電力自由化や東日本大震災などをきっかけとして、太陽光発電が注目される機会が増えています。
太陽光発電について考えるときに着目したいのがソーラーパネルの発電量や変換効率です。
太陽光発電は原発に変わる未来型エネルギーとなるのか、その可能性について解説してきます。
太陽光発電とは?
太陽光発電とは太陽電池を用いて太陽からの光エネルギーを電気に変換する発電方式のことです。
光エネルギーを直接電気に変換できるという点が、原子力・火力・水力などで発電機のタービンを回して発電しているほかの方式と大きく異なっています。
地表に到達する太陽光のエネルギーは1平方メートルあたりおよそ1kWです。これを100%電気に変換できる場合、約1時間で世界の年間消費エネルギーを作ることができる計算になります。
石油・石炭のように枯渇する心配もありませんし、特に日本のようにエネルギー資源を輸入に頼っている国にとっては是非活用したいところです。
また、太陽光発電は発電のプロセスで二酸化炭素を発生させることがありません。地球温暖化の原因とされている二酸化炭素を出さない、クリーン・エネルギーでもあるのです。
10kWの太陽光発電システムならば年間で10,000kWhの発電量を生産できる計算になります。これだけの電気を火力発電所でまかなう場合と比較すると、年間およそ2,270リットルの石油消費、5.04tの二酸化炭素排出を節約できるということです。
太陽光発電は地球に優しいエネルギーであることから、将来的に地球規模で広がっていくことが期待されています。
なぜ、今太陽光発電なの?
世界的に求められている太陽光発電ですが、なぜここ最近で注目を集めたでしょうか。
電力の自由化との関係
「未来型エネルギー」ともいえる太陽光発電ですが、普及はまだ先のことという予測も少なからずありました。
しかし、2016年4月にスタートした電力自由化によって注目度が加速したことは間違いありません。では、なぜ電力自由化によって太陽光発電が脚光を浴びることになったのでしょうか。
電力自由化はすべての人に電力供給者となる可能性を開きました。また電力会社同士が競争することにより電気料金が安くなることも期待されています。
その反面、電気の供給が不安定になるのではないかという不安の声も上がっています。そこで着目されたのが太陽光発電です。
各家庭が太陽光発電によって電気を自給すれば、停電を心配する必要もありません。加えて、余剰電力を販売することもできるため一石二鳥というわけなのです。
震災との関係
太陽光発電に停電のリスクが少ないということは、震災時にも威力を発揮します。東日本大震災では電気・水道などのライフラインが絶たれたことにより、大勢の方が長時間不自由な思いをしました。
ひとたび災害が起きて電力会社の送電システムに問題が起きれば、電力は届かなくなってしまいます。しかし蓄電できるタイプの太陽光発電を利用すれば、もしもの時にいつでも電気を使うことができるというわけです。
残念ながら2011年当時は、現在ほど太陽光発電は普及していませんでした。しかし、震災後は検索エンジン上で「太陽光発電」というキーワードの検索数が急上昇しています。
震災を経て、被災地のみならず日本全国で「万が一の時のため」と太陽光発電の導入を検討する動きが活性化したのです。
原発の現状
東日本大震災から6年ほど経過しましたが、原子力発電の状況は何か変わったのでしょうか。
震災以前
太陽光発電の隆盛の一方で気になるのが原発です。福島第一原子力発電所の事故後には日本国内の原子力発電所の多くが安全審査のために停止状態となっています。
震災以前の電源構成を比較してみると、原子力発電は総発電量のおよそ3分の1を占めており、いかに高いシェアであったか伺えます。
震災以降
震災後の2012年12月には、原子力発電による発電量は全体のわずか2%にまで落ち込み、火力発電が穴埋めをしています。
2010年と2012年を比較すると火力発電の比率は6割から9割にも上昇したのです。
火力発電というのは燃料費がかさむという大きなデメリットがあります。そのため、2010年と2012年の燃料費を比べてみると3.6兆円から6.8兆円とおよそ倍額に跳ね上がっているのです。
これが電気料金の値上げにもつながっていたことはいうまでもありません。
今の日本の電気供給量割合
経済産業省エネルギー庁による「2016年度エネルギー白書」によれば、2013年度の発電量の比率は原子力0%、火力発電約80%、水力約10%でした。いまだに火力の占める割合が非常に大きいことがわかります。
