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個人年金解約時の税金|解約返戻金を受け取った場合の確定申告

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生活保険文化センターの調査では、夫婦2人が老後の生活を送るためには、最低でも月額平均22万円が必要で、趣味などゆとりのある生活であれば平均35万円は必要だと考えられていることがわかっています。

 

しかし、老後の収入である年金は、将来減額される、もしくは受給期間も遅くなるなどの問題が懸念されており、その対策として個人年金が注目されています。

その個人年金を何かの理由でやむを得ずに解約することになった場合、税金や確定申告についてどう対処すべきなのでしょうか。

 

ここでは、個人年金を解約した時に受け取れる解約返戻金について、また、それに付随する確定申告での注意点などをご紹介します。

 

個人年金の支払いは原則長期に

個人年金は、一定期間を運用することで、将来的に年金としてお金がもらえる仕組みです。つまり、長期積立を行って一定期間に達すると、年金としてお金をもらうことができます。60歳から65歳あたりで受給期間の開始が一般的です。ただ、個人年金は受取方法に3タイプあり、それぞれメリットとデメリットが異なります。

 

まず1つ目が終身型です。

終身型は、被保険者が死亡するまで年金が支給されるタイプで、安心感が強い反面、支払う保険料は高めなことがほとんどです。終身型のデメリットは、被保険者が早く亡くなってしまった場合に、受け取れる年金が支払った保険料を下回る恐れもあります。

 

2つ目が確定型で、契約時にあらかじめ年金が受け取れる期間を設定するタイプです。この場合では、もし受給期間中に被保険者が死亡しても遺族が代わりに受け取ることができるので、保険料を下回ることはありません。

 

3つ目の有期型は、確定型同様に受取期間を設定するタイプですが、被保険者の死亡と同時に年金が受け取れなくなる仕組みとなっています。そのため、終身型と同じデメリットがある一方、保険料は比較的に安価です。

 

個人年金の支払い方法には、一度に支払う一時払い型と月、半年、年払いから選択できる定額型があり、主流は定額型です。定額型の場合、保険料払込期間中に解約すると解約返戻金が還元されますが、今までの支払保険料総額よりも少ない金額が還元されるのが一般的となります。

 

特に3年目までの返戻率は少なく設定されているため、より多くの個人年金を得るためには、長期運用が欠かせないというわけです。

 

ただ、将来的に受け取れる年金額が大きいほど、支払う保険料は高くなってしまうので、負担なく払える保険料に設定できる総額を設定することが望ましいといえます。

 

解約返戻金を受け取ったら課税対象になる?

日本では、一定の収入額に応じて税金を支払うことが義務化されています。何かの事情でやむを得ずに個人年金を解約する場合、解約返戻金が戻されます。この解約返戻金を受け取る時に課税対象となるのでしょうか。

 

解約返戻金を受け取ることが可能な保険は、貯蓄性や資産性のある保険商品とみなされます。ですから、解約返戻金は一時所得となるため、所得税の課税対象となります。

 

なお、解約返戻金を一時金として受け取った場合は一時所得で、年金として受け取った場合は雑所得の扱いになります。一時所得では控除の50万円を差し引いた半分の金額が税金であり、雑所得は年金額に対応した払込保険料から引いた額になるので違いに注意しましょう。

 

そして、税金の負担は、必ずとも保険料負担者ではありません。例えば、保険料負担者が夫で、解約時に夫が解約返戻金を受け取っても、納税義務が妻の口座になっている場合もあるため契約前や解約前に確認しておきましょう。

 

必ず確定申告を行う必要があるか

一般的に会社で働く社会人は、会社が税金の源泉徴収を行うため確定申告を行う必要はありません。しかし、自営業などは、確定申告にて税金を納めます。では、個人年金の解約返戻金ではどうなのでしょうか。

 

個人年金の解約返戻金は、一時取得であるため課税対象となり、その金額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。しかし、一時所得の計算では、特別控除の50万円や2分の1課税などがあるので、20万円以下であれば課税対象ではないので確定申告をする必要はありません。

 

前項で触れた通り、解約返戻金を年金で受け取る場合は雑所得に分類されます。この場合は、原則的に年金から差し引きされるので確定申告は不要です。

 

このように解約返戻金の受取額に応じて、一時所得としての税金は発生し、受取金額が控除を差し引いて20万円を越えるであれば確定申告が必要、受取額が20万円以下と雑所得の場合は確定申告が不要ということを理解しておきましょう。

 

