家庭で太陽光発電を始めたいと思った時、まず気になるのは費用のことではないでしょうか。
設置場所によって利用できる商品とその価格は異なってきます。
一口に太陽光発電システムといっても、その値段はメーカーごとにさまざまです。
性能を重視するのか、価格を重視するのか悩ましいところでしょう。
実際に導入した後も、メンテナンスは欠かせません。メンテナンス費用の内訳などにも注意が必要です。
単にブームに乗るだけではなく、この先10年、20年と快適に使用できる太陽光発電システムを選ぶにはどのような点に注意すればいいのか、解説させていただきます。
太陽光発電を導入するにあたって
電力自由化にともない、改めて注目を集める太陽光発電ですが、導入するにあたりどのようなことに注意すればよいのでしょうか?
屋根やガレージなどの広さを確認
家庭用太陽光発電システムで選択されることの多いのは3~5kW設備です。
もし、変換効率が高い250Wのソーラーパネルを使用したならば25枚で5kWを出力できる計算になります。
これにはどれぐらいの設置面積が必要なのかというと、各商品によって大きさは多少異なりますが、20枚のモジュールを設置するには約25㎡が必要です。つまり、およそ7.5坪の広さが必要になります。
発電効率を考えると、屋根の南面一面を使用したいところですが、場合によっては東側や西側に分けて設置してもかまいません。
また、屋根に設置するのが難しかったり、少ししか載せられなかったりする場合には、ガレージの屋根を利用する方法もあります。
太陽光発電を導入するにあたって、まずは屋根やガレージのパネル設置可能部分に十分な余裕があるかどうかを確認しましょう。
ただし、変換効率250Wというのは比較的高額なパネルです。もし、予算が少ない場合にはより広い設置面積が必要になることにも注意してください。
節電派?売電派?
一般家庭で一年間に消費する電力はおよそ5500kWhといわれています。
節電によって消費電力を極力少なくしつつ、より多くの電気を作ることができれば売電収入が期待できるというわけです。
財団法人建設環境・省エネルギー機構の調査によれば、1995年から2005年までの間で、一般家庭の太陽光発電で作られた電力の56%は売電されていました。
2017年度における東京・中部・関西電力関内での1kWhの単価は28円なので、もし一年間に5,000kWhの発電をしたならばその56%の2,800kWh分の売電収入、およそ78.400円を得ていることになります。
ただし、電気は固定価格買取制度で取引されています。
そして、今後は電気の買取単価は横ばいもしくは低下することが予想されています。
売電派としては、より節電に励む、変換効率の良いソーラーパネルを導入する、蓄電池を併用するなどの何らかの対策を考える必要があるといえます。
太陽光発電導入の設置費用はどれくらい?
太陽光発電のシステム価格はパネルメーカーごとに違いますが、いずれも決して安いものではありません。
導入にあたってはソーラーローンの利用も視野に入れることをおすすめします。主要な国内メーカーの価格を比較してみましょう。
メーカーごとの価格を比較
国内主要メーカーが提供するソーラーパネルの型番、太陽電池の種類、最大発電量、変換効率、価格、メーカー詳細情報を紹介します。いずれも1枚あたりの数値になります。
・シャープNQ-210AD 単結晶 210W 18.2% 120,000円
・京セラKJ210P-3MUCE 単結晶 210W 15.8% 100,800円
・三菱電機PV-MB2600KF 単結晶 260W 15.8% 161,200円
・パナソニックHIT250α 単結晶 250W 19.5% 163,000円
・東芝SPR-250NE-WHT-J 単結晶 250W 20.1% 182,500円
適正価格はどこで決まるか?
太陽光発電システムの価格帯には、ご紹介した通りかなりの幅があります。
しかし、見た目の金額だけでは判断できないのが難しいところです。
ソーラーパネルの値段が安くても、パワーコンディショナー、接続箱、ケーブル、発熱量モニター、工事費、諸経費などにお金がかかることもあります。全体でいくらかかるのか見積書をしっかりと出してもらうようにしてください。
太陽光発電が適正価格かどうか調べるにはkWあたりの単価を知る必要があります。「太陽光発電システム合計価格÷太陽光発電システム発熱量」がkW単価となります。
複数社に見積もりを出してもらうには、必ずkW単価を算出してもらった上で比較するようにしてください。
メンテナンス費用はいくらかかる?
