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メーカーごと違う発電量|太陽光発電シミュレーションで知る売電価格

太陽光発電

太陽光発電と聞くと、発電した電気は自宅や会社・工場などで使用すると考える方が多いかもしれません。しかし、太陽光発電による「売電」も安定収入事業として注目を浴びています。

これから導入を考えるにあたって、ソーラーパネルの発電量がメーカーによっても異なり、どう売電収入に影響するのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、メーカーによる発電量の違いや売電収入のシミュレーションについてご紹介していきます。

太陽光発電の仕組み

太陽光発電とは、太陽の光をソーラーパネルが吸収し、電気エネルギーに変換する仕組みをいいます。

ソーラーパネルには「太陽光電池」と呼ばれるものが使われますが、これは通常の電池のように電力を貯蓄して使用するものではありません

小さな太陽光電池をたくさん繋げてできたモジュール(パネル)に太陽光が照射されると、「光起電力効果」という現象によって電気が発生します。発電した電気は接続箱にまとめられ、パワーコンディショナーという装置が直流電気を交流に変換することで、住居に電気が配られたり電力会社へ売電できたりします。

太陽光電池には、シリコン・化合物・有機とそれぞれ種類があり、発電効率も異なりますが、世界で80%も生産され一般に定着しているのはシリコンです。夜やくもりでは発電量も減ってしまいますが、2haの土地に置いたシリコン系のソーラーパネルであれば、おおよそ1,000kWの発電電力量となります。

年間で約13%の発電が見込まれ、1,000kWの年間推定発電量は「(1,000kW×24時間×365日)×13%」で単純計算しても、約1,138,800kWhとなります。

発電量はメーカーごと違う

太陽光発電を導入するにあたり、重要となるのが「年間予測発電量」です。年間予測発電量とは1年間の発電量を予測することであり、予測が大きい数値ほど設置費用が膨大になりますが、初期投資の元を早くとることができます。

売電収入にも大きく関わるので、発電量の予測は非常に重要です。日本では1,140kWhが平均値ですが、これはあくまでも全国平均値であり、発電電力量は地域や季節などによって異なります。

月別発電量や年間推定発電量は地域によっても変動するため、年間月別日射量データベースというツールを使って、地域ごとの日射量をより現実的な数値として試算することをおすすめします。

メーカーごとに太陽光発電システムの性能や最大太陽光電池量も異なるため、あらゆる条件で変わると認識しておく必要があるということです。

ソーラーパネルで年間発電量を比較

住宅用太陽光発電で人気の6メーカーから、1kWあたりの年間発電量をみていきます。

■各メーカーの1kWあたりの年間発電量

・ソーラーフロンティア 1,107 kWh
・東芝         1,204 kWh
・パナソニック     1,188 kWh
・シャープ       1,082 kWh
・三菱電機       1,248 kWh
・京セラ        1,034 kWh

6メーカーの中でも東芝や三菱の発電量が目立ち、1,200kWhを超える数値です。そのほかのメーカーについても、1,000kWhを上回る高い発電量が出ています。

もちろん角度や地域・パネルによっても発電量は異なるため、目安として考えておきましょう。

太陽光電池の種類を比較

太陽光発電を選ぶ際にメーカー比較も大切ですが、発電量を左右するのは太陽光電池の種類です。これによって、太陽光を電気エネルギーに変換する交換効率が異なります。

それでは一体どれくらい違うのか、比較してみましょう。

■単結晶シリコン 約20%

1つの結晶から太陽光電池がつくられるものを単結晶シリコン太陽光電池と呼びます。生産コストは高いものの、太陽光電池の中で最も効率が優れています。世界最高効率のパネルを販売する東芝など多くのメーカーで使用されている太陽光電池です。

■多結晶シリコン 約15%

不良な単結晶シリコンなどを再利用してつくられた、複数の結晶から構築される太陽光電池です。価格や性能バランスは良いものの、低コスト・大量生産を重視されているため交換効率は単結晶シリコンよりも劣ります。

■アモルファスシリコン 10%未満

ガラス基板などにガス状にシリコンを吹き付け、薄い膜を重ねてつくられている太陽光電池です。コストに優れていますが、交換効率は太陽光電池の種類で最も少ないというデメリットがあります。しかし、高温時に発電量の低下が少ないという特徴があり、メーカーではカネカが採用しています。

■HITシリコン 約19%

HITとは、ヘテロ接合のことで、結晶シリコンとアモルファスシリコンを組み合わせた太陽光電池です。単結晶シリコンの交換効率の良さと、アモルファスシリコンの高温時に効率が低下しない両方の利点を持つものの、実発電量では不足する部分もあります。メーカーではパナソニックが展開しています。

■CIS、CdTe 13%~18%

CISは、銅・インジウム・セレンが主原料の太陽光電池で、さらにガリウムを加えたものをCIGS太陽光電池と呼びます。また、カドミウムとテテルを主原料としたものがCdTe太陽光電池です。これらはシリコン系ではなく、化合物系に分類され、CISはソーラーフロンティアの主力としてシェア率を広げています

