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【簡単に説明】小学生でもわかる太陽光発電の原理と仕組み

太陽光発電

近ごろすっかり身近な存在となったソーラーパネルですが、もし子どもに太陽光発電の原理について質問されたら、大抵の大人は口ごもってしまうのではないでしょうか。

 

光電効果というワードは知っていても、専門的な分野で働いている人間でもない限り、わかりやすく説明できない方が普通です。しかし、太陽光発電システムの導入・運用を考える場合、その基本的な仕組みは押さえておく必要があります。

 

太陽光発電の原理を理解すれば、太陽電池パネルの見方や選び方が変わり、理想的な太陽光発電ライフを送ることができるはずです。

 

太陽光発電の原理

太陽光発電とは、光電効果という原理を利用した発電方法です。光電効果とはいったい何なのか知るために、まずは電子について知っておきましょう。

 

電子とは、私たちの体にも存在している電気を帯びた小さな粒のことです。この電子の流れが電流になります。電子はどんな物体にも存在していますが、物質中の電子は原子核という粒に引っ張られており、普通は外に飛び出すことはできません。

 

ところが、これに紫外線のような強いエネルギーが当たると、原子核から切り離されて外に飛び出すことが可能になります。この「光が当たると電子が飛び出してくる」原理こそが光電効果であり、太陽光発電とは、この光電効果を利用した発電方法なのです。

 

太陽光発電の仕組み

光電効果を利用して電気を生み出す太陽光発電システムですが、実際にどのような仕組みで電流を発生させて集め、家庭で使える状態に変えているのでしょうか。

 

太陽光システムの構成

 

太陽電池モジュール半導体でできています。半導体とは何か簡単に説明すると、物質には電気をよく通す導体(金・銀・銅・鉄・アルミなど)と、電気を通さない絶縁体(プラスチック・ゴム・ガラスなど)がありますが、ちょうどその中間に位置するものです。

 

シリコンやゲルマニウムなどがこれにあたります。電気をよく通すわけではないものの、通さないわけでもない特徴を持つ物質が「半導体」なのです。

 

太陽電池モジュールに使われる半導体はいくつかありますが、現在ではシリコンが主流で、「シリコン太陽電池」と呼ばれています。シリコン系の太陽電池には、さらに結晶シリコンを用いたものと、アモルファスシリコンを用いたものにわけられます。

 

これらの半導体に太陽の光が当たり、光電効果が起こることによって電気が発生します。

 

光電効果で電流を発生

 

前述した通り、光電効果とは光が当たることによって、物質から電子が飛び出る現象です。

この原理を利用した太陽電池モジュールは、P型半導体とN型半導体と呼ばれる2種類の半導体がセットになっています。

 

2種類の半導体はそれぞれ電子の数が調整してあり、P型半導体はプラスを帯びやすく、N型半導体はマイナスを帯びやすくなっています

 

それぞれの半導体の接続部分に太陽光が当たり、光電効果が起きたときにプラスの電荷を持った電子(正確には「正孔」と呼ぶ)はP型半導体へと移動し、マイナスの電荷を持った電子はN型半導体へと移動します。

 

こうして、プラス端子とマイナス端子を持った太陽電池ができ上がります。太陽電池モジュールは必要な枚数分、直列に接続され、接続箱と呼ばれる機械に配線されます。こうして電流が集められるのです。

 

ワーコンディショナー

続いて、パワーコンディショナーの役割についてわかりやすくお話します。

 

パワーコンディショナーは通称「パワコン」と呼ばれており、太陽光発電によって発生した電流を、直流から交流に変換する役割を担っています。電流を交流へと変換することで、はじめて家庭用の電気製品に利用することができます。

 

ところで、なぜ直流のままでは家庭で利用できないのでしょうか。それは電気の流れ方に問題があります。

 

直流とは、電気が導線を流れるときに一方向にのみ流れ、流れる勢い(電圧)が変化しない電気の流れ方のことです。

 

たとえば乾電池には、プラス端子とマイナス端子があり、導線をつなぐと電流はプラスからマイナスの方向に流れます。懐中電灯などの電池をセットする時、もしもプラスとマイナスを逆にセットしてしまうと懐中電灯は点灯しません。

 

それは、懐中電灯が直流用の電子機器だからです。

 

一方で、交流とは、電気の流れる向きだけでなく、電流や電圧も一定の周期で変化する流れ方のことを指します。その周期は1秒間に50回~60回程度で、この入れ替わりの回数を周波数と呼びます。

 

コンセントから流れる電流はすべて交流です。コンセントを差し込むときにプラス端子とマイナス端子について気にする必要はなく、どのように差し込んでも電子機器は稼働します。

これは、導線の中で常にプラスとマイナスが行き来し、入れ替わっているためです。

 

パワーコンディショナーとは、太陽電池パネルで作られた直流の電気を、家庭用の電気製品でも利用できる交流へと変換する機械のことです。直流から交流へと変換する変換効率は約95%ですから、ほとんどの電気がパワコンによって利用できるようになります。

 

