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【太陽光発電ニュースまとめ】経済産業者は過積載に規制をかけるか?

太陽光発電

電力自由化にともない、家庭でも太陽光発電を導入する人が多くなりました。

例えば、じぶん電力(株式会社日本エコシステム)などの新電力サービスが登場し、家庭用太陽光発電にも活気が出ています。システムや制度の内容は年々変化しているため、ニュースなどから情報収集している方も多いのではないでしょうか。

その中でも特に気になるのが、固定買取価格の変動です。売電収入に直接影響を与える改正ですから、心配する声があがるのも無理はありません。太陽光発電システムを長く導入していると、途中で増設しようと考える方もいますが、これについても収益に関わってきそうです。

そこで今回は、気になる太陽光発電ニュースから、主に売電収入に関わる情報をご紹介します。

 

太陽光発電の増設の変遷

2011年における太陽光発電パネルの市場規模は531万kWでした。翌年の2012年には911万kWとなり、年々増加傾向にあります。

その中で近年伸びているのが、非住居用太陽光発電パネルで、メガソーラーと呼ばれる大規模発電所の設置もあって、2011年では90万kWだったのが2012年になると284万kWと大幅に伸びました

近年は太陽光発電システムにかかる費用が下がっていることから、新規参入や増設がしやすくなったといえます。

 

太陽光発電における増設とは

太陽光発電の増設とは、すでに太陽光発電を設置し売電収入を得られている方が、もっと売電収入を増やすために規模を大きくすることです。

設置するスペースが余っている場合や、新たに設置場所を確保して太陽光発電システムを拡張するなど様々なケースがあります。

 

2015年4月1日以降の固定買取価格制度

2017年4月1日から、太陽光発電システムの固定買取価格制度(FIT)が変更されました

10kW未満の太陽光発電の場合、余剰買取で出力制御対応機器設置義務なしの調達価格は28円、出力制御対応機器設置義務ありは30円です。

ダブル発電をして余剰買取の場合で、出力制御対応機器設置義務なしの調達価格は25円、出力制御対応機器設置義務ありは27円となっています。

調達期間はどちらも10年間の設定です。

なお、北海道電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の需給制御にかかる地域では、出力制御対応機器の設置が必要です。

10kW以上の太陽光発電の場合は、調達価格が21円+税、調達期間は20年間となりました。設置量に関わらず、調達価格は年々減少する傾向にあります。

 

パネル増設の目的は利益を増やすこと

太陽光発電のパネル増設目的は、利益を増やすことです。

設置が早ければ早いほど高い調達価格が適用されるため、今のままの買取価格を維持しながら規模を大きくできるのが増設のメリットといえます

住宅用なら10年間買取価格が維持され、産業用は20年買取価格が同じです。増設するならできるだけ早く取り組んだほうがお得といえます。

 

パネル増設とパネル過積載の違い

単にパネルのみを増設するのか、それともパネル過積載となるのかによって条件が異なります。

増設とはパネルの枚数を増やすことで、パワコンの容量分のみパネルを増設し、収益を上げることを意味します。パネル過積載とは、太陽光モジュールの出力がパワコンを超える状態にすることです

 

増設で発生する費用

パネル増設は収益を上げることが目的のため、増設費用よりも収益が高くなければ意味がありません。

例えば、システム費用1kW当たり30万円だとすると、25kWの増設で750万円の費用がかかります。これだけの費用効果が得られると考えれば、増設するメリットはあります。

 

過積載が見込める飛躍的な効果

例えばパワコンの容量が39kWだった場合に、パネルを55kWまで増設し過積載としたとしましょう。

この場合パネルの枚数が増えるため、その分の費用が発生します。パワコンの変更はありません。このときの年間発電量から、増設しなかった分の年間発電量を引いて、パネル増設費用より上回っているなら利益が見込めたといえます

パネルの過積載の効果が高いのは、基準状態と同等の条件でなければ公称出力量と同等の発電量を発生させることが難しいからです。実際には夏場の暑さで発電効率が下がり、冬場は日差しが低下して発電量が伸びないものです。

朝や夕方、春や秋など気象条件によっても最大の出力は出ないため、パネル過積載を採用すると飛躍的な効果を上げることも少なくありません

 

太陽光発電の比較

実際にパネルの過積載により、どのような効果があるのか比較していきましょう。

 

パネルを増設した年間発電量と昨年比

パネルを増設した分だけ、月間発電量が上がります。パネル増設前と比べると、増設前年が年間約4万kW発電したとすれば、パネル増設後は約6万kWまで発電量を増やすことも難しくありません。

この数値だけを見れば売電して利益が上がり、増設に意味があったといえます。しかし、その年によって気象条件が異なるため、これだけでは本当に効率が良くなったのか判断することはできません。

 

パネルを増設していない年間発電量と昨年比

そこで、パネルを増設していない部分における年間発電量を、昨年とパネルを増設した年で比較する必要があります。この差が大きくなければ、気象条件により大きな影響を受けなかったということがわかるでしょう。

