政府は、2030年度に家庭やオフィス、工場など全ての照明についてLED化を図るため、LED照明製品の普及を地球温暖化対策の重要な施策として位置付ける方針を打ち出しました。
【環境にやさしい省エネ照明】といわれているLEDですが、お財布に優しいというイメージもあります。
普通の電球をLEDに変えると、電気代が本当に安くなるのでしょうか。
今回は、そんな疑問についてご説明します。
LEDって
LEDとは、Light Emitting Diodeの略で、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子のことです。
「発光ダイオード」と呼ばれることもあります。
近年急速に普及が進んでおり、信号機や交通標識、大型ビジョンや看板用照明をはじめ、さまざまな製品が蛍光灯式からLED式に変換されつつあります。
LEDはLEDライトやLEDランプと呼ばれ、直管蛍光灯やシーリング型(LEDシーリングライト)、蛍光灯型電球などさまざまなタイプがあります。
普通の電球・蛍光灯との違いは
普通の電球や蛍光灯と、LED電球の大きな違いは消費電力と寿命です。
LEDの消費電力は白熱電球に比べると約1/5程度です。
また、電球形蛍光灯と比較すると同等程度となります。
寿命は白熱電球の寿命が1,000~2,000時間程度、電球型蛍光灯の寿命が13,000時間程度であるのに対し、LED電球の寿命は4万時間程度となり、どの電球よりも長くなっています。
LEDのメリットとは
LEDのメリットとして、次のことが挙げられます。
- 消費電力が少ないため電気代が安くなる
白熱電球に比べると電力消費が約1/5程度のため、年間のコスト削減を見込めるというメリットがあります。
- 衝撃に強いため壊れにくい
白熱電球・蛍光灯とも外部はガラスのため割れやすく、衝撃には強くありません。
LED蛍光灯の外周部はシリコン樹脂などでコーティングされているため、たとえ地震で落下しても割れにくいというメリットがあります。
- 寿命が長いため電球交換の手間がかからない
LEDは寿命が長いため、交換の頻度が他よりも少なくて済み、手間がかからず効率的といえます。
- 頻繁にON/OFFしても寿命が縮むことがない
LEDはつけたり消したりしても寿命が縮むことがないため、こまめに消して節電することができます。
- 点灯するとすぐに明るくなる
LEDは他の照明器具と比べて、明るくなるまでに時間がかかりません。
- 紫外線を出さないため虫が集まってこない
LEDは発光ダイオードが発する光のスペクトルのうち、照明として不要な紫外線や赤外線を含まないという特性があるため、虫が集まりにくいというメリットがあります。
そこで、非常灯や室外用蛍光ランプに多く使用されています。
- 二酸化炭素の排出量が少なく環境に優しい
LEDは消費電力が少ないため、二酸化炭素の排出量を抑えられるというメリットがあります。
他にも、蛍光灯に使用される水銀を使わないため、LEDは環境に優しい半導体素子といえます。
LEDのデメリットとは
それでは、反対にLEDのデメリットをみていきましょう。
LEDのデメリットとしては、下記が挙げられます。
- 購入コストが高い
近年価格が下がってきているとはいえ、他の白熱電球や電球型蛍光灯と比較するとまだまだLED照明導入費用は高いというデメリットがあります。
- 使う場所に向き、不向きがある
熱に弱いという特性があるため、浴室など熱がこもる場所で使うと損傷する可能性があります。
- 白熱灯、蛍光灯に比べて重量が重い
白熱電球はE26口金のものが30g程度、ミニクリプトン電球はE17口金のものが15g程度ですが、LED電球は比較的小さいE17口金の製品でも40g程度あります。
E26口金の製品になると70g程度、重いものでは180g以上のものもあります。
天井や壁に設置する場合はさほど問題ありませんが、スタンド型や持ち運びたい場合にはデメリットといえるでしょう。
- 場所によって明度が異なる
蛍光灯は360°均一に光が届きますが、LEDは均一に光を放射できないため、場所によって明度が異なる場合があります。
電気代を節約する方法
従来の家庭用蛍光灯照明を、家庭用LED照明に変えることで、家庭の照明で使う電気の量を少なくし、電気代を節約することができます。
また、LEDはON/OFFの際に寿命が縮むことがないという特性を活かし、できるだけこまめに電気を消して節約することも可能です。
ただし、LED照明導入をいくら進めたとしても、高い料金プランを選んでいると節約につながらないケースがあります。
近年では電力自由化が開始され電力会社を自由に選べるようになったので、消費電力量や多く使う時間帯にあわせたプランの選択肢が豊富になりました。
夜に電気代が安くなるプランと、電気代の安い時間帯にあわせてお湯を沸かしておけるエコキュートなど、機器とを上手く組み合わせることで、電気代を抑えることができます。
自分の家庭にあったプランを見つけることで、電気代が劇的に安くなるケースもありますので、検討してみましょう。
太陽光発電という選択肢も
近年、キッチンやお風呂などのオール電化が普及し、家庭の電気代は上昇傾向にあります。
平成20年の総務省・統計局の家計調査によると、2人以上の家庭における水道・光熱費の平均月額は、22,666円。
この中で、ガスと電気が約20,000円を占めるという結果となっています。
そこで、注目を集めているのが【太陽光発電】です。
太陽光発電のパイオニアである京セラの試算によると、太陽光発電システムの導入+オール電化への切替によって、それまでは20,000円強かかっていた電気代+ガス代が、電気代4,000円程度のみに抑えられたケースがあるといいます。
もちろん、ソーラーパネルの面積や家の立地、天候や電力単価など可変要素はありますが、目安としてはそのくらいの効果は期待できるといえるでしょう。
しかし、太陽光発電システムの導入にはコストがかかり、節電が実現しても回収するまでにはある程度の時間がかかってしまいます。
そこで人気なのが、太陽光発電が標準装備されている住宅です。
【家の建築費】に太陽光発電を含んでいれば、負担感が少なくて済みます。
また使わなかった分を電力会社に売電することもできるため、省エネへの意識付けとしても注目されています。
節電=節約で家計負担を減らしましょう
いかがでしたか?
LED照明に変えることで、さまざまなメリットがある反面、デメリットもあることがわかりました。
用途に合わせて取り入れると、省エネに貢献することができ、節電で家計負担を減らすことができます。
しかし、LEDへの変更や太陽光発電システムの導入には、イニシャルコスト(初期費用)がかかります。
長い目でランニングコスト(保守・管理費用)を計算して、それぞれの用途と、特性にあわせて取り入れることで、各家庭にフィットした節約をすることが可能です。
地球環境にもやさしく、そして家庭のお財布にもやさしいエコスタイルを考えてみてはいかがでしょうか。
- LEDとは発光ダイオードのこと
- LEDは近年急速に普及してきている
- LEDは消費電力が少なく寿命が長い
- LEDにはコストや使用用途などのデメリットがある
- 時間帯によって電力量単価が安くなるプランを上手に使おう
- 「太陽光発電を導入する」という選択肢も検討してみよう