環境保全や太陽光発電投資の目的でソーラーパネルの設置を考えている方もいるでしょう。
しかし、なんの知識もなしにソーラーパネルを選ぶことはできません。
ソーラーパネルの設置に必要な面積や、価格の見方、パネルごとの発電効率の違いなど必要な知識がたくさんあるのです。
そこで今回は、太陽光発電設備を選ぶために外すことのできないソーラーパネルの知識について解説します。
ソーラーパネルの設置を考えてるんだけど
ソーラーパネルの設置の前には基礎知識を身に着けておく必要があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ソーラーパネルの仕組み
まずはソーラーパネルの仕組みについてご紹介します。
ソーラーパネルとは太陽電池を数十枚組み合わせたもので、「太陽光モジュール」とも呼ばれるものです。
最近ではどのメーカーでもこの太陽光モジュールという呼称を用いています。
その太陽光モジュールを必要な数並べたものは「アレイ」と呼ばれます。
そのアレイを住宅の屋根などに設置して発電を行うのです。
太陽光モジュールは「光電効果」という現象を利用して発電を行っています。
光電効果とは物質に光が当たることで、中の電子が飛び出してくる現象のことです。
太陽電池に太陽の光が当たると、プラスの電荷を持った電子・マイナスの電荷を持った電子が発生します。
ソーラーパネルの設置に必要な面積
ソーラーパネルの設置にはどのくらいの面積が必要なのでしょうか。
自宅がそれほど大きくはなく、太陽光発電を設置できるか不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そこでわかりやすく10kWの太陽光発電を設置するのに必要な面積を簡単にシミュレーションしてみましょう。
住宅用に販売されている太陽光モジュールの大きさは大体1.2㎡前後のものが主流です。
この大きさですと出力は1枚で200Wほどになります。
10kWの太陽光発電を設置するには200Wのパネルが50枚必要ですから
1.2㎡(モジュール1枚) × 50 = 60㎡ |
と計算できます。
もちろんモジュールごとの発電効率などによって、設置に必要な面積は異なりますから、この数字はあくまで目安として捉えましょう。
太陽電池は基本的にN型とP型という2種類の半導体を組み合わせて作られており、プラスの電子はN型へ、マイナスの電子はP型へとそれぞれ引き寄せられます。
その電子の動きを利用して太陽光モジュールは電気を生み出しています。
住宅用太陽光発電の場合は、太陽光モジュールで発電した電気をそのまま使用することはできません。
モジュールで発電できるのは「直流電力」ですから、電力会社によって販売されている「交流電力」に変換する必要があるのです。
そのために必要なのが「パワーコンディショナー」です。
パワーコンディショナーを使用することで初めて電気の自家消費が可能になるのです。
ソーラーパネルの値段
ソーラーパネルの値段は導入するパネルの種類、またキロワット数によってまったく変わってきます。
パネルは1枚だけで購入するわけではありませんから、一概に額面だけを確認して高い安いを判断することができないのです。
ソーラーパネルの値段を見るには「キロワット単価」という指標で、安いか高いかを見極める必要があります。
キロワット単価とは「その発電システムが生み出すことのできる、1kWあたりの価格」のことです。
キロワット単価は
太陽光発電システムの合計価格 ÷ 太陽光発電システムの発電量 |
で算出することができます。
例えばA社の太陽光発電の価格が150万円(5kW)、B社の価格が130万円(4kW)だったとします。
額面だけで見れば、当然B社の方が安いという結論になるでしょう。
しかしキロワット単価で見てみると、A社は30万円/kW、B社は32.5万円でA社の方が安いことがわかります。
このように太陽光パネルの価格はそれ単体の値段で見るのではなく、工事費などを含めたキロワット単価で判断するのが基本です。
100kWに必要なソーラーパネルの面積って?
住宅用で100kWの太陽光発電を導入するようなことはありませんが、産業用では十分あり得る設置量だといえます。
先程と同じくモジュール1枚の大きさが1.2㎡、出力200Wの場合でシミュレーションしてみましょう。
100kWの発電に必要なモジュールの枚数は500枚です。
計算をしてみると
1.2㎡ × 500枚 = 600㎡ |
となります。
坪でいえば181.5坪です。
広さでいうと大体学校の体育館くらいになります。
どのメーカーも発電量は一緒なの?
