現在、さまざまな太陽光発電メーカーから太陽光発電システムが販売されています。普及し始めた頃と比較すれば価格もかなり安くなってきました。
とはいえ高額商品ですから、導入を考えるならば各メーカーの製品をしっかりと比較検討する必要があります。ソーラーパネル1枚あたりの価格が安いからといって、それが最もリーズナブルというわけではありません。
ここでは、太陽光発電システムの価格を比較検討する際の注意点を解説します。
太陽光発電はどう選ぶべき?
太陽光発電システムは、容易に買い替えできるものではありませんから慎重に選択するようにしたいところです。そのためには、次のような要素を基準として吟味する必要があります。
【 費用 】
ソーラーパネルの値段は必ずkW単価で比較するようにしましょう。工事費・割引金額も含めてシステム総額がいくらになるのかをしっかりと把握することも大事です。
【 モジュール 】
いわゆるソーラーパネルのことです。大きさ・出力・モジュール変換効率、単結晶・多結晶シリコンなどのシリコン系、CISなどの種類、色・形・耐雪・塩害対応などの耐久性の違いなど様々な種類があります。国内メーカーか海外メーカーか、というのも一つの判断基準となるでしょう。
【 保証 】
システム全体に対する保証や、出力保証はどうなっているかも重要なチェックポイントです。「何年保証なのか」「提供するのはメーカーなのか販売店なのか」きちんと確認しておく必要があります。
【 設置工事 】
設置工事にはいろいろな方法があります。野地板固定・垂木固定、支持瓦工法・アンカー工法など設置したい場所にふさわしい工事を実施してくれるかどうかも確認してください。
おすすめは「性能」と「kW単価」で選ぶ
太陽光発電システムの選択基準には多種多様なものがありますが、実はメーカー別に大差ないものも少なくありません。
メーカー別の違いが大きいのは、性能とkW単価です。性能とは太陽光をどれぐらいの割合で電気に変換できるというモジュール変換効率のことを指します。
変換効率とkW単価を基準に太陽光発電システムを見ると、発電量重視型・早期回収型・初期費用節約型の3タイプがあることがわかります。
太陽光発電に何を期待するかによって、3タイプの中で最もふさわしいものがおのずと決まってくるはずです。
ソーラーパネルの性能とは変換効率
ここでは、ソーラーパネルの要(かなめ)である交換効率について詳しく見ていきます。
変換効率ってなに?
変換効率とは、ソーラーパネルの単位面積あたりでどのくらいの発電量が得られるかを示す値です。変換効率が2倍ならば発電量も2倍になります。
交換効率には最小単位のセル交換効率と、セルを組み合わせたパネルのモジュール交換効率がありますが、現実的な発電量はモジュール交換効率の方だと考えるのが妥当です。
変換効率の計算式
交換効率の計算式がこちらです。
【 太陽電池からの電気出力÷太陽電池に入った太陽エネルギー×100 】
これによって、1kWの太陽光エネルギーを何%電気エネルギーに変換することができたのかを算出できます。
変換効率は、ソーラーパネルの半導体素材が吸収できる「太陽光の波長領域」と「吸収量」で決まります。変換効率の高い太陽光電池ならば、狭い面積でも大きな電力を作り出すことができるためお得です。
逆に設置面積だけは十分にあるという場合には、リーズナブルな変換効率、もしくはやや低めの商品を選択することも視野に入れることができます。
メーカーでパネル性能を比較
こちらが最も比較しやすい3つのメーカー詳細情報です。
【 TOSHIBA 】
パネル性能は当然のことながらメーカー別に違います。たとえばTOSHIBAでは変換効率20.1%という非常に高性能な商品があります。初期費用は230万円と高めですが、年間発電量6,600kWhを見込めますから発電重視型の人におすすめです。
【 カナディアンソーラー 】
日本にいち早く参入したカナディアンソーラーは変換効率は16.7%ですが年間5,500kWhの発電が可能です。
発電量と比較して初期費用は175万円とリーズナブルなのも特徴です。9年と回収期間が短めですから早期回収型を希望している人に最適です。
【 ソーラーフロンティア 】
化合物系のため変換効率は13.8%と低めですが、初期費用は160万円と初期費用節約型になっているのがソーラーフロンティアです。年間発電量4,840kWhと低めですが、節電のために太陽光発電をはじめたいという人にとっては十分といえるでしょう。
積極的に売電をしたいならば発電重視型のTOSHIBAのような製品に注目すべきといえます。早く投資を回収したいならば早期回収型のカナディアンソーラーですが、海外メーカーに抵抗があるならば比較的割安の三菱電機もおすすめです。
とにかくお金をかけずに太陽光発電をはじめたいならば、同じく国産のソーラーフロンティアや、中国メーカーのトリナソーラーが妥当な選択といったところでしょうか。
屋根の大きさとメーカーの相性が大切
一般的に住宅用のソーラーパネルは屋根に設置することになります。屋根が広くシンプルな形をしていればどんなソーラーパネルも設置できますが、問題は屋根が小さかったり大きくても変則的な形をしていたりする場合です。
限られた面積にできるだけパネルを設置するには、メーカーが提供しているサイズとの相性も大事になってきます。そのため、まずは自宅屋根の形状を正しく知ることが発電量を多くするポイントなのです。
ソーラーパネルの大きさはメーカーごとにバラつきがあります。また、バラエティ豊かなサイズを用意しているメーカーならば、組み合わせ次第でどんな屋根にも対応することができます。
屋根一面に乗せるものですから、家の外観にも大きく影響するのがソーラーパネルです。大きさだけではなく色の相性についてもよく検討しましょう。
太陽光システムのkW単価
続いては、太陽光発電システムを導入するにあたって認識しておくべき「kW単価」についてご説明します。
kW単価ってなに?