 

パネル増設でわかる発電量の大きな差

同じ条件が得られる場所で、増設していない部分と、増設する部分とを比較することで、本当にパネルの増設の意味があるかがわかります。

愛知県の太陽光発電所で一部にパネル増設をしたところ、増設をした部分では年間で1.5倍近い発電量が得られたというデータもあります。

 

パネルを増設する前に知っておくべきこと

シミュレーション結果から、パネル増設によって収益が得られることがわかり、増設することが決まったら、何点か確認しておくべきことがあります。

 

しっかりと設備認定をする

既存設備に対しパネルの増設をする場合は、設備認定の手続きが必要となります。すでに設置しているパネルと同じパネルを増設する場合は、軽微申請をしましょう。

既設と異なるパネルの場合は、変更認定申請を行わなければなりません

 

電力会社への変更申込を視野に入れる

パネル増設のみで、需給最大電力の変更がない場合でも、変更手続きが必要な場合があります。念のため、電力会社に問い合わせると安心です。

 

パネルメーカーは既設と違ってもOK

パネルの増設をする際には、既設のパネルと同じメーカーにするか、別のメーカーにするかの選択肢がありますが、それによってメーカー保証が外れるかを確認する必要があります

現在使用中のパワコンに異なるメーカーのパネルを取り付ける場合、異なる回路のため設置することができない場合があるためです。

別メーカーのパネルが取り付けられる場合でも、パワコンのメーカー保証が外れてしまう可能性もあるため注意しなければなりません。基本的には、現在使用しているパネルのメーカーに追加設置するのが失敗ない方法です

 

季節を考慮した設置角度のシミュレーション

発電量は季節によっても変わるため、既存設備にパネルを増設する場合は、どの場所に設置すると発電量が増えるのかシミュレーションすることをおすすめします

陰になる部分が発生する場合や、角度の違いによっても発電量は変わります。

 

基本的に増設をしても売電期間は延長されない

売電単価に変更がない増設の場合、売電期間は既設の太陽光パネルで売電開始した日から10kW未満なら10年まで、10kW以上なら20年までです。

増設した日から換算して10年、20年の買取価格期間にはならないため注意しましょう。このことを考えると、既設の太陽光パネルを設置してから、できるだけ早く増設したほうが残りの期間を有効に活用できます。

 

売電単価が下がるケースもあり

既設の設備が10kW以下の場合に、パネルを増設して10kW以上の産業用となった場合、既設を売電申請した時期によって損する場合があります

2016年6月30日までの産業用売電期間は10年間だからです。2012年7月1日から産業用売電期間は20年となったため、その後に新設した増設パネルも、既設の売電基準となってしまうためです。

 

メンテナンスのスペースを確保

メンテナンスをするときに、周りが空いていないとスムーズな作業ができません。

パネルを増設する場合は、毎年メンテナンスができるよう、スペースを空けるようにしましょう。

 

パワコンのメーカー保証対象外になる可能性もあり

パネルを過積載して過電流となった場合、またはパワコンの許容範囲を超えると、パワコンのメーカー保証対象外となってしまいます。

 

改正FITで太陽光発電の過積載は規制される

経済産業省の発表で再生可能エネルギー特別措置法は、2017年4月より新しい固定価格買取制度(FIT)となりました。

これにより、どんな変化があるのでしょうか。

 

資源エネルギー庁が配布した資料の内容は

改正FIT法により、認定制度の変更は設備認定から事業計画認定へと変更されました。旧制度で認定を取得した人も事業計画の提出が必要となり、変更手続きの方法も変わります

ほかにもメンテナンスの義務化や、2017年以降の売電単価の変更などが盛り込まれています。

 

2017年4月から施行の改正FIT法で過積載の規制はなし…ただし今後厳しくなる可能性大

パネル過積載は、認定取得時の買取価格を維持したまま発電量を増やせる方法です。

この方法には、設備を有効に活用できるメリットがある一方で規制の対象にすべきという意見もあるため、今後規制対象となる可能性は十分ありえます

 

パネル増設で収入アップをねらう場合は事前にシミュレーションを

パネルの増設には売電収益を上げる大きなメリットがあるため、パネルの増設やパネルの過積載に取り組む方も多くいます。

現在収益をあげられているなら、パネル数を増やすことでさらに倍増する可能性を秘めているでしょう。しかし、設置する際にはパワコンの保証が得られないこともあるため、既設とは異なるメーカーのパネルを設置する場合は注意が必要です

売電収入がアップするかはシミュレーションを実施し、よく検討してから導入するようにしましょう。

 

まとめ
  • 太陽光発電パネルの市場のうち非住居用が拡大しつつある
  • パネルの増設は売電収入をアップできるチャンス
  • 増設計画を立てて売電収入をアップさせよう
  • パワコンの保証外など注意点もある

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