太陽光発電設備はメーカーや種類によってさまざまな違いがあります。
もちろん、モジュール変換効率も異なるため、選ぶメーカーによって発電できる電量が変わってきます。
発電効率が高いメーカーをご紹介する前に、まずはパネルの種類によっても発電効率が変わることを把握しておきましょう。
現在、住宅用に販売されている太陽光パネルで高いシェアを占めているのがシリコン系のパネルです。
シリコン系のパネルには、「単結晶シリコンパネル」「多結晶シリコンパネル」という2つの種類があります。
単結晶パネルは純度の高いシリコンを使用しており、発電効率は高いですがその分値段も高価です。
多結晶パネルは発電効率こそ単結晶パネルに劣りますが、導入費用が安いなどのメリットがあります。
家庭用にはあまり使用されていませんが、軽量でシリコン系パネルの10分の1の薄さを実現した「薄膜シリコンパネル」というものも存在します。
薄膜系のパネルは結晶型のパネルよりも発電効率は劣りますが、製造コストが非常に安価なため産業用の短期プロジェクトなどに良く用いられています。
このようにメーカーの違いだけでなく、パネルの種類によっても発電効率は異なってくるのです。
発電効率を比較する際には、異なる種類のパネル同士を比較してしまわないよう注意しましょう。
また発電効率を比較する際の注意点として、「セル交換効率」ではなく「モジュール交換効率」を見るということもあげられます。
セルとは太陽光モジュールを形成している太陽電池のことです。
太陽光モジュールは、このセルが複数枚接続されることによってできています。
セルで生み出された電気は回路や配線を通過するため、モジュール発電効率はセル発電効率よりも当然低くなるのです。
メーカーのほとんどでモジュール発電効率を記載していますが、中にはモジュール発電効率よりも高いセル効率を記載して消費者を混乱させようとする宣伝文句もあります。
発電効率を比較する際には、しっかり「モジュール変換効率」であることを確認しましょう。
メーカー別発電量早見表
では、住宅用に用いられることの多い単結晶パネル・多結晶パネルで発電効率のいいソーラーパネルを見ていきましょう。
単結晶パネル
まずは、住宅用に導入されている単結晶型のパネルです。
発電効率のいい上位5商品をご紹介します。
商品名 | 発電効率 | |
1位 | TOSHIBA(SPR-250NE-WHT-J) | 20.1% |
2位 | SHARP(NB-245AB) | 19.7% |
3位 | Panasonic(HIT250α) | 19.5% |
4位 | SHARP(NQ-220AE) | 19.1% |
5位 | Panasonic(HIT240α) | 18.7% |
単結晶パネルで発電効率のいいものは、やはり品質の高い国内メーカーが上位を占めています。
ちなみに1位のTOSHIBA(SPR-250NE-WHT-J)と2位のSHARP(NB-245AB)は、アメリカ大手の太陽電池メーカーであるサンパワー社の商品です。
多結晶パネル
続いては、多結晶パネルです。
商品名 | 発電効率 | |
1位 | インリーソーラー(YL280C-30b) | 16.2% |
2位 | TOSHIBA(TMX-205P-WHT-J) | 15.8% |
3位 | SHARP(ND-175AC) | 15.2% |
4位 | KYOCERA(KJ200P-3CUCE) | 15.1% |
5位 | FUJI PREAM(FMCT-215Y3) | 14.7% |
発電効率は全体的に単結晶パネルに劣りますが、価格が安いため初期費用を抑えたい場合は多結晶パネルを選ぶのも良いでしょう。
国内メーカーではシャープや京セラが多結晶パネルに強いですが、最近では海外のメーカーが多結晶パネル市場に多く参入しています。
1位のインリーソーラー社は中国の企業です。
パネル選びはさまざまな観点から行う
ソーラーパネルの導入を考えた場合、さまざまな視点を持って運用することが不可欠です。
ここでお伝えした以外にも年間発電量を算出するには、平均日射量や外的要因によって発電量が損失する「システム出力係数(損失係数)」を視野に入れて計算する必要があります。
太陽電池の種類やメーカーによって発電効率は変わりますが、「劣化しやすいかどうか」「日当たりが良い環境かどうか」という点も考慮して導入を検討しましょう。
コストバランスと設置する環境とをあわせて考え、自分のイメージに近いソーラーパネルを選んでみてください。
- ソーラーパネルの設置を考えているならパネルに関する仕組みや設置に必要な面積・選び 方などの知識は必須
- メーカーだけでなく太陽電池の種類でも発電効率は変わる
- ソーラーパネルの価格は「1kWあたりの単価」で見る必要がある
- さまざまな観点から考えて、パネルを選ぶことが大切