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電力の効率化をはかる「太陽熱発電の仕組み」とメリット・デメリット

太陽光発電

昨今、地球温暖化の進行を止めるべく、私たち人間社会は低炭素社会や脱炭素社会の実現を目指し、技術開発等を行っています。

これらの社会を実現するために注目されているのは、再生可能エネルギーです。

 

再生可能エネルギーとは、

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 地熱発電
  • 水力発電
  • バイオマス発電

という自然からつくる電気のことを指します。

 

再生可能エネルギーは、国の支援制度が設けられており、ビジネスとしてもいま注目を浴びています。

そこで今回は、太陽光発電と同じ太陽エネルギーを利用した太陽熱発電について解説していきます。

「太陽熱発電」とは?

地球は太陽系の惑星に光や熱を供給しています。

太陽は約46億年前から存在しているとされていて、寿命も数百億年とかなり長いと考えられているため、すぐになくなってしまう心配はありません。

 

太陽エネルギーは太陽はなくならない限り永遠と続く、再生可能エネルギーです。

そんな太陽が供給してくれる光エネルギーや熱エネルギーを利用した発電が近年話題になっています。

太陽熱発電の仕組み

太陽熱発電は、太陽の光が持っている太陽エネルギーによって生じる熱を、レンズや反射鏡などの集光ミラーで集め、蒸気タービンを回転させることで電気を発電するシステムのことをいいます。

 

太陽光発電と混同されがちですが、仕組みは全くの別物です。

太陽熱発電の発電量は日射量に大きく依存しています。

 

また、日射量の他にも、発電システムの構造上、湿気や砂嵐、雲などの日光を阻害してしまう要素が少ないエリアが太陽熱発電に好ましいとされています。

太陽熱発電と太陽光発電の違い

太陽光発電と、太陽熱発電の大きな違いは3つあります。

 

まず、発電システムです。

太陽光発電は、太陽光をセルの集合体である太陽光パネルに入射させることで、太陽電池として稼働させ太陽エネルギーを直接電気に変換する発電方法です。

 

一方で、太陽熱発電は先ほども述べたように、太陽光を集積させ、発生した熱によって蒸気タービンを回転させ、発電を行います。

発電効率(エネルギー効率は、太陽熱発電が8~30%であるのに対して、太陽光発電は約20%程度と、太陽熱発電の種類によっては太陽光発電よりも発電効率が高くなります。

 

また、2つ目はコストの面です。

太陽光発電はパワーコンディショナーや蓄電池という装置が必要であるため、太陽熱発電よりも高価になります。

 

3つ目の大きな違いは、太陽光発電はパネルの大きさによって出力規模を柔軟に変えることができます。

しかし、太陽熱発電は、システム自体が大きいため、設置するには広大な土地が必要となりなります。

また、砂漠のような直射日光の強い土地が必要となるため、太陽熱発電は日本に不向きとされています。

太陽熱発電の種類は4種類

太陽熱発電は大きくわけて4種類あります。

種類によって発電の仕組みや発電の効率が異なるため、それぞれの種類について解説しましょう。

パラボラ・トラフ型

パラボラ・トラフ型は、放射形状の曲面反射鏡を利用することで、太陽光を集積し、熱を蓄えて発電を行うシステムです。

 

反射鏡の前にパイプを設置して、そのパイプの中にオイルを流します。

そのパイプに太陽光を集積させて、加熱されたオイルを熱交換器に輸送し、蒸気を発生させることでタービンを回して発電を行います。

 

構造も複雑でなく、集光技術もシンプルなので、システムにかかるコストが少ないというのが特徴です。

集光ミラーを単純に並べればよいので、大規模な発電施設を簡単に建設することができます。

現在では、溶解塩を熱媒としたシステムも登場しています。

リニア・フレネル型

リニア・フレネル型は、前述のトラフ式の発電法と技術が類似しています。

フレネル式では、反射鏡の数メートル上方に設置した集熱管に光を集めることで、蒸気を発生させて発電を行うシステムです。

 

凹型の集光用反射鏡の角度を少しずつずらして並べて、集熱管を固定して設置しているシステムです。

トラフ式と比較すると発電効率は低くなりますが、コストがトラフ式よりも安価であり、反射鏡が強風に耐えられるようになっています。

タワー型

タワー式の太陽熱発電システムは、集熱器を搭載したソーラータワーの周囲に平面鏡を設置して、反射光をタワー上部の集熱器に光を集めることで蓄熱をして発電を行うシステムです。

 