一方で急速に増加しているのが風力・地熱・太陽光などの再生可能エネルギーによる発電量です。まだおよそ3%しかありませんが、震災前には1.1%しかなかったことを比べれば約3倍に上がっています。
特に2012年度から2013年度の増加は大きく、今後も成長していくことが見込まれています。また、このデータは電力会社だけを対象にしているものですから、家庭で太陽光発電をしている人の分を加えれば、再生可能エネルギーの割合はさらに増えることは間違いありません。
「2016年度エネルギー白書」を見ると、日本の発電総量は2010年以降減少し続けているのがわかります。
震災から6年が経過し、節電の呼びかけも過去のこととなりつつありますが、現在も多くの企業が何かしらの節電努力を続行しているためといわれています。
震災前と同レベルの電力需要があったとしたら、現在のような火力発電をフル稼働させる体制ではさまざまな問題が発生していたであろうことは想像に難くありません。
二酸化炭素排出削減が叫ばれる中、石炭火力発電からの脱却を目ざすのが世界的なトレンドですが、日本の石炭火力発電は2012年の27.6%から2013年には31.0%に増加するなど時代と逆光する流れが問題視されているのも事実です。
原子力発電を再稼働させるには世論のハードルが高いため、太陽光発電に活路を期待されているという経緯があります。
ソーラーパネルの発電量
太陽光発電の導入を検討するにあたり、まずは発電量に着目しなければいけません。
電力を家庭で利用するために自給する場合、余剰売電といって電力会社に発電した電力を売る場合、どちらにも高い発電量は大きなメリットとなるからです。
太陽光発電の発電量はkWhという単位であらわし、太陽電池モジュールの1枚あたりの電力は公称最大出力と呼ばれています。また、公称最大出力に対して実際にどれくらいの発電量を得られたかをシステム出力係数という数値であらわすことができます。
実際には雨や雪の影響、パネルの汚れ、モジュール温度による発電量のロスなどが起こりますから、導入前にシステム出力係数をシミュレーションすることをおすすめします。
太陽光パネルの変換効率が良いほど、狭い設置面積でも短時間でたくさんの発電量を得ることができ、また、太陽電池モジュール出力が高いほど性能が良いということになります。
現在販売されている太陽光パネルの変換効率は、平均して10~19%ですが当然のことながら高性能のものほど高価になります。
従来のソーラーパネル
最も多く普及している太陽光パネルは現在のところシリコン型です。
これは、太陽光の中の1つの波長パターンを利用して発電するもので変換効率にはどうしても限界があります。
論理的には、複数の波長パターンに対応することができる化合物型の方が変換効率には優れていますが、現在の技術では量産型を作ることはできないというのが現実です。
しかし化合物型に関する新技術が開発され、現在のシリコン型のように大量生産される日が来ないとも限りません。
そういった太陽光発電関連の研究をしている会社に投資するというのも一つの賢い選択です。市販で化合物型が安く入手できるようになれば、太陽光発電はより普及することになるでしょう。
最新のソーラーパネル
NEDO「新エネルギー・産業技術総合開発機構」による太陽光発電ロードマップでは、ソーラーパネルの変換効率は2020年までに25%を実現することを目標に掲げています。
研究レベルではすでに変換効率30%を超えるソーラーパネルも登場しているため、今後に多いに期待が持てる状況といっていいでしょう。
また現在主流の半導体型ではなく、量子ドット型の研究も進んでいます。もしこれが成功すれば、変換効率40%以上のソーラーパネルも夢ではありません。
そう考えると、太陽光発電業界はまだまだ進展が期待できそうです。
5.太陽光発電は将来性が期待できる
震災や電力自由化をきっかけとして太陽光発電は年々注目を集めています。
技術やシェアは発展途上の面もありますが、原発に代わるクリーンな電力としても非常に大きな期待が寄せられています。
太陽電池の種類やメーカー別でも太陽パネルの発電量は異なります。今ではソーラーフロンティアや東芝など製品も豊富に揃っており、インターネット上でシミュレーションできるサイトもありますから、是非一度試してみてください。
自宅で太陽光発電をはじめて電力自給による電気代削減や売電収入を得るのも良いですし、成長著しい太陽光発電株に投資すれば安定した収益も期待できます。
今回お伝えした情報が何らかの形で活かしていただければ幸いです。
・変換効率30%を超えるソーラーパネルの新技術に注目する
・自宅にソーラーパネルを設置して余剰電力を販売するのも長期的な投資の一種