売電の仕組み

太陽光発電システムで発電した電流は、屋内分電盤を通って家のコンセント、また家電へと供給されます。使いきれずに余った電流は、電力計量を通して電力会社に売ることができます。これが、「売電」と呼ばれるものです。ここでは、その売電方法と注意点を解説します。

 

電気の流れる性質

 

一体どのようにして余った電気を売れば良いのでしょうか。

 

ソーラーパネルのない家庭では、電力会社から電線を通して供給される電流を使いますが、余剰電力を売る場合は、その逆のことが行われます。

 

電線の電流は、電圧が100V前後に保たれています。もっと正確にいえば、30分間の平均値が95V~107Vの間になるよう、電力会社によって調整されています。

 

電気は電圧の高いところから低いところへ流れる性質を持っています。売電は、電気が持つこのような性質を利用して行われるのです。

 

太陽光発電で発電された電気が使われずに余った場合、屋外の電線に自然と流れるようにするため、パワコンの電圧は107V程度になるよう設定されています。

 

太陽光発電によって発電した電気は、蓄電池が備え付けられていない限り貯めておくことができません。発電の瞬間に使われなかった分は余剰電力として屋外の電線に、つまり電力会社のものとして流れていきます。その際、屋外の電線に流れた電量が売電メーターに記録されます。

 

売電するためには、太陽光発電システムを電力会社の系統(電力網)に接続し、電力会社と電力受給契約を結ぶ必要があります

 

また売電するにあたっては、使わなかった分を売電する「余剰買取」と、自分たちでは使わずに発電量をすべて電力会社側に売電する「全量買取」の選択が必要です。一般的に住宅用太陽光発電は「余剰売電」となりますが、それぞれによって売電額も異なります。

 

電圧抑制の動き

 

電線の電圧は、95V~107V内に保たれているというお話をしましたが、瞬間的に107Vを超えてしまうことがあります。たとえば大電流の使用が急に無くなるような場合です。

 

大きな工場で一斉に電流が使われなくなったりすると、その瞬間に電線内の電圧が107Vを超えることがあります。逆に大きな工場で一斉に電気が使われると、電線内の電圧が基準値を下回ることもあります。

 

売電のときに問題になるのは、電線の電圧が107Vを超えた場合です。先ほどもお伝えしたように、電気は電圧が高い方から低い方へと流れる性質があり、売電はこの性質を利用して行われています。

 

つまり、電線の電圧がパワコンの電圧(約107V)を上回ってしまうと売電できなくなってしまうのです。このような事態が発生したときのため、パワコンには電線の電圧を監視する機能があり、電流を抑制するよう作動します。これを電圧抑制といいます。

 

電圧抑制が作動している間は、パワコンの電圧抑制ランプが点灯します。普通は電線の電圧が上がってもすぐに戻るので、電圧抑制もすぐに解除されます。

 

しかし、ケースによっては、電力会社から供給される電圧が、常態的に少し高めのこともあります。あるいは、近所でソーラーパネルを設置している家が多く、一斉に余剰電力を流している場合も電線の電圧は高めになります。

 

電圧抑制ランプがなかなか消えない場合は、その要因を解消するため専門家への相談が必要です。

 

太陽光発電のメリット・デメリット

実際に太陽光発電システムを導入した場合、生活にどのような影響があるのでしょうか。詳しくメリットとデメリットを見ていきましょう。

 

主な3つのメリット

 

太陽光発電の主なメリットは、こちらの3点です。

 

・光熱費を削減できること

・余った電流を売電することによって収益が期待できること

・災害時に停電しても自家発電の電気が使えること

 

太陽光発電システムは高い買い物ですが、9年を目安に元がとれるといわれています。元がとれれば、その後は安定した利益を得られるため、メリットは大きいといえます。

 

主な3つのデメリット

 

太陽光発電の主なデメリットは、こちらの3点です。

 

・初期費用が高いこと

・発電量が天気に左右されること

・時には電気機器の交換が必要になること

 

導入時や運用時の費用、天候による発電量の低下が懸念材料となります。あらかじめ慎重に立地条件等を予測しておくことで、デメリットを最小限にすることができるでしょう。

 

太陽光発電の原理を知って機器を上手に扱おう

ここまで、太陽光発電システムの基本的な仕組みについてお話してきました。

 

電子の原理を知ることで、太陽電池モジュールの発電の仕方や、電力会社との関係性まで幅広くご理解いただけたのではないでしょうか。小学生ぐらいのお子さんに説明するときには、電子の原理を図に書いて簡単に説明してあげると、より理解しやすいでしょう。

 

太陽光発電の原理を理解していれば、太陽光発電機器を運用していくうえで、きっと役に立つはずです。すでに太陽光発電を導入されている方は、太陽光発電の原理について今一度復習のうえ、今後に活かしていただけたら幸いです。

 

まとめ
・太陽光発電は光電効果を用いた発電方法 ・パワコンにより「交流」という家庭で使える電流に変換している
・太陽光発電は余剰売電によって安定した利益を得られるメリットがある
・太陽光発電を運用するにあたり、天候に左右されることや電気機器の交換が必要となるこ とを考慮する必要がある
・太陽光発電の導入前に、太陽光発電の原理について知ることが大切

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