ソーラーシステムには、動力を使って機械的に行うアクティブソーラーや、太陽熱を利用した受け身型のパッシブソーラーがありますが、自作で取り入れるならパッシブソーラーがオススメです。
外部の自然環境をうまく取り入れるOMソーラーのノウハウを活かすことで、季節を問わず、快適に生活ができるようになります。
ソーラーシステムを自宅や会社に取り入れようと考えている人は、OMソーラーを参考にしてみましょう。
また、自作できるアクティブソーラーについてもご紹介しています。
両方を活かせば、更に過ごしやすい空間に変えられるはずですから、是非参考にしてみてください。
ソーラーシステムは自分で作れる!?
ソーラーシステムは、自分で作ることも可能です。
特に電力会社の送電網と繋がっていないタイプの独立型発電、「オフグリッドシステム」として多く利用されています。
ここでは、オフグリッドシステムを作るための道具をご紹介します。
■ オフグリッドシステムを作るために用意すべき道具
・ 太陽光パネル(太陽電池モジュール)
太陽光から直流電流を起こすために無くてはならない道具です。
取り付ける方角や角度によって発電量が変わり、発電量を多くするためには、太陽光が直角に当たるように設置します。
安定した供給量が欲しい場合は、方角は南、角度は30度にしましょう。
・ 充電コントローラー
太陽光から得た電気をバッテリーに充電させるための道具です。
過充電、過放電、逆流を防ぐこともでき、豊富な種類があります。
・ バッテリー
直流電流を充電するために使います。
ソーラーシステムと充電コントローラーの組み合わせを考慮して選択する必要があり、充電圧力が違うと充電ができない場合もあるので注意が必要です。
・ DC/ACインバーター
直流電流を交流電流に変える装置です。
定格出力、サージ電力、出力波形を考慮して選ぶことが基本です。
ですが、LED照明やデジタル家電の場合は、直流電流をそのまま利用するのでDC/ACインバーターを使う必要はありません。
そのほかにも、ケーブル・電圧計・電工ベンチなどの工具も必要となります。
続いて、接続方法を簡単に紹介します。
■ オフグリッドシステムの接続方法
① チャージコントローラーとバッテリーを繋ぎ合わせる。
チャージコントローラーにケーブルを繋ぎ、丸型端子をバッテリーに繋ぎます。
後でKIVケーブルをインバーターに接続するので、ネジは締めないでおきましょう。
② バッテリーとインバーダーを繋ぎ合わせる。
インバーターの後ろの端子と、KIVケーブルの丸型端子を繋ぎ、チャージコントローラーに繋いだKIVケーブルにインバーターのKIVケーブルを繋ぎ合わせ、ネジをしっかりと締めます。
③ 延長ケーブルを取り付ける。
太陽光パネルのケーブルに延長ケーブルを取り付けます。
④ 太陽光パネルとチャージコントローラーを繋ぎ合わせる。
太陽光パネルとチャージコントローラーを繋ぎます。
繋いだら太陽光パネルを太陽に向け、チャージコントローラーに「SUN」が点灯するか確認しましょう。
⑤チャージコントローラーと電圧計を繋ぐ。
電圧計を繋ぎ合わせ、電圧が正常にチャージされているか確認します。
接続時の注意点としては、プラスとマイナスの位置に気を付けることと、接続が終わるまで発電しないようにパネルを太陽に向けないようにすることです。
以上のように、自分でもソーラーシステムを作ることは可能です。
予算とシーンに合わせて作ることができ、災害時にも活躍することができるので大変便利です。
デメリットをあげるとするば技術でしょう。
ソーラーシステムを作るために必要な道具や工具を集め、正常にシステムが稼働するように接続をしなければいけません。
不具合が発生すれば、電力を充電することができないので、定期的に点検をする必要や直す技術も必要です。
