公式ブログ

良品構造と価格で比較|交換効率の高い太陽電池モジュールとは?

太陽光発電

皆さんは、太陽電池モジュールという言葉をご存知でしょうか。太陽光発電に詳しくない人には聞きなれない言葉かもしれません。

簡単に説明すると、「モジュール」は太陽光電池の機能単位で、太陽光発電には欠かせない存在です。モジュールを評価するには、交換効率や、その構造を把握することが重要です。

ここでは、その太陽光モジュールについて解説します。

太陽電池モジュールとは?

太陽電池モジュールとは、太陽電池の構成単位のうち、製品として流通させる単位のことを指します。太陽電池の単位は大きく分けて3つです。

太陽電池そのもののことを指す「セル」、そのセルを必要枚数配列し、ガラスや樹脂などでコーティングした「モジュール」、そして、さらにそのモジュールを複数枚並べた「アレイ」となります。

つまり、モジュールとは製品としてパッケージ化されたソーラーパネルのことなのです。別名「太陽光パネル」とも呼ばれています。

よく太陽光発電メーカーのホームページで目にする「交換効率」や「公称最大出力」は、すべてこのモジュールという単位を基準にして算出されています。モジュールではなく、「ソーラーパネル」と聞けばイメージが浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

しかし、「ソーラーパネル」という呼称を使用しているメーカーは多くありません。ほとんどのメーカーが「太陽光モジュール」という呼称を使用しています。

では、なぜ太陽光モジュールという呼称を用いるのでしょうか。それは、住宅用の太陽光設備と、それらが開発される前から存在していた太陽熱利用システムとの混同を避けるためなのです。

住宅用太陽光電池が開発される以前にも、太陽光発電は太陽熱温水器など様々なシステムに利用されてきました。それらのシステムの中に「ソーラーパネル」という呼称の、別の部分が存在したため、区別をつけるために太陽光モジュールという呼称が用いられるようになりました。

モジュールとは、IT用語で「インターフェイス(システムへの接合部分)が規格化、標準化されており、容易に交換や削除ができるひとまとまりの単位」のことです。その意味通り、太陽光モジュールは簡単に交換することができます。

雪などの自然災害でモジュールの一部が破損してしまった場合、もちろん費用は掛かりますが、新しいモジュールと交換することが可能です。モジュールというのは聞きなれない言葉ですが、一般的に「太陽光モジュール=ソーラーパネル」という認識で間違いはありません。

太陽光発電の仕組み

太陽光発電は、異なる2種類の半導体(n半導体とp半導体)を持った太陽電池を使用し、太陽光から電気を作るシステムです。太陽光が太陽電池に当たると、半導体を構成する電子が動き電気が起こります。

この現象は「光起電力効果」や「光電効果」と呼ばれるものです。色素増感太陽電池の場合、このメカニズムは若干異なりますが、現在市場で主流となっている結晶シリコン太陽電池はこの仕組みになっています。

太陽光発電モジュールの構成

住宅用・産業用太陽光発電システムで、ともに欠かせない存在が太陽光発電モジュールです。

前述したように、モジュールとは「太陽電池の最小単位であるセルを必要枚数配列し、周囲の環境に耐えられるよう、ガラスや樹脂で補強したもの」で、モジュールの構成は単一ではなく、必要用途によって微妙に異なります。

モジュールの構成は大きく分けて「スーパーストレート構造」「サブストレート構造」そして「ガラスパッケージ構造」の3つがあります。

スーパーストレート構造は、アルミの枠組みを持っており耐水性に優れているため、住宅の屋根などにも使用されています。サブストレート構造は、アルミの枠組みを持っていないことから環境への耐性は低いものの、非常に軽量なモジュールになります。

ガラスパッケージ構造は、モジュールの両面をガラスで覆ったつくりで、建材用に使用されることが多くあります。住宅用太陽光電池市場で主に出回っているのは、スーパーストレート構造のモジュールです。

企業などが他の構造のモジュールを入手する場合、メーカーの受注生産品を購入する場合がほとんどになります。モジュールの中でも、現在最も交換効率が高いとされているのは「単結晶型の結晶シリコンモジュール」で、市場に出回っているものの中には交換効率20パーセントを超えるものもあります。

太陽電池の良品構造をどう評価するか?

