公式ブログ

【太陽光発電の申請は不要?】初心者でも理解できる農地転用許可基準

太陽光発電

眠っている農地の活用手段として、太陽光発電投資を検討できます。今後も安定した需要が見込まれるクリーンエネルギー分野に参入する大きなビジネスチャンスです。はじめてこの業界に参入する方でも分かりやすいように、必要な手続きや法律関係の知識をまとめました。ひと通り目を通して、農地転用と地目変更登記について理解しましょう。

農地転用とは?

農地転用とは、農業用地とされている土地を別の用途に使うことです。日本の食糧問題を解決するため、農地を勝手に別の用途に使ってはいけないルールになっています。関係法規は、農地法第4条と5条です。農地法第4条には「転用には原則都道府県知事もしくは農林水産大臣の定める指定市町村長の許可が必要である」ことが書かれています。

正しい手続きをしないで農地活用してしまうと、公的機関の指導が入る可能性があります。そればかりか、罰金や懲役などの厳しい罰則にもつながりかねない問題です。自分の所有している土地であっても、国を維持するための重要な資産とみなされます。優良な農地は地域をあげて守るべきものと考えられていて、しっかりとした手続きが必要です。

農地転用の手続きは時間がかかる?

必要な書類を集めて申請、許可がおりるまでを考えると半年~1年は必要です。農地転用許可が下りたら、地目変更手続きも必要です。具体的には、法務局の指示に従った地目変更登記を行います。ここでも一定の時間を要するため、1年以上かかる案件も珍しいことではありません。専門家に依頼したとしてもある程度の期間がかかることを全て自分で行うと、さらに時間がかかります。

なるべく早く手続きをすませるためにも、農地転用に強い専門家に打診しましょう。太陽光発電に関するノウハウもあって、一連の流れを把握しているパートナーが味方につくとスムーズです。農地転用の申請書類、登記申請書などの書き方が分かっているだけの専門家では、思わぬ指摘があったときに苦労します。本件申請の不受理など公的機関とのやりとりでつまずくと、さらに時間がかかるものです。当初定めたスケジュール通りに物事を進めるためにも、農地転用の法関係に精通した専門家に相談しましょう。

農地転用の許可基準

農地転用の必要書類、立地面の制限について見ていきます。太陽光発電事業をはじめるにあたって必須の知識を見直して、事業計画に役立ててください。

農地転用に必要な申請書類

土地に関する書類として、登記事項証明書、図面、土地利用計画図などが必要です。農地転用後の事業の、収益見込みについての判断が入るため、資金計画書や見積書も必要です。そもそも本当に該当事業を行うのかを調べるためには、工事工程表や施設の配置図が求められます。もともと他人の所有物だった場合には、所有者の同意書も必要です。

そのほか、申請先から求められる書類があれば別途準備を進めていきます。書類に不備があった場合には「本件申請を受理できない」旨の通知が来て、手続きのやり直しです。何度もこれを繰り返すと、いつまでたっても話が進みません。あらかじめ必要な書類の種類を明確にして、計画的に用意しましょう。

農地転用に必要な立地の許可基準

農地のまま活用するのが望ましいと判断される土地には、転用許可が下りません。都道府県農業委員会ネットワーク機構や農業委員会から客観的に見たとき、別の用途で活用するのが望ましいと思われる土地が適しています。たとえば、市町村が農用地区域と定める土地については原則不許可の扱いです。理想的な営農条件を満たしている第1種農地や甲種農地も、原則不許可とされています。第2種、第3種にあたる農地であっても景観条例などで転用できないケースはあって、個別立地や周辺環境で変わってきます。転用許可を得るときには地域の農業委員会事務局に相談したうえ、可否判断に役立てましょう。

太陽光発電目的でも農地転用手続きは不要?

太陽光発電目的であっても、転用手続きは必要です。ただし、農地転用できない土地を活用する手段はあります。具体的には、一時転用許可をとることです。転用期間3年と期間が限定される代わりに、本来の農地転用手続き不要で活用できます。

農地転用手続き不要の条件とは

一時転用許可の対象は、ソーラーシェアリングの仕組みを使った取り組みです。農林水産省が定めるところの営農型発電設備に該当すれば、転用手続き不要で活用できます。意識したい条件を一通り見ておきましょう。

・3年ごとに継続審査を受けること。
・簡単に撤去できる支柱を使って、必要最小限の面積に留めること。
・太陽光パネルの設置方法を工夫して、農作物の生育に支障がでにくいようにすること。
・農作物の生産量を毎年報告すること。