ソーラーシステムの種類
ソーラーシステムは、大きくアクティブソーラーとパッシブソーラーにわけることができます。
ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
アクティブソーラー
アクティブソーラーとは、太陽集熱器や蓄熱槽などを使い、太陽エネルギーを利用するシステムのことをいいます。
太陽光発電装置は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変えて利用するシステムです。
太陽の光が当たることで、電気を起こす太陽電池モジュールを使用し発電させます。
すべての電化製品に使用することができ、使用しない分のエネルギーは、電力会社に売ることも可能です。
注目が高まっている産業用の太陽光発電施設では、このシステムを多く採用しています。
太陽熱温水器システムは、お湯を貯める貯湯槽と太陽光パネルが一体型となっており、太陽の熱エネルギーを利用して集熱させることでお湯を作り出します。
床暖房や給湯など、用途が限定されるシステムで、集熱板が太陽光を直角に受けるように取り付けると、効率よく集熱ができます。
また、太陽熱エネルギーを利用するソーラーシステムもアクティブソーラーの一種です。
集熱器と蓄熱槽の間に集熱回路を作り、集熱回路の熱媒を循環させることで、蓄熱槽にお湯を蓄える方法です。
集熱管の外側が真空 になっており、平版型よりも効率的に集熱ができます。
他にも、広く知られてはいませんが、バイオマス発電もアクティブソーラーです。
家畜の糞や食品廃棄物などの有機ゴミを燃焼させ、その熱を利用して発電させる仕組みで、再生可能エネルギーとして注目を集めています。
パッシブソーラー
パッシブソーラーとは、機械を使用せずに太陽エネルギーを利用するシステムです。
建物が建っている地形や環境、建物自体の構造や間取りを工夫することによって、太陽エネルギーや自然エネルギーを取り入れ、室内温度を調整することができます。
例えば、蓄熱率のあるレンガを使用した壁に太陽光を当て集熱し、その熱を暖房に利用する方法があります。
その他にも、庇(ひさし)やルーバーの角度によって日射を遮ることで、夏場の日陰を多くする方法などがあります。
メリットとデメリット
アクティブソーラーとパッシブソーラーの具体的なメリットやデメリットは何でしょうか。
比較して、特徴を掘り下げてみましょう。
■ アクティブソーラーのメリット
- 光熱費を削減できるため、電気料金を抑えることができる。
- 設備認定の申請が通れば、余ったエネルギーを売電でき、お金に変えることができる。
- 台風や地震などの災害時にも使用できる。
- 自治体に補助金を申請できる可能性がある。
■ アクティブソーラーのデメリット
- 発電量は日射量で左右されてしまう。
- 設置する際の初期費用が割高になってしまう。
- 雪が降る地域では、冬の発電量が少なくなってしまう。
- 保証期間が終わるとメンテナンス費用が必要になる。
- 売電価格が下降している。
■ パッシブソーラーのメリット
- 暖房に掛かるエネルギーを削減することが可能になる。
- 環境を汚染させずに利用できる。
- 家づくりで取り入れやすく、アクティブソーラーよりも費用が抑えられる。
■ パッシブソーラーのデメリット
- 太陽エネルギーをそのまま利用するシステムなので、日射量によっては効果が発揮されない場合がある。
- 補助熱源が必要となる可能性がある。
- 太陽エネルギーを有効活用するために、工夫が必要になる。
OMソーラーのノウハウを活かそう!
自然環境を利用する「OMソーラー」システムについて詳しく解説します。
OMソーラーとは?