また、個人年金は、個人年金保険料控除の対象です。個人年金保険料控除とは、1年間に支払った保険料に応じて所得税が減税される一般生命保険料控除の一種です。

 

所得税の負担を抑えるためにも、確定申告しておくと良いでしょう。控除や確定申告では、保険会社が発行する生命保険料控除証明書が必要になります。

 

確定申告を行う場合の注意点

解約返戻金の税金が贈与税に該当した場合、また、満期保険金などの入金が複数発生した場合は、どう対応すべきなのでしょうか。

 

一時所得の計算方法を含めて、確定申告での注意点をご紹介していきましょう。

 

所得税ではなく贈与税になることも

解約返戻金は、一時所得なので税金は所得税ですが、条件によって贈与税となるケースがあります。その条件とは、保険料負担者と解約返戻金を受け取る人が異なる場合に該当します。

 

例えば、夫が保険料負担者として個人年金を契約し、後日解約した場合、夫のところに解約返戻金が渡れば一時所得の扱いになります。一方、夫が保険料負担者で個人年金を解約し、子どもや妻が解約返戻金を受け取った場合は、贈与税に分類されるのです。

 

個人年金など保険契約では、保険料負担者が基準となるため、必ずしも契約者が保険料負担者というわけではありません。契約内容などをしっかり確認しておく必要があります。

 

なお、贈与税の場合は、

 

「(解約返戻金-110万円(基礎控除額)×贈与税の税率」

 

の計算式で求めることが可能です。

 

一時所得の計算方法

解約返戻金の税金を確定申告するにあたり、まずは一時所得を把握する必要があります。

 

一時所得を求める場合は、

 

「{解約返戻金-一時払保険料-50万円(特別控除)}×1/2」

 

という計算式で求めることが可能です。

 

基本的に個人年金を途中解約した場合に受け取れる解約返戻金は、払込保険料よりも下回ることが多いので、一時取得が20万円を越える機会はほとんどないでしょう。

 

満期保険金など複数の入金があった場合

人によっては、個人年金以外に生命保険に加入している場合があります。1年間のうちに個人年金の解約返戻金以外に、生命保険の満期保険金など複数の入金があった場合も確定申告は必要なのでしょうか。

 

そもそも満期保険金とは保険料の支払いが満期になった時に受け取れる一時金です。この満期保険金も解約返戻金同様に一時所得の扱いとなるので、20万円を越える場合であれば所得税の対象になります。

 

計算方法は、解約返戻金と同じく

 

「{満期保険金-払込保険料-50万円}×1/2」

 

で求めることができます。

 

それでは、満期保険金と解約返戻金の受取人が同一で、一時所得として1年間のうちに複数入金があった場合の計算方法をご紹介します。

 

複数入金の場合は、

 

「{(満期保険金+払込保険料)-(解約返戻金+一時払保険料)-50}×1/2」

 

の計算式で一時所得を求めることが可能です。

 

例えば、満期保険金が500万円で払込保険料が300万円、解約返戻金が200万円で一時払保険料が260万円のケースで計算してみましょう。

 

「{(500万円+300万円)-(200万円+260万円)-50万円}×1/2=45万円」

 

という結果になりました。

 

雑所得になると異なりますが、どちらも一時所得であれば一緒に合算して計算することが可能です。解約返戻金が納税対象にならない場合でも、満期保険金など複数の入金がある場合は、損益通算で20万円を越えるのであれば一時所得の申告をする必要があります。

 

税金を正しく納めない行為は、脱税にあたる可能性も出てきますから、しっかり把握したうえで確定申告をしましょう。

 

最後に・・・

将来もらえる年金は、今後どのように変化するか予想ができません。最悪の場合は、年金が受け取れなくなる可能性もあります。そのような事態を避けるため、老後にゆとりのある生活を実現するために個人年金への加入は、増加傾向を見せているのです。

 

しかし、中には保険料の負担が大きいなどの理由で、途中解約をする場合もあります。途中解約で受け取れる解約返戻金は、払込保険料より下回る可能性があるので、できれば無理なく支払える総額設定で長期積み立てを行った方が望ましいです。

 

もしも途中解約が必要な場合、受け取る金額によっては納税対象となるので、ここでお伝えした注意点を理解したうえで正しく確定申告を行ってください。

まとめ
・個人年金の解約返戻金や満期保険金は一時取得の扱いになる
・一時所得が20万円を越える場合は、納税対象で確定申告が必要
・保険料負担者と解約返戻金の受取人が異なる場合は所得税ではなく贈与税となる
・満期保険金など複数入金の場合は損益通算で計算し20万円を超える場合は確定申告が必要

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