太陽光発電システムの価格は、太陽電池モジュール・パワーコンディショナーなどの周辺機器・工事費・諸経費など多種多様な項目を合算したものです。
ところが見積もりを複数社に依頼すると、業者によって形式が異なるので混乱してしまうことがあります。そこで注目したいのがkW単価です。
kW単価の計算式
kW単価を求める計算式はこちらです。
【 太陽光発電システムの合計金額÷太陽光発電システム発電量 】
たとえばシステム合計金額と最大発電量が150万円で5kW、120万円で3kWという商品があったとします。
一見、5kWの方が高価に見えることもあるかもしれません。しかし実際に計算してみるとこうなります。
150万円÷5=30万円
120万円÷3=40万円
kW単価はそれぞれ30万円/kWと40万円/kWとなり、実は5kWの方が割安であることがわかります。
メーカーで見積もりしてみる
メーカーによって太陽光発電システムの価格はかなり違います。
「ソーラーパネルを設置できる面積はどれぐらいあるのか」
「節電と売電のどちらを重視するのか」
「予算はどれぐらいあるのか」
こういったことを手がかりに見積もりを比較検討してみましょう。
システム容量(kW数)が大きいほど価格は高い
太陽光発電のシステム容量は一つのシステムで最大どれだけの電力が作り出せるのかを示す数値です。どのくらいの容量のソーラーパネルを何枚組み合わせたかで大きさが決まり単位はkWで表されます。
日本の住宅用太陽光発電の場合、200~300Wのパネルを20枚前後組み合わせ、4.5kWほどのシステム容量を持つシステムになるのが一般的です。
システム容量はその太陽光発電の規模を表すため、当然容量が大きいほど価格も高くなります。しかし、大規模であるほど効率も上がっていくため、kW単価で見るとシステム容量が大きいほうがお得になるケースが多いです。
複数メーカーの見積をとってみるべき
太陽光発電システムの導入を考えるならば、まず複数のメーカーの見積もりを比較することが大切です。
得意メーカーがある業者の場合、不得意なメーカーの見積もりを高めに出すこともあります。まんべんなく複数メーカーの工事実績がある業者を選択するようにしましょう。
たとえば少なくとも3種類以上のメーカーを扱っている業者ならば安心です。また、信頼できる複数の業者を比較検討可能なサイトなどもあるので、そういったところを利用してみるというのも一つの方法です。
太陽光発電システムはけっして安いものではないので、契約前にじっくりと判断するようにしてください。この時注意したいのはkW単価ももちろん大事ですが、それだけでは判断しないということです。
いくら単価が安くてもメンテナンスが不行き届きだと思わぬ出費がかさむことも多々あります。必ず定期点検や清掃などのメンテナンスも行ってくれるような業者にしましょう。
10年、20年と長いおつきあいになるので、事業計画がしっかりとしている成長が見込めそうな業者にすることも大事です。
ソーラーパネルを購入するときはメーカー別にじっくり比較すること
太陽光発電システムを家庭に導入する予備知識がなかったため、販売店にいわれるままに契約してしまい後悔している人も少なくないようです。
「太陽光発電価格はどのようにして決まるのか」
「ソーラーパネルを設置できる場所の面積はどの程度か」
「kWあたり年間発電量はどれくらいか」
「日当たりは良好か」
「パネルメーカーの比較ランキング」
「節電したいのか」
「売電したいのか」
細かいことですが、こういった最低限のことを確認しておくことが重要です。太陽光発電に何を望むかによってふさわしい商品も異なってきます。あとで後悔しないよう必ず複数メーカーの見積もりを出してもらい比較検討することをおすすめします。
少なくとも3社以上の太陽光発電メーカーの取り扱いがある業者を選び、メンテナンスサービスがどうなっているのかについても必ず忘れずに聞くようにしましょう。
・変換効率を見ると、単位面積あたりの発電量がわかる
・メーカーごとに変換効率とkW単価が異なるため、相見積もりをとって比較すること
・メーカーを選ぶときは自宅の屋根に設置できるかも忘れず確認を