太陽光発電とは、その名の通り太陽の光エネルギーを利用して発電をすることです。
再生可能エネルギーとして人気の高い太陽光発電ですが、光については理解していますか?
辞書や百科事典で光を調べると「主に太陽などから発せられる赤外線から紫外線までの波長域の電磁波」と載っています。
ただ一言で光といっても、その種類は一種類ではなく、明るさや強さを表すにもさまざまな単位があります。
太陽光発電をお考えの方、すでに導入している方も、しっかり光の単位を理解するのがいいでしょう。
今回は光の基礎知識や、太陽の光と太陽電池との関係性について解説していきます。
光の強さを表す【光度(こうど)】とは
光源から電磁波の束がどのくらい放射されているかを表す値【光束】。
光は大きくわけて2種類あります。
人間の眼で感じることのできる波長範囲【可視光線(可視域)】と、人間の眼では認識できない【紫外線(紫外域)】や【赤外線(赤外域)】です。
【光束】とは人間の眼で感じることのできる【可視光線】の量をいいます。
この光束量は、主に照明器具の明るさの尺度として利用されており、単位は【lm(ルーメン)】です。
この光束というものに方向性は無く、光源から放射されるすべての光の量を表します。
たとえば60Wの電球と40Wの電球を比べると60Wの電球の方が明るく感じます。
これは60Wの電球の方が光の量、すなわち光束が多いためです。
対して、光源から一定の方向への単位立体角あたりの光の量を表すものが【光度】。
簡単にいえば、ある方向への光源の光の強さであり、単位は「cd(カンデラ)」です。
光源から全方向に光が照射されていたとしても、各方向への光束の量が違うため、方向によりその光度は違います。
懐中電灯や豆電球などは、光束の割には明るく感じます。
それは、反射鏡やレンズによってあらゆる方向の光束を一定の方向へ集め光度を高めているからです。
このような光束の単位立体角内の密度を表すものを光度と呼びます。
照度(しょうど)と輝度(きど)
光の量を表す光束や光度。このほかにも、【照度】や【輝度】と呼ばれる単位があります。
【照度】や【輝度】とは、どのようなときに使う単位なのでしょうか。
ひとつずつ順に解説していきます。
照度
照度とは光源自体の明るさの度合いではなく単位面積あたりに入射する光束、すなわち照らされた場所の明るさをいいます。
単位は「lx(ルクス)」です。
「lm/m2(ルーメン毎平方メートル)」と表現されることもあります。
つまり1平方メートルの広さにおいて1ルクスの照度を確保したい場合、1ルーメンの光源が必要になるということです。
ちなみに太陽光の日平均照度は、32,000ルクスから100,000ルクス。
同じ光源であってもその光源からの距離が違えば、人が感じる明るさは同じではありません。
たとえば、同じ室内にいたとしても窓際は明るく、窓から離れた場所はそれよりも暗く感じます。
それが照度の違いです。
また、物体が光源からの光線に対して垂直であった場合と斜めであった場合を比べると斜めに照射される物体のほうが暗くなってしまいます。
どれだけ対象物を照らしているかを表す指標、それが照度です。
輝度
輝度とは光の輝き度合い、まぶしさの度合いをいい、単位は「cd/m2(カンデラ毎平方メートル)」です。
これは光源のまぶしさだけではなく、光っているものすべてから観測者へ向かって発する光の強さを示す指標であり、ある程度の大きさの光源の強さを表します。
たとえば透明の電球では輝いてまぶしく見えますが、白ガラスの電球では輝きが低下。
輝度とはこのような見かけ上の輝きの度合いをいいます。
同じまぶしさであれば大きな光源ほどが輝度は小さく、小さな光源ほど輝度が高い。
この輝度が大きすぎると「グレア」と呼ばれる不快なまぶしさになります。
また、サングラスやUVカットの衣類を作る際には、「光度」「照度」「輝度」を参考とします。
紫外可視近赤外分光法によって、光吸収を測定。
紫外可視分光光度計で、とある試料の分光分析をし、透過率を比べることができます。
UV測定をすることも可能です。
太陽光発電の仕組み
太陽光は白色光です。
白色光は細分化され、それ以上分けることができない光は単色光と呼ばれます。
太陽光発電と光エネルギーが密接な関係があることは誰もがわかるかと思います。
しかし、その光エネルギーを太陽電池がいったいどのようにして電気エネルギーに変換しているのか、詳しく知っている人は多くありません。
ここでは、光のエネルギーを太陽電池がどう利用して発電するのかについて解説します。
太陽電池というのは電池という名がついていますが、一般的な電池とは違い蓄電する機能は無く、発電機としての役割です。
太陽電池とは、太陽の光エネルギーを吸収しその変換過程で熱や蒸気、運動エネルギーなどの変換を必要とせず直接電気へと変える変換素子。
主にシリコンなどの半導体で作られており、太陽から放射される光エネルギーが太陽電池内部のシリコンに当たることで【光起電力効果】や【光電効果】という現象が起こります。
その結果、太陽電池を構成する半導体の電子が動き電気が発生します。
光エネルギーをより多く利用するためには、太陽に対する太陽電池の角度が重要になるのです。
太陽電池に対して太陽光が直角に当たる角度が、最も効率的に発電します。
ただ、太陽の位置は季節や時間、地域によってさまざまです。
たとえば6月は太陽の高度が高くなるため、太陽電池を水平に近づけた方がよく発電し、逆に12月は太陽の高度が低くなるため、傾斜をきつくしたほうがよく発電します。
しかし、太陽電池は基本的に固定されているため、もっとも効率のよい傾斜角を選ばなければいけません。
地域によって若干の前後はしますが、おおよそ30度前後の真南向きがもっとも効率がいいとされています。
発電機としての太陽電池に付属品の蓄電池をあわせれば、より電気使用の効率化がされます。
太陽発電に必要な【日射強度】とは
日射量はある一定時間における日射の強さをいいます。
対して、日射強度とはある一瞬の光の強さのことであり、単位は「kW/m2」です。
前述した光度は光そのものの強さであり、この日射強度は1平方メートルあたりの光の強さになります。
この日射強度は、太陽電池の動作特性表示や各種測定などシステム設計上の基礎的な部分です。
太陽電池の出力は光の強さ、すなわち日射強度に比例するため、太陽光発電において重要なファクターといえます。
光を表す単位はさまざま
人間は太陽と共に生きてきました。
日の出と共に活動をはじめ、日の入りと共に休む。
人間は太陽のぬくもりや明るさを感じることはできますが、それから発せられている光そのものを認識できるのは、可視光線と呼ばれる一部の光にすぎません。
眼に見えない光もたくさんあります。
そうした眼に見えない光も含めた太陽の光を材料として、新たなエネルギーを生み出す仕組みが太陽光発電です。
その認識できる光やできない光は、状況や観測する視点によってさまざまな単位で表されます。
太陽の光を利用して発電している、ということだけわかれば単位など知らなくても設置し利用するには問題ないと思うかもしれません。
実際にその通りですし、太陽光発電を設置している人の多くはそういった知識を有していないのも事実です。
ですが、太陽光発電と太陽の光とは密接な関係があることはいうまでもありません。
太陽光発電を最大限に活用するためには、光に関する知識を知っておいて損はありません。
- 光には人間が見えるものと見えないものがある
- 光を表す単位は状況や視点によってさまざま
- 太陽電池は光を直接電気に変える発電機
- 太陽光発電にとって光度や日射強度はとても重要
- 単位など知らなくても太陽光はできるが、知っておいて損はない