太陽光発電は、エコに貢献するイメージがある一方で、デメリットも幾つか存在しています。
太陽光発電の導入を考えるにあたって、「初期投資に費用がかかる」「売電しても、思ったより収入に結びつかないのではないか」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
これから太陽光発電に参入するのであれば、メリットだけでなく、デメリットの部分も理解しておく必要があります。
そこで今回は、押さえておくべき太陽光発電のデメリットをお伝えします。
太陽光発電の悪いイメージは
太陽光発電に対する悪いイメージはどんなものなのでしょうか。
まだ太陽光発電を導入していない方にとって、悪い面があるというより、不安要素があるという方も少なくないようです。
確実なマイナスよりも不安に近い印象
太陽光発電のデメリットといえば
- 高く売電できるのか
- 初期投資をしてまで元が取れるのか
- 屋根に設置した場合雨漏りが出るのではないか
という不安要素がメインになることでしょう。
しかし、太陽光発電を設置しても、生活に支障が出ることはほとんどなく、かかる費用のメインは初期投資でメンテナンス費用はそれほど大きくはありません。
デメリットがあるといったら、確実なマイナス面が存在しているというより、導入に対して不安に感じてしまうことなのです。
簡単に太陽光発電のメリットを振り返る
太陽光発電のデメリットを確認する前に、今一度メリットを振り返ってみます。
多くの人が屋根やカーポートなどを利用し、太陽光発電を導入する理由は、リスクよりメリットのほうが勝ると感じたからなのです。
最大の魅力は長期に渡る売電収入が見込めること
太陽光発電で発電した電力の買取価格は、住宅用の場合、国により10年間保証されています。
そのため長期に渡り、売電収入が得られることが保証されており、事業計画を立てながら確実な収益確保が可能な投資だといえるのです。
太陽光発電のデメリット
太陽光発電には、本当に大きなデメリットはないのでしょうか。
主な不安要素を詳しく見ていきましょう。
初期導入費用が高い
太陽光発電のパネルは、以前と比べて価格が下がってきたといっても、最新技術を駆使した商品のため、初期費用はある程度かかります。
さらに屋根に設置するとなると、屋根を傷めない工事が必要となり、足場の設置費用もかかるため設置費用が高額になるのは確かです。
太陽光発電は、1軒あたり100万円以上かかるケースも少なくありません。
これだけの高額商品を購入するとなれば、貯蓄の一部を取り崩すか、初期費用を用意できなければローンを組むことになります。
ローンを利用すれば、太陽光発電の金利は2%台であることが多く、現在の貯蓄が減るリスクは回避できるといえるでしょう。
また、太陽光発電の業者選びを失敗すると、法外な値段で設置費用を請求されるケースもあります。
太陽光発電は一般の人には馴染みがないため、知識が乏しいと通常よりも高い値段で売りつける業者もいるようですから注意が必要です。
定期的にメンテナンス費用がかかる
太陽光発電にかかるメンテナンス費用は、初期費用に比べて非常に少ないといえます。
ただし、まったくかからないというわけではありません。
メンテナンスフリーで、10年も20年も維持することができる投資とは異なります。
一般家庭に太陽光発電を設置した場合のメンテナンス費用は、20年間で30万円を想定しておく必要があります。
この費用の内訳の一部として、パワーコンディショナーの交換費用に20万円かかります。
パワーコンディショナは、太陽電池モジュールから電力エネルギーを取り出し、取り出した電力を交換電力に変換する役割を担っています。
屋内型と屋外型が存在しており、一般家庭なら屋内型を設置します。
3kWの一番小さなタイプでも、20万円台となる場合が多いようです。
もうひとつメンテナンス費用として必要なのが、定期点検費用として20年間で10万円は用意しなければなりません。
これは、1回あたり、2万円の点検費用を4年に1度実施した場合の費用になります。
太陽光発電自体は、20年以上の寿命となるため、それ以上の期間で売電収入を得るためには、メンテナンス費用を考えておく必要があるでしょう。
ほかにも屋根への設置の場合、屋根の劣化の問題もあるため、新築時に設置した方が総合的な費用は安くなります。
売電できなくなるリスク
太陽光発電の売電買取は、再エネ特措法で定められた、太陽光発電の余剰電力買取制度により、10年間の買取が保証されています。
この制度は、自宅等で使う電気を上回る発電をした場合、余剰分を10年間電力会社に売ることができる制度です。
買取に必要となる費用は、再生可能エネルギー発電促進賦課金として、電気を使うすべての人で負担しています。
住宅であるかの判断は、太陽光発電の規模となっており、10kW未満か10kW以上かで判断しています。