3年ごとの継続審査で問題ないと判断されれば、太陽光発電事業を継続できます。平均的な単収と比較してマイナス2割程度に留めることが条件なので、営農に対する努力も重要です。品質面についても審査対象に入っていて、高品質な農作物を維持する配慮が必要でしょう。一定の努力は必要ですが、農業と太陽光発電と収入源を拡大するチャンスです。

農地を太陽光発電に転用するメリット

農地を太陽光発電に転用すると大きく4つのメリットが期待されます。

休耕地・遊休地を活用できる

放置しているだけでは収益を産まない土地であっても、安定収入を得る基盤にできます。相続を受けた土地、遠方にある土地などを有効活用する手段としても、太陽光発電投資が有効です。農地のまま貸し出しするより高い利回りも期待される、有効な活用手段と言えます。

高い発電容量が期待できる

もともと農地として活用されていた土地なら、まとまった日照条件が期待されます。太陽光発電をはじめるにあたっても、理想的な環境です。高い発電容量を維持できれば、投資利回りも高くなります。エネルギーに対する需要が枯渇するとは考えにくく、作れば作るだけ収益性があがります。

面倒な手続きの簡略化

遊休農地をそのまま放置していると、市町村農業委員会から指摘を受けます。平成25年の農地法改正を受けて始まった措置の一貫です。市町村の権限が農業委員会に移ったことで、対策強化の動きもあります。市町村農業委員会によってはすでに具体的な対策をはじめていて、指摘を受けるリスクを理解しましょう。太陽光発電用地として活用することで、行政からの指摘を回避できます。遊休農地の通知を受けてから行動するより、事前のリスクヘッジがおすすめです。すでに勧告を受けてしまった方の解決策としても、太陽光発電投資は活用できます。

農業と両立する

ソーラーシェアリングの仕組みを導入すると、農業との両立も可能です。技術の進歩によって、営農に支障となりにくいパネル設置方法も登場しました。複数の収入源を確保することにより、収益が安定しやすくなります。立地基準にかかって農地転用許可がおりない土地でも、太陽光発電投資ができる仕組みです。専業農家の大きな利益源の1つとして、今後の普及も見込まれます。

農地を太陽光発電に転用するデメリット

たくさんのメリットがある一方で、知っておきたいデメリットもいくつかあります。設置費用や農作物への影響など、気になるポイントを理解しましょう。

高額な設置費用

太陽光発電設備を作るため、まとまった資金が必要です。一般的には10年程度で採算がとれるとも言われますが、借り入れに抵抗を感じる方にとってはリスクでしょう。農地を活用するにあたって、土地改良費用や申請手続き費用も必要です。

地目変更登記や登記申請書を専門家に依頼する場合、まとまった金額の謝礼が発生します。これらの初期費用を全て考慮したうえで、採算が合う事業計画を立てるのがセオリーです。信頼できる業者にシミュレーションを依頼して、お金の流れを把握しましょう。

農作物の収穫量が減少

日照を遮るソーラーパネルができることで、収穫量への影響が懸念されます。太陽光発電設備の作り方、農作物の種類などを工夫すれば収穫量を維持できるとする説もあるものの、環境が変わること自体がリスクです。信頼できる太陽光発電業者とよく打ち合わせして、リスクの許容度合いを考えてみましょう。太陽光、営農事業合わせて状況が改善するようなら、挑戦する価値があります。

定期的に農作物の生産状況を報告する必要がある

太陽光発電設備を作ったことが周辺農地に悪影響を及ぼしていないか調べる目的で、年1回の報告義務が生じます。その他に定期的な審査が入るケースがあって、一定の労力を必要とします。限られた人員で事業を運営している場合には、事務的な手続きがネックです。運転を初めてから生じる事務的作業や公的機関に対する対応を明確化して、しかるべき解決策を投じていきます。

太陽光発電投資の前にきちんと下準備を

太陽光発電投資をはじめるには、広範な知識が必要です。素人判断で進めるとつまずきやすく、プロに相談しながら進めることをおすすめします。すでに農地をお持ちの方なら、転用許可対象になるかだけでも調べてみましょう。そのうえで、収益性を高めるための現実的なプランニングを進めていきます。どんなビジネスをはじめるにあたっても、企画段階が重要です。明確な見通しのもとで、理想的な土地活用を目指していきます。

 

まとめ

農地を他の用途に活用する際には、しかるべき許可権者に対する手続きが必要である
対象となる土地や状況によって、農地転用許可基準は変わってくる。
農地転用による太陽光発電事業のメリット、デメリットを理解しよう。

 

最新情報を受け取る

ブログでは書いていない太陽光発電の情報などもFaceBookページで発信しています。ぜひ、「いいね!」をお願いします。