再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電。
ソーラーパネルを設置して太陽光を電力に変換するシステムですが、一般家庭において導入するときはどのような手順が必要なのでしょうか。
太陽光発電に関連して、電力自由化や売電の仕組み、さらに実際にソーラーパネルを設置するメリット、デメリットについてもよく知っておく必要があります。
今回はそんな太陽光発電にまつわる初歩的な疑問から、実際のソーラーパネルのメーカー詳細情報まで、幅広くわかりやすくお伝えします。
太陽光発電をはじまる前に
太陽光発電システムを導入する前に、知っておかなければいけないことがあります。
ここでは『電力自由化』『売電』について、ご説明します。
電力自由化
2016年4月より、私たちの生活に必要な電力を供給する電力会社を自由に選択できるようになりました。
これまでは東京電力や関西電力など、地方の主要電力会社から電力を供給してもらうのが一般的でしたが、今は個人で電力会社を自由に選ぶことが可能です。
新規参入の電力会社が増えると、競争が活発化し、さまざまなサービスが多様化します。
携帯電話などの電子機器と同時契約で割引のあるプラン、電力消費量に応じてポイントがたまる会社、家庭の省エネ診断も行ってくれる会社など、その特色は多岐にわたります。
自身のライフスタイルに合わせて電力会社やプランを選択することで、これまでよりもお得に電力を使用することが可能です。
なお、これまでの電力会社から新規参入の会社に切り替えることによる電気の品質低下や、停電、倒産時に電力供給がストップする心配もありません。
各会社のホームページでプランの確認や見積もりも簡単に行えます。
現在の電気料金やライフスタイルと照らし合わせて検討してみましょう。
売電
売電とは再生可能エネルギーにより発生した電力を、一般の電力会社に買い取ってもらうことです。
現在は、政府がFIT制度(固定価格買い取り制度)を制定し、毎年電気料金の買い取り価格を決定しているため、購入価格も安定しています。
太陽光発電で得られるエネルギーは電力に変換し、自家消費に使用できるため、毎月の電気代が削減になるのはもちろん、この売電を利用して利益を得ることも可能です。
そのためには日射量の多い場所に、変換効率のよいソーラーパネルを設置することが重要となります。
どうやってはじめればいいの?
では、実際にどうやって太陽光発電をはじめたらいいのか。
太陽光発電のはじめ方、ご紹介します。
太陽光発電のはじめ方
・情報収集とシミュレーション
太陽光発電をはじめる前に、まずは太陽光発電にまつわる情報収集と、実際に太陽光発電をはじめたときのシミュレーションを行いましょう。
現在消費している電力の量や費用を知り、太陽光発電でまかなうことのできる発電力や、売電した際の利益を算出します。
また、日射量はソーラーパネルの設置場所や角度も大きく影響しますので、十分考慮する必要があります。
設置までではなく、その後10年の自身や周辺環境の変化についても考えて検討しましょう。
・ソーラーパネルメーカーに見積もり依頼
次は、ソーラーパネルの設置です。
現在では太陽電池モジュールと呼ばれるソーラーパネルは、各ソーラーパネルメーカーより多くの種類が発売されています。
屋根に設置するのか瓦に設置するのか、出力の大きさや形など、細かい部分もパネルメーカーと相談し、比較検討しましょう。
現在は住所を伝えるだけでかなり正確な日射量に基づく見積もりが可能です。
複数のパネルメーカーに見積もりを依頼してみましょう。
・ソーラーパネル、売電、買電ための系統連系
パネルメーカーと相談後、設置パネルの種類と場所が決まった後は、いよいよ設置工事です。
業者に費用や期間について尋ねておきましょう。
パネル設置後は、電力を電力会社から買ったり売ったりするためのメーターが取り付けられます。
売電メーターと買電メーターの2種類あり、それぞれを計測します。
・電力受給契約を結んで、運転開始
電力を売り買いする電力会社と契約を結んだら、いよいよ運転開始です。
取り付けたメーターがきちんと作動しているか確認しましょう。
日頃からメーターをチェックすることで節電意識が働き、環境への配慮も高まります。
太陽光発電のメリット
・電気代の節約
太陽光発電の最大のメリットは電気代の節約です。
太陽光発電で得られた電力を自家消費することで、これまで電力会社から買電していた費用が削減できます。
・売電による利益
太陽光発電で得た電力は、電力会社に売り、利益を得ることができます。
2017年度は1kWあたり28円、もしくは30円で買い取ってもらえます。
