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倒産会社が急増?これまでの太陽光発電業者が破綻した理由

太陽光発電

ここ数年、太陽光関連事業者の倒産が相次いでいます。電力自由化、環境問題への関心などから契約数を伸ばしてきた販売店でも、破綻してしまう例が跡を絶ちません。

 

しかし、倒産企業を調べてみるとやはりそれなりの理由があることがわかります。

 

また、FIT法改正により、今後は倒産のリスクが高い企業は参入そのものが難しくなるともいわれているのも参考にしたいところです。

相次ぐ倒産にもかかわらず、なぜ太陽光発電には未来があるとされているのか、詳しく解説します。

 

太陽光発電業者が倒産している?

2012年の固定価格買取制度の施行以来、太陽光発電市場が拡大し、利益を得る業者が増えました。

その結果、安易にこの市場に参入する業者が増え、結果そのような業者が倒産しているのが現状です。

 

太陽光発電業者の倒産の推移

太陽光発電業者の倒産件数のここ数年の推移を見てみると、2010年以降は増加し続けていることがわかります。

 

東京商工リサーチ調査によれば、2010年の9件から、2011年18件、2012年27件、2013年と2014年が28件、2015年54件、そして2016年65件と、確実に、そして急激に上昇を続けています。調査を開始した2000年以来の最多件数を更新し続けているのです。

 

倒産の原因は?

 

東京商工リサーチに同調査では、倒産の原因についても調査しています。

倒産原因としては「販売不振」が半数を占め、次いで「事業の失敗」や「運転資金の欠乏」をあげる企業が多く見られます。全業種では「事業の失敗」を理由にあげる企業は5%ほどしかありませんし「運転資金の欠乏」もごくわずかです。

太陽光発電の倒産理由は「販売不振」というのが特徴的です。

 

太陽光発電における「事業の失敗」は、昨今の太陽光発電ブームが影響しているともいえます。

2012年の固定価格買取制度がスタートしてから、売電市場は急拡大していきました。急成長した太陽光発電販売業者も確かに少なくなかったのです。

 

しかし、そういったいわば太陽光発電バブルに乗って安易に参入してきた企業が相次いで倒産の憂き目にあっているともいえます。現実性を欠いた安易な事業設計、過少資本での参入や、想定よりも市場規模が拡大せずに受注を獲得できなかったことで倒産するケースは少なくありません。

 

一時は数百億円レベルの売上を記録していた販売業者が倒産した例もあり、非常に厳しい状況にあることがうかがえます。

 

太陽光発電業者が倒産するとどう影響するか

もし、太陽光発電業者が倒産してしまったら、一般ユーザーにどんな影響があるのでしょうか。メーカーか販売店かによってその影響は大きく異なります。

 

メーカーが倒産した場合

どの太陽光発電システムでも10年から25年程度はメーカーによる発電保証を設けられているものです。しかし、メーカーがなくなってしまうということは、その保証が受けられなくなるということを意味します。

 

もし、保証期間にソーラーパネルが故障するようなことがあっても無償で修理、交換などをしてもらえなくなってしまいます。

 

販売店が倒産した場合

販売店は太陽光発電システムの設置工事やメンテナンスなどを請け負っています。販売店が倒産してしまうというのは、工事内容に関する保証がなくなり、メンテナンスをしてもらえなくなるということです。

 

太陽光発電はメンテナンスフリーともいわれますが、必ずしもそうではありません。長期間にわたってトラブルなく安定した発電をするためには、定期点検が何よりも大事なのです。

 

しかし、販売店はメーカーと比較してもより小さな会社がほとんどです。インターネット見積もりでリーズナブルに提供している会社もありますが、十分な業績があるとは限りません。

つぶれない販売店を選択するのはメーカー以上に至難の業といってもいいでしょう。

 

具体的な事例

実際に販売店が倒産してトラブルを抱えてしまったユーザーの例を紹介しましょう。

 

販売店が倒産しパワコン交換に10万円の出費

環境問題にも関心の高いAさんは、東日本大震災をきっかけに自宅に太陽光発電システムを導入することを決めました。販売店として選択したB社は、大阪に本社を構える大手販売店のB社でした。

 

導入してしばらくは順調に運用していました。毎月、売電収入をいくらか安定してもらうこともできていましたが、ある日突然、発電がストップしてしまいます。

困惑したAさんがB社に電話をかけたところ、実は倒産していたということを知ったのです。

 

困ったAさんはメーカーに直接電話をしてみたところ、保証書の提出を求められました。しかし、AさんはB社から保証書をもらった記憶がありません。メーカーが調査したところ、実はB社は保証申請を行っていなかったことが判明しました。