売電の収入について

太陽光発電では、家庭や企業で使用する電気や非常時の電力としての活用だけではなく、安定収入としての売電も注目されています。

設置した最大出力量(太陽電池容量)10kW未満の住宅用太陽光発電は、「余剰買取制度」の対象で、10年間は家庭用として電力を使いながら、余った電気を電気会社へ売ることが可能です。また、設置量10kW以上の産業用太陽光発電は「全量買取制度」の対象で20年間はすべての電力を売って収入を得られます

住宅用でも10kW以上なら全量買取制度を適用することができ、逆に産業用でも余剰買取制度を選ぶことが可能です。

売電収入の計算式

ではここで、売電収入を実際にシミュレーションしてみましょう。
売電収入は、「売電量×売電価格」の計算式で求めることができます。

売電価格に関してですが、大きくわけて設置量10kW未満か10kW以上かによって異なります。細かくいえば10kW未満の中でも出力制御対応機器の設置義務(太陽電池モジュール出力に制限が設けられる可能性がある電力会社の地域かどうか)の有無によって違いがあります。設置義務がない区間の場合は1kWあたり28円、設置義務がある区間では1kWあたり30円です。

10kW以上の場合、全量売電・余剰売電どちらも一律21円となります。売電価格は、設置した年によって価格が変動するので注意しましょう。

売電収入を計算する場合、売電量を求める必要があります。売電量を求めるためには年間予測発電量の計算を行います。

■年間予測発電量を求める計算式
年間予測発電量斜面日射量(kWh/m²/日)×日数×kW数÷標準日射強度(kW/m²)×(1温度上昇による損失率)×(1パワコンによる損失率)×(1その他損失率)

複雑な計算式ですが、これで年間予測発電量を算出することができます。余剰買取制度の場合は余った電力を売電するため、年間予測発電量から、さらに年間の日中電気使用量を引いて売電量を求める必要があるので注意しましょう。

設置量5.0kWでシミュレーション

全国の家庭で平均的に設置されているのは設置量5.0kWの太陽光発電システムです。

ここでは、日本の平均的な数値で売電シミュレーションをしてみましょう。

【シミュレーションの条件】

・日中平均電気使用量:74.2kWh
・斜面日射量:3.88
・温度上昇による損失率:15(メーカーにより異なるが少し高め)
・パワコンの損失率:5(おおよその平均値)
・配線やパネルの汚れなどによる損失率:5

■年間予測発電量

3.88(kWh/m²/日)×365日×5.0kW÷1kW/㎡
×(10.15)×(10.05)×(10.05)=5,432.0kWh

■年間日中電気使用量

74.2kWh×12ヶ月=890kWh

■年間売電収入

出力制御対応機器設置なし (5,432kWh-890kWh)×28円/kWh=127,176円
出力制御対応機器設置あり (5,432kWh-890kWh)×30円/kWh=136,260円

このケースの場合は、出力制御対応機器設置なしで年間127,176円の売電収入、出力制御対応機器設置ありで年間136,260円の売電収入を求めることができました。

売電価格の推移

太陽光発電による売電制度は2009年から始まり、当時の住宅用は48円、産業用は2011年まで約24円でした。しかし、2012年に固定価格買取制度が実施されて産業用は40円消費税と価格は上昇しましたが、翌年2013年から住宅用と一緒に価格が引き下げられ、住宅用が38円・産業用は36円と40円以下となりました。

その後、さらに売電価格は引き下げられ住宅用が28円~30円産業用は21円まで下がっています。この売電価格は設備導入費用と連動しているという考えもあり、普及が進んだことで導入費用の減価に伴って売電価格も下がっていると見られています。

太陽光発電の売電は、発電量に応じて収入額が変わってきます。発電効率が良いと発電量も多くなりますから、納得のいく売電収入が期待できます。

発電効率は太陽光電池の種類によって異なり、メーカー側でも効率を上げる開発が進められているため、今よりも良い効率へと進化していくはずです。売電価格は、普及に伴い価格が引き下げられていますが、新電力会社での売電によって収入アップが望める可能性も出てきています。

今後は売電価格だけでなく、新電力会社の意向の推移にも注目していきましょう。

事前のシミュレーションが大切

太陽光電池の発電量は、太陽光電池の種類やメーカー・地域の気候条件など、さまざまな影響を受けます。そのため、発電量・売電収入は、カタログ通りはいかないことを理解しておきましょう。

太陽光発電システムを導入する前に、ぜひお住まいの地域の年間月別日射量データベースを調べて電気料金換算額を計算してみてください。売電価格や節約できる電気料金がわかりやすく算出できるはずです。

また、シミュレーションを行ったうえで、販売店には複数の見積もりを依頼することをおすすめします。太陽光発電は長期的な運用になりますから、導入コストと売電収入を相対的に考慮し、慎重に導入を決めると良いでしょう。

 

まとめ
  • 住宅用と産業用の太陽光発電の違いは、10kW以上の設備かどうかのみである。
  • 住宅用に比べて産業用太陽光発電は、厳しい環境に設置されることが多く、機器は高額で特注になることもある。
  • 各地域の年間日照時間を確認し、設置場所や面積、角度などを考えて太陽光発電のシミュレーションをする必要がある。
  • 太陽光発電の導入は、電気代や売電収入のメリットだけでなく、自然環境にも優しく、社会貢献ができる。

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