2012年に施行された、固定価格買取制度などの影響を受け、家庭用太陽光発電設備は急速に普及しています。しかし普及拡大の半面、故障解析へのアプローチは思ったように進んでいないのが現状です。

その理由は、セルがモジュールによって、強固に保護されていることにあります。モジュールが良品であるかどうかを確かめるのは、まずセルからチェックする必要があります。しかし、セルは強固に保護されたモジュールの中にあり、検査するのが容易ではないのです。

また、モジュールは壊れてしまっても簡単に交換ができるため「故障しても変えれば問題ない」という考え方もあります。それが、モジュールの良品解析に対する意識を押し下げてしまっているのです。

しかし、壊れたから変えればいいという考え方では、資源等の問題から環境への負荷が増してしまいますし、自動車に太陽光発電が組み込まれていた場合、人命にもかかわる可能性があります。

太陽電池の良品をしっかりと見極めるための努力は意外と重要なのです。ところで、太陽電池はどのようなポイントで良品だと判断されるのでしょうか。

次の項では、OKIエンジニアリングの提唱する「LSIプロセス診断」を応用した太陽電池の良品構造解析をご紹介します。

外観検査

まずは外観検査です。モジュールの外観検査で内部に汚れが検出された場合、製造品質に問題がある可能性があります。

目視で行われる最も基本的な検査になりますが、トラブル発生時に有益な情報になることが多く重要な工程です。光学顕微鏡などを用いて、様々な角度から細かな観察が行われます。

モジュール線のX線検査

モジュール線のX線検査によっても、不良品を見極めることが可能です。

モジュール線をX線で検査した際、インターコネクタ部分に隙間が見られた場合、水分浸食によるオープン故障につながりやすくなるため不良品であると判断されます。

また、配線同士の距離が近い場合も不良品です。水分浸食でマイグレーションなど、故障を引き起こす可能性があります。

断面構造検査

セルとセルは、インターコネクトと呼ばれる配線で結ばれています。太陽光モジュールは、長期間によって熱などのストレスにさらされるため、このインターコネクト部分の鉛はんだが経年劣化する可能性が高いです。

初期状態で、この部分のはんだ付けが甘い場合、長期間にわたって発電装置が影響を受けることになります。はんだ付けの工程は、目視することができず、出荷された後もなかなか不良を発見することが難しいため注意が必要です。

OKIエンジニアリングでは、断面研磨観察の技術によって不良の発見を可能にしています。

超音波探査検査

超音波を使って、不良を発見する方法もあります。

直進する超音波は、異なった物体や空間・傷などに反射する性質があります。その鋭い指向性を利用し、太陽電池内部の欠陥を探し出すのです。

これと似た検査方法に透過X線検査がありますが、超音波を利用することでX線では得ることのできない細かな亀裂や隙間を発見することができます。もし超音波探査で、セル本体と充填剤の間に隙間が発見された場合は不良品です。

この隙間は、光の散乱や水分浸食する可能性のある重大な欠陥となります。

セル本体と断面の検査

最後に、セル本体表面と断面の検査です。

セルは技術の発達で薄くなり、割れやすいものが多くなっています。しかし、充填剤越しではその割れを発見することが難しいのが実情です。

OKIでは、充填剤の樹脂を除去することでセル表面の細かな割れの観察を可能にしています。また、表面だけでなく、セル内部の検査も必要です。

セル内部の接合部は、結晶の欠陥が発生しやすく故障の原因になります。セルの断面を調査することで、欠陥結晶を発見できるのです。

このように、太陽電池の良品を見分けるのには様々な基準があります。個人で検査を行うのには限界があり、ましてや自宅から離れている場所に発電施設がある場合は故障したこともわかりません。

そんな場合は、太陽光発電の遠隔監視システムを導入することをおすすめします。遠隔監視システムは、故障した場合にそれをすぐ知ることができるのはもちろん、リアルタイムで発電量などを確認することができるものです。

現地の映像をカメラで見られるものがほとんどですから、万が一落雷や突風でモジュールが故障した場合にもすぐに対応をとることができます。

太陽電池モジュールを比較するなら多様な面から

ここまで、太陽電池モジュールについて解説してきました。

太陽電池モジュールを比較するとなると価格に目が行きがちですが、そのほかにも気を配りたいポイントはいくつもあります。交換効率や設置場所などに注目することで、より効率良く太陽光発電を運用できる可能性は高まります

メーカーによって単結晶・多結晶のセルシリーズを揃えているため、これから導入を考えている方は、故障した時のことまで考慮してソーラーパネルを検討してみてください。

 

まとめ

太陽電池モジュールは値段ではなく、交換効率や、設置する場所の特性などを踏まえて選ぶべき
太陽電池の良品を見分けるには様々なポイントがある
設置する場所が遠方の場合は遠隔監視システムの導入がおすすめ

最新情報を受け取る

ブログでは書いていない太陽光発電の情報などもFaceBookページで発信しています。ぜひ、「いいね!」をお願いします。