 

保証申請は施工基準さえ満たしていれば事後申請も可能です。しかし、B社のケースでは施工基準を満たさない工事を行ったので、意図的に保証書を申請しなかったことが判明しました。

通常ならばメーカー保証期間の無償修理または無償交換になるはずでしたが、パワコン交換で10万円以上の出費を強いられることとなったのです。

 

このように、倒産リスクを抱えた販売店は保証申請を行わなくなるケースがあります。メーカーへの保証申請をせず、施工基準を守らないお金のかからない杜撰な工事しかできないほど追い詰められているのです。

あまりにも相場価格よりも安いサービスを提供している販売店は、こういったリスクが高いので注意しなければいけません。

 

販売店が倒産し「メンテナンス体制」がなくなる

太陽光発電を始めてみたいものの、200万円近い出費になるということでためらっていたKさん。ある日、Y社の激安販売広告を見て「これならば!」と、決心しました。

「安かろう悪かろう」では困りますが、Y社は雨漏りにも対応するメンテナンス体制を約束してくれたので安心だと考えたのです。

 

ところが、そんなY社が倒産してしまいます。

その後、ちょうどタイミング悪くKさんの家で雨漏りが発生しました。太陽光発電システムを設置した時に空けた穴から雨が大量に屋根裏に侵入してしまったのです。

 

しかし、メンテナンスをしてくれるはずのY社はもうありません。困ったKさんはメーカーに連絡をしますが「メーカー保証では雨漏りには対応できません」と、断られてしまいます。

 

メーカーでは電力出力の保証は行いますが、施行に関する保証は基本的に行いません。KさんがY社と交わした契約では、Y社が加入している工事保険を使うというようなものでした。しかし、Y社が倒産してしまったので保険契約ももはや存在していません。

 

さらに、経済産業省に太陽光発電設備認定の申請を行った際、メンテナンス体制をY社として登録を行っていました。Y社の倒産によりメンテナンス体制を失ったKさんの太陽光発電設備は認定を抹消される可能性がでてきたのです。

Kさんはメンテナンス体制だけを請け負ってくれる販売店を他に探していますが、まだ見つかっていないというのが現状です。

 

諸手続きを代行していた販売店が倒産すると、アフターサービスを依頼できる相手がいなくなり、結果的に大きな損害を被るケースがあります。保証制度がついていても、販売店がなくなってしまえば意味がありません。慎重に選ぶ必要があるでしょう。

 

太陽光発電業者はFIT法改正にともなう負担をしのげるかが勝負

再生可能エネルギー特別措置法(旧FIT法)の改正によって、2017年4月から新しい固定価格買取制度がスタートしています。

FIT法導入から6年が経過して、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入は急激に伸びましたが、同時にいくつもの問題点が浮かび上がりました。

 

・電気を買い取るための国民負担が再エネ賦課金として増加している

・天候の良い日しか発電できない太陽光発電ばかりが導入され不安定

・売電権利を確保するだけして、太陽光発電システムを設置しないケースが増えている

 

以上のような問題を解決し、太陽光発電以外の再生可能エネルギーも育成するためにFIT法が改正されることになったのです。

これによりメンテナンスが義務化され、設備設置から稼働までの期間も決められました。売電単価の決まり方にも変更があり、おおむねこれまでよりも低価格となることが予想されています。

 

FIT制度の改正によって、太陽光発電業者には、さらなる負担がかかることになりました。今後、太陽光発電業者が生き残っていくことができるかどうかは、この負担をしのげるかどうかが勝負となるといっても過言ではありません。

 

逆にいえば、しっかりとした事業計画のある優良業者しか生き残れないということでもあります。固定買い取り価格が引き下げられたり、新規業者が参入したりといった事情もあいまって淘汰がつづくことで、太陽光発電事業者の信頼は高まると考えられます。利用者にとっては今後とも期待が持てる業界です。

 

業者の倒産は太陽光発電の定着をもたらす可能性がある

ここ数年、太陽光発電業者の倒産が相次いでいますが、それは業界全体にとっては一概に悪いニュースとは言えません。太陽光発電バブルが終焉を迎えたことで、日本に本当の意味で太陽光発電が根付くきっかけにもなるのではないでしょうか。

まとめ
・太陽光発電バブルに乗って参入してきた事業者の倒産が増えている
・安易な事業計画、過少資本による参入者の倒産が目立つ
・販売業者を見極めないと、アフターケアが受けられなくなることがある
・FIT法改正により、事業計画がしっかりした優良業者だけが生き残ると予想されている

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