・災害時に非常用電力として使用可能
災害時、電力会社からの送電が停止しても、太陽光発電で得た電力を非常用電力として使用することが可能です。
・メンテナンス費用が安い
ソーラーパネルは、大規模なメンテナンス費がかかることがそこまでありません。
パネル表面の汚れを掃除する程度で、長期的に効率よく電力を得ることができます。
・環境への配慮
石油や石炭のように二酸化炭素を出さず、採掘の危険も伴わない太陽光は、無限に得られるにもかかわらず、クリーンでエコな再生可能エネルギーです。
・節電意識の向上
電力を消費するだけではなく、売電も可能な太陽光発電を行うことで、電気の消費量、発電量を意識するようになり、自然と節電意識が向上します。
太陽光発電のデメリット
・高額な初期投資費用
ソーラーパネルを設置する場合、パネルメーカーにもよりますが、120万円~200万円程度の初期費用が必要になります。
設置後の大規模なメンテナンス費用はかからないにしても、初期投資費用を回収できるまでには長い年数がかかります。
・屋根の向き、設置場所には細心の注意を払う必要がある
太陽光発電にとって最も大切なのは日射量です。
日当たりのよい場所や、今後周辺環境の変化で太陽光がさえぎられてしまう可能性がないかどうか、十分に検討する必要があります。
・売電価格の引き下げ
政府が制定したFIT制度(固定価格買い取り制度)のおかげで、発電した電力は一定の値段で売電することが可能になりましたが、毎年変動する価格設定は、年々減少傾向にあります。
ソーラーパネル設置時の値段から10年間適応になりますが、これまでの推移を鑑みると、売電価格は今後も低価格になる予想となっています。
太陽光パネルメーカーを比較
では、太陽光発電はどのメーカーがいいのか気になりますよね。
ここでは、主要パネルメーカーの特徴・情報をご説明します。
パナソニック
1975年から太陽光発電事業に取り組んでいるパナソニックは、数々の賞を受けた確かな技術力が強みです。
HITモジュールと呼ばれるパネルで、小さい屋根でも、暑い夏でも発電効率を下げず、しっかり発電します。
パネルが軽量なため、屋根への負担も少ない仕様です。
東芝
太陽電池モジュールの変換効率に重点を置く東芝は、アメリカのサンパワー社のパネルを使用しています。
独自の半導体研究の経験を搭載することで、設置面積の限られる日本においてもわずかなパネル面積で最大の発電量を生み出すことを可能にしました。
圧倒的な発電量から、国内ではナンバー1の人気を誇っています。
三菱エレクトリック
三菱エレクトリックが重視するのは、生涯発電し続けることのできる耐久性の強いパネルです。
雨や積雪も想定した製品作りは、どんな地域でも安心して設置が可能です。
生涯発電力を重視して長く付き合っていきたい方におすすめのメーカーです。
京セラ
屋根の形が変則的で、パネルの設置が難しい場合、京セラの豊富な製品ラインナップは非常に魅力的です。
複雑な形の屋根にも対応可能な製品がそろっているので、限られたスペースを有効活用し、美観を損なわずに太陽光発電が可能です。
シャープ
国内メーカーの太陽光パネル生産量第1位のシャープは、ルーフィット設計により自由度の高い設置が可能です。
セル1つの設置幅を調整し、複雑な屋根の形でも無駄なく太陽光発電を行うことができます。
台風や豪雪地帯でも耐えられる、自然災害への強さも特徴です。
ソーラーフロンティア
影ができても安定して発電できる、ソーラーフロンティアのパネルは、宮崎の自社工場で生産される純国産品です。
他社にはないデザイン性の高さも、外観を損なわずスマートに見せてくれます。
複数のメーカーを比較して賢く太陽光発電を導入しよう
電力の自由化は、私たちと電力の関係について改めて見直すきっかけとなりました。
エコでクリーンな太陽光発電は、再生可能エネルギーの中でも、ますます注目度が上がることでしょう。
自宅で太陽光発電をはじめる場合、パネルを設置するだけで電力を得ることができるとはいえ、設置場所や角度によっては発電力が大きく異なるため、事前のシミュレーションや複数メーカーへの見積もりが非常に重要になります。
消費エネルギーを自家でまかなうゼロエネルギー住宅が注目される中、予算や場所にぴったりの太陽光発電を導入することで、家計にも環境にも配慮したスマートな生活を送ることが可能です。
一歩先のライフスタイルとして、ぜひ検討してみてください。
・太陽光発電で得た電力は売って利益を得ることが可能
・太陽光発電開始までには、複数メーカーへの比較見積もりが必須
・設置場所に合った、ソーラーパネルを
・国内メーカーの特徴を知り、自分に合ったものを選択する必要がある