自然が持っているエネルギーを利用して、過ごしやすい空間を作り出す方法で「太陽熱空気集熱式パッシブソーラーシステム」ともいわれています。
仕組みとしては、太陽の熱を利用して床暖房を行います。
仕組みが「おもしろく」自然の力を使わないと「もったいない」という、単語の頭文字を取ってOMソーラーと名付けられています。
夏の活用法
太陽の熱を利用するので、夏は活用しないのではないかと不安があるでしょうが、地中熱を利用することで、夏でも過ごしやすい環境になります。
暖かい空気は、上に溜まる性質を持つため、小屋裏に排気口を取り付け、熱を排出しやすくします。
家の中の換気もでき、清々しく爽やかな空間になるだけではなく、排出される熱を利用して、貯水槽の水を温めることも可能です。
また、夏の夜は、放射冷却現象を起こしやすいので、その現象を利用して室内を過ごしやすい空間へと変えることができます。
外気からの涼しい空気を取り込み、夏の夜も寝苦しくなく快適に過ごせます。
冬の活用法
冬場は、屋根に当たる太陽の熱を床下まで送り、建物の基礎部分にある蓄熱コンクリートに溜めながら、建物の内部に放熱することで、自然な暖かさを引き出してくれます。
夜には、昼間溜められた熱を利用して暖かくなり、昼夜の温度差を減らすことが可能です。
値段別!オススメ自作ソーラーシステム
値段別にオススメの自作ソーラーシステムをご紹介します。
一万円以内
5W程度の太陽光パネルであれば、1万円以下の価格で作ることが可能です。
バッテリー | 3000円程度 |
チャージコントローラー | 2000円程度 |
5Wソーラーパネル | 1600円程度 |
シガーソケット | 700円程度 |
配線コード2色 | 700円程度 |
端子台、ヒューズ、ワニ口クリップなど | 各150~400円程度 |
インバーター | 2500円程度 |
以上の道具を用意すれば、小さいながらも発電することができます。
三万円以内
ネットショッピングを利用すると、20W程度のものであればソーラー発電セットを購入することができます。
ソーラーシステムに必要な道具が、すべてセットになって売っているので、個別に道具をそろえる必要はありません。
五万円以内
ソーラー発電セットの50Wや100Wのものは、ネットショッピングで4万円前後で購入できます。
ベランダに取り付ければ、自宅や会社でも自家発電することが可能です。
正方形太陽光パネルは、横幅が小さく、設置場所への収まりが良いためオススメです。
説明書も入っているので、比較的作りやすいといえます。
自作ソーラーシステム、体験者の声
自作のソーラー発電セットを購入しても、有効活用できないのでは意味がありません。
ここでは、実際に自作ソーラーシステムをつくった体験者の声を聞いてみましょう。
「知識がないと難しかった」
小さいシステムであれば、自分でも作れると思ったけど、配線の位置や向きがわからず苦労しました。
必要な道具から用意しなければいけなかったので、ホームセンターで聞きながら準備をしましたが、買い忘れも多く、何度も足を運び出来上がるまで丸1日を要しました。
「安い出費で出来てよかった」
知人から専用のキッドが売っていると聞き、ネットで購入して作りました。
思ったよりも安い出費ででき、作り方も載っていたので時間もそれほど掛からず作成できました。保証も付いているので安心です。
「災害時でも活用できるので、オススメ」
オール電化の住宅に住んでいるのですが、台風が多い地域なので停電した際に不安を抱えていたのですが、ソーラーシステムがあるお陰で心配がなくなりました。
スマートフォンの充電もできますし、ほかにも色んなことに使えるので万が一の時にも安心です。
アクティブソーラーとパッシブソーラーの両方を活かして快適な生活を
アクティブソーラーは、セットで購入できるものもあり便利ですが、自作のものは基本的に小規模ですから、すべての電力がまかなえるわけではありません。
パッシブソーラーは、庭に木や蔓性の植物を植えて影を作るだけでも効果があり、気軽に取り入れやすいというメリットがあります。
アクティブソーラーとパッシブソーラーの2つを組み合わせることで、1つのシステムを利用するよりも快適に過ごすことができます。
- 小さいサイズのソーラー発電なら自作することも可能。
- 機械を利用するアクティブソーラーと自然環境を活かすパッシブソーラーは、どちらもメリッ トとデメリットがある。
- パッシブソーラーは、初期費用も1万円からと安く、地域も選ばないので取り入れやすい。
- 自作ソーラーをつくった体験者の声は制作に苦労しつつも満足の声が多い。
- アクティブソーラーとパッシブソーラーとを組み合わせればさらに快適に生活できる。