数メートル四方の集光ミラーをタワーの周囲に数百枚から数千枚設置し、光を一点に集中させることで、高温の蒸気を発生させることが可能となります。

 

光を集めるために、障害物をなくすためにタワーを高くしたり、反射鏡を正確に動かしたりする必要があるため、設備にかかるコストが高くなる傾向にあります

ディッシュ型

ディッシュ型の太陽発電システムは、集光ミラーの前方に設置されているスターリングエンジンなどに、放物曲線状の集光ミラーを使用して発電を行うシステムです。

 

光を集める集光ミラーと電力に変換する部分が一体となっているため、サイズが5~15メートルと比較的小さいのが利点です。

さらに発電効率が高く、冷却水を必要としないというメリットもあります。

 

しかし、ディッシュ型の太陽熱発電システムは、まだまだ実用例が少なく、更なる改良が必要なシステムだといわれています。

太陽熱発電のメリット・デメリット

太陽熱発電のメリットは、大きく分けて4つです。

 

【1】半永久的な資源の活用

太陽をエネルギー源としている太陽熱発電は、太陽がある限り無限に活用することが可能です。

 

【2】CO2を排出しない

地球温暖化が問題視されている昨今、その原因となっている温室効果ガス(CO2)の削減が求められています。

太陽エネルギーによる発電はCO2を排出しないため、温暖化対策としても注目を浴びています。

 

【3】太陽光発電に比べて低コスト

太陽光発電にはさまざまな設備が必要となります。

その点、太陽熱発電は太陽光発電に比べて低コストで設置することが可能です・

【4】夜間でも稼働できる

蓄熱により夜間でも電気の利用が可能となります。

 

一方の太陽熱発電のデメリットは、3つ。

 

【1】広い土地が必要

太陽光発電は、家の屋根やビルの側壁など、小さなスペースがあれば設置することは可能ですが、太陽熱発電は、反射鏡を何百枚も設置する必要があるので、かなりのスペースを必要です。

【2】雨季などによって天候不順に弱い

悪天候が長期にわたって続く場合は、発電が不可能になってしまうことを考慮する必要があります。

 

【3】発電できる地域が少数である

太陽熱発電は日照量の多い地域が向いているため、「サンベルト地帯」と呼ばれる地域が主要となっていて、日本には不向きとされています。

 

日本における太陽熱発電

日本における太陽熱発電はどのような状況にあるのでしょうか。

 

日本はおよそ北緯20度から46度の間に位置するため、それなりの日射量は確保できます。

しかし、日本には明確な四季があり、天候の悪い日も少なくありません。

そのため、湿気に強くない太陽熱発電システムは日本にあまり適していないといわれています。

 

また、日本の国土は狭く、太陽熱発電システムを紹介するサイトも多くありません。

そのため、日本では太陽熱発電システムは普及しているとはいいにくい状況です。

しかし今後、集光技術の改良が進んでいき、劇的に効率の良い太陽熱発電システムが開発されれば、日本で普及する可能性も十分に考えられます。

これからの太陽熱発電

ある一定の地域では、太陽熱発電の導入が進んでいます。

とくに世界の太陽熱発電の60%はアジアが保有しており、日本でも、2030年には全電源構成の7%まで太陽熱発電の割合が上昇するだろうと考えられています。

 

太陽熱発電は、化石燃料を使用せず、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーです。

温暖化や地球環境の観点からも、今後導入が進んでいくことが期待されています。

 

また、アメリカでも太陽熱発電は優先研究事項の上位にランクインしており、トランプ政権下においても、太陽光発電への投資を減らして、太陽熱発電の開発を進めるプロジェクトが進められています。

再生可能エネルギーが世界を救う

こうしている今も地球温暖化は進行しています。

化石燃料を使用する発電では、燃料の資源が枯渇してしまう事態が懸念されています。

そのような問題をすべて解決するのが、今回紹介した太陽熱発電のような、何度も繰り返し使えるエネルギー源を利用した再生可能エネルギーです。

 

再生可能エネルギーは、従来の発電方法よりも電力を安定的に供給することができず、発電コストが高いといった問題はありますが、技術革新によってこれらの問題が解決されれば、世界には明るい未来が待っています。

まとめ
  • 太陽熱発電は太陽光発電とは全くの別物
  • 太陽熱発電は再生可能エネルギーの一種で、環境への負荷が少ない
  • 太陽熱発電は主に4種類に分類される
  • 日本では気候条件や土地利用条件などが原因で導入が進んでいない
  • 世界では太陽熱発電を積極的に導入していく姿勢が見受けられる
  • 技術革新によって今後日本にも太陽熱発電が導入されていく見込み

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