陽光発電システムを電力会社の電力網に接続するには、系統連系工事が必要です。
系統連携工事費は発電業者が負担するもので、関連するシステムは電力会社に帰属します。
その工事費を「
連系工事負担金」といい、太陽光発電システムの取得価額にはできません
システムの所有権が電力会社にあり、発電業者にないためです。

連系工事負担金は、繰延資産扱いになります。

本来であれば費用に分類されるものの、長期間にわたって効果が見込めるため、繰延資産として扱われるのです。
連系工事負担金の償却期間は15年です。

電気ガス供給施設利用権の法定耐用年数に準じたもので、減価償却費として必要経費化するためには、連系工事負担金として支払った金額を15年で割ることになります。

もしも連系工事負担金を太陽光発電システムの取得価額に含めて確定申告してしまうと、本来より多くの取得価額を申告することになってしまいます。結果として、償却資産税を多く支払うことになりかねないので注意が必要です。

自治体からの補助金分

太陽光発電システムを設置するにあたって、自治体から補助金を受けた場合も、補助金分に注意が必要です。
単純に必要経費に上乗せすることはできませんから、補助金分を差し引かなければなりません。
併用も可能な補助金だけに、大きな金額となることもあり得ます。

補助金は一時所得として扱われ、通常は50万円の特別控除を差し引いた金額の半分が、20万円を超えるかどうかが申告の分かれ道となります。
差し引いた金額が20万円を超えたら、確定申告する必要が出てきます。

ただし、太陽光発電システム導入のための補助金には、特例も設けられています。

国庫補助金等の「総収入金額不算入」という規定で、これにより、太陽光発電システム導入のための補助金は非課税となります。
この特例を受けるためには、国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書を添付したうえで確定申告を行う必要があるため、手続き前に必ず準備してください。

給与取得者が売電収入を得た場合の確定申告

サラリーマンなどの給与所得者の場合、基本的には勤務先で源泉徴収や年末調整を行っているはずです。
これは税金納付の手続きを勤務先が代行しているわけですが、雇用主が従業員に支払った所得に対してのみが対象となります。

給与所得者でも、太陽光発電を導入して売電収入を得ている場合は、別途、確定申告が必要になります。
しかし、売電収入としての雑所得が年間20万円未満であれば、例外として確定申告は不要となります。

注意しておきたいのは、プレミアム価格で買い取り事業を行っている会社に、売電先を切り替えた場合です。
この場合は、売電価格が高くなったことにより、余剰売電額が増加して年間20万円以上の売電収入となる可能性があります。

自宅で電力を使用せず、全量売電する場合も、売電割合によっては確定申告が必要になりますので、しっかり覚えておきましょう。

 

確定申告書の作成と提出方法

太陽光発電による売電収入を得た場合、確定申告をするにあたって確定申告書を作成しなければなりません。
現在では、インターネット上で確定申告書の作成が可能ですので、税務署から書類をもらってくるなどの面倒な手間を省くことができます。

また、確定申告の書類を作成するだけでなく、提出もインターネット上で完了できます。

確定申告書類は、国税庁のホームページからアクセスできますし、そのまま、入力も可能ですので、必要経費や売電収入などを記した領収書などを用意して、確定申告書の作成を進めましょう。

確定申告書の流れは以下となります。

  1. 国税庁の確定申告書など作成コーナーにアクセスし、作成開始ボタンを押すと、税務署への提出方法の選択をするボタンが登場します。
  2. 確定申告書を印刷して税務署に郵送するか、e-Taxとしてインターネット上で提出   するかのどちらかを選べます。
  3. 作成する申告書の種類を選ぶコーナーで、所得税の確定申告書作成コーナーを選びます。
  4. 次の画面では、赤く囲まれた「左記以外の所得のある方(全ての所得対応)」ボタンを押しましょう。ここまで来たら、申告書の作成に入ることができます。
  5. 給与所得者の場合は、あらかじめ源泉徴収票を手元に準備しておき、給与所得ボタンを押して出てきた画面に入力していきます。
    源泉徴収票のどこを見て数字を入力すればよいかは、画面を見ても一目瞭然。該当箇所に数字を入力し終えたら、今度は、太陽光発電収入による雑所得の入力をしていきます。
  6. 雑所得(その他)のボタンを押すと、画面が切り替わります。

入力するのは、「報酬などの支払者の氏名・名称、所得の生ずる場所」と、「収入金額」、「必要経費」です。
収入金額や必要経費を算出する手間がかかったことを考えると、確定申告書における入力は、非常にわかりやすくシンプルです。

 

確定申告と延滞税

確定申告で太陽光発電による売電収入を申告し忘れた場合、本来は納税義務があるとしたら、正当な課税に加えて延滞税を請求されてしまいます。

大した売電収入ではないため、確定申告そのものが面倒…

そのような理由で申告を怠ると、結局はになりかねません。

ただでさえ、税金の支払いは負担になるものですから、延滞税を余計にとられてしまうのは勿体ない話です。

太陽光発電による売電収入を含め、所得額は住民税にも影響してきますから、正当な住民税を支払うためにも、確定申告を行う重要度は高いといえます。

せっかく導入した太陽光発電システムを有効に活用するためにも、毎年、期限内にきちんと確定申告を行いましょう。

 

まとめ
  • 太陽光発電で売電収入を得た場合、条件が該当する場合は確定申告が必要
  • 売電収入の種類は、住宅用が「雑所得」、賃貸アパートなどが「不動産所得」、事業用が「事業所得」として扱われる
  • 必要経費として認められるのは、電力を売却するために必要な費用のみ
  • 電力会社の電力網に接続する連系工事負担金は、電気ガス供給施設利用権の法定耐用年数 に準じて、支払った金額の15年で割ることになる
  • 補助金は一時所得として扱われ、特別控除を差し引いた金額の半分が20万円以上の場合 は確定申告が必要
  • 売電収入としての雑所得が年間20万円以上の場合は確定申告が必要
  • 確定申告書はインターネット上で作成が可能で、収入金額や必要経費を算出する手間がな く、比較的わかりやすい
  • 延滞税を請求されないよう確定申告はきちんと行うべき

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