太陽光発電システムは、設置して終わりではありません。
効率良く発電するためにも、定期的なメンテナンスは欠かせないものです。
導入する際には設置費用だけでなく、その後の点検費用も併せて考えましょう。
メンテナンスに必要な2点
太陽光発電システムのなかでも、特にソーラーパネルとパワーコンディショナーにはメンテナンスが必要です。
この2点をしっかりと見守るようにしなくてはいけません。
ソーラーパネルはメンテナンスフリーといわれます。
確かに重大な故障を起こす頻度は比較的少ないかもしれませんが、それでも定期的にメンテナンスすることは必要です。
ゴミや汚れを付着したままにしておくと出力低下につながるので、点検と同時に清掃も行うようにしましょう。
一方、パワーコンディショナーはソーラーパネルと比較して壊れることが多いといわれています。
10年から15年の間に何らかの修理、もしくは交換が必要になる可能性が高い部品です。
しかし、メーカーの中にはパワーコンディショナーは保証対象としていないところもあるので注意しましょう。
定期点検費用
住宅用の太陽光発電システムは、多くの場合、初期費用にメンテナンス費用を含んでいます。1年目、4年目、9年目の計3回にわたって定期点検を行うのが一般的です。費用は1回あたり5万円~10万円というところでしょう。
パワコンの交換費用
もし、パワーコンディショナーを全交換するとなったら20万円前後は必要です。
また、一部を交換するだけでも5万円から10万円はかかります。
安いものではないので、少しでも異常を感じたら、全交換になる前にできるだけ早く販売店などに相談するようにしましょう。
そうはいっても、パワーコンディショナーは構造上、経年劣化が避けられない製品です。
5年、10年と歳月がたつうちに、より高機能でリーズナブルなものが登場している可能性は高いといっていいでしょう。
不具合を感じたタイミングで思い切って買い替えを行うというのも一つの方法です。
年間のメンテナンス費用
ソーラーパネルからパワーコンディショナーなどの周辺機器も含めて以上のような要素を考えると、太陽光発電システムのメンテナンスに必要な費用は1kWあたり年間3,600円ということになります。
もし10kWの太陽光発電システムを維持したいと考えるならば、1年に36,000円はメンテナンス費用を用意しておきましょう。
自宅に合ったメーカーとシステム容量を考える
太陽光発電システムは家庭用で3~5kWのシステム容量の製品が多く出回っています。平均では4.5kW前後が主流になりつつあります。
一般家庭の年間消費電気量の平均は5,500kWほどですが、もし3.5kWのシステムを導入すれば約60%にあたるおよそ3,500kWを太陽光発電でまかなえる計算になります。
太陽光発電で節電したいと考えるならばこれでも十分な発電量といえるでしょう。
しかし、売電収入を得たいならば、より変換効率の高いソーラーパネルを使用する必要があります。
現在のところ、最大変換効率は20%台にとどまっていますが、理論的には75%も不可能ではありません。
実際、現在2020年以降の実用化に向けて、変換効率30%台の商品の研究が進められています。
当然のことながら、ソーラーパネルは変換効率がアップして小型化・軽量化するほど高額になります。
各家庭によってソーラーパネルが設置できる面積にも限りがあるでしょう。
まずは自宅にあったシステム容量はどれぐらいなのか、正しく把握するようにしてください。
最近では、マンションのベランダ用の太陽光発電システムも販売されています。
景観的に管理組合から設営許可が下りないことが多いようですが、戸建てでなくても太陽光発電を利用できるチャンスは増えています。
太陽光発電システムを最初から導入しているエコマンションも人気です。
戸建てでもマンションでも、それぞれの状況に応じた太陽光発電をしてみてはいかがでしょうか。
ただし、必ずメンテナンスは行うようにしましょう。
メンテナンスフリーともいわれる太陽光発電システムですが、定期点検と清掃は必ず行うことを忘れないでください。
太陽光発電にかかる費用とスペックのバランスを見よう
太陽光発電システムを導入するにあたっては、まず、自宅にどれぐらいのソーラーパネル設置面積があるのか、パネル容量はどうするのかを正しく把握することから始めましょう。
なおかつ、節電できればいいのか、売電収入を期待しているのか、太陽光発電を行う目的を明確にします。
そうすれば、自ずと適切な商品も決まってくるはずです。
ただし、スペックとして理想的だったとしても値段との折り合いもあります。
ソーラーパネルとパワーコンディショナーは低価格化が進行中なので、しばらく様子を見るというのも一つの方法です。
予算との兼ね合いで適切な製品を選びましょう。
・製品選びはkW単価をチェックする
・設置後は定期的にメンテナンスが必要になる