店舗や事務所を兼用している場合でも、規模が小さければ住宅とみなされるのです。
また、売電できなくなるリスクは、出力制御による不安要素もあります。
出力制御は出力に関係なく、すべての太陽光発電設備が対象となるものです。
しかし、指定電気事業者に電力会社の需給調整にかかる地域において、50kW未満の太陽光発電設備は当分の間対象外となっています。
現時点で、制御がかかる可能性があるのは産業用ですが、もし出力制御に不安を抱えているのであれば、出力制御補償制度がある業者を通して設置する方法もあります。
反射光で近隣トラブルが起こるリスク
太陽光発電パネルのソーラーパネルに反射した光で、近隣トラブルになるリスクがあります。
この場合は、北側屋根に設置したケースが多く、それ以外の場所ではあまり問題は起きていません。
その理由は、採光のため南側に大きな窓を設置する家庭が多いためです。
設置場所を考慮すれば、トラブルを防止することが可能です。
蓄電池がなければ夜の発電ができない
発電した電気は、基本的に溜めておくことはできないため、夜も売電したいと考えているなら、家庭用蓄電池の設置が必要です。
太陽光発電のみで、夜は発電することはできませんから、発電した電気を夜に使いたい場合や、売電したい場合は、家庭用蓄電池を設置しなければなりません。
蓄電池を導入して夜でも余剰電力を増やすと、ダブル発電という形態に当てはまり、売電買取単価が下がってしまいます。
しかし、最近では、ダブル発電の適用にならない蓄電池システムもありますから、これを利用することで単価を下げずに余剰電力を売電することが可能になっています。
売電価格が降下しているのになぜ導入メリットがある?
2010年度の買い取り価格は、1kWhあたり住宅用が48円/kWh、非住居用が24円/kWhでした。
ところが2012年6月までに申し込みを済ませた場合は、住宅用が42円/kWh、非住居用が40円/kWhと住宅用の買取価格が下がっています。
売電価格は年々降下しているのに、なぜ導入メリットがあるといわれているのでしょうか。
太陽光発電システムの初期費用も下がっている
太陽光発電システムの費用は、2009年ではkW単位で57.4万円でした。
ところが2017年になるとkW単価が下がり36.3万円にまでなっています。
太陽光発電システムは、技術の進歩により設置容量が増え、設置する需要も増えたことから価格が下がってきているのです。
kW単価が下がって来たため、以前と同じ費用をかけて設置容量を増やすことができます。
太陽光パネルの交換効率が上がっている
近年の太陽光パネル交換効率は高まっており、2009年の研究用非集光セルでエネルギー交換率35.8%を達成したメーカーもあります。
さらなる技術向上を目指し、2030年までには40%を目指しています。
40%のモジュール変換効率は、世界一といえるため、以前と比べて着実に変換効率が上昇した太陽光パネルを将来使うことが可能となるでしょう。
自治体からの補助金制度を利用できる
自治体によっては、太陽光発電設置に対し、補助金を提供するところがあります。
例えば、2017年における葛飾区の補助金は、
太陽光発電 | 蓄電池 | |
分譲マンション | 上限 40万円 | 上限 100万円 |
住宅用 | 上限 40万円 | 上限 20万円 |
各自治体によっても対象や金額が異なり、申請期間も決められているため、チェックしておくようにしましょう。
省エネに貢献できる
再生可能エネルギー固定価格買取制度のスタートは、みんなでエネルギーを育てる趣旨があります。
太陽光発電を活用することは、この趣旨に貢献できるのです。
太陽光発電を導入するなら早いタイミングで
太陽光発電の補助金や売電価格などは、年を追うごとに内容が変わる可能性があります。
現在は、国を挙げて再生エネルギーを有効に活用する制度が進められており、太陽光発電導入に最適な時期だといえるでしょう。
売電価格は国により10年は保障されているため、導入を検討するなら早いタイミングがよいでしょう。
最後に
国からの補助金や減税がなくなり、売電の買取単価も降下しているため、太陽光発電システムの導入に億劫になっている方も少なからずいたはずです。
しかし、初期費用の低下や太陽光パネルの交換効率向上等によって、実際の売電収入はほとんど変わらないのが現状です。
太陽光発電の正しい知識を身につけることで、不安要素を回避し、よりイメージに近い太陽光発電ライフを送ることができます。
今回お伝えした情報が、少しでも参考になれば幸いです。
しっかりと仕組みを把握して、最大限に太陽光発電を活用しましょう。
- 太陽光発電には初期費用やメンテナンス費用リスクがある
- 技術の進歩で価格が下がり、太陽光パネルの交換効率がよくなっている
- 国の売電10年保証や、自治体の補助金を活用できる
- 税制面での優遇でもメリットがある