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【2017年】太陽光発電の買い取り価格から見る10年後を推測する

太陽光発電

太陽光発電など再生可能エネルギーの固定買い取り制度(FIT制度)が導入されて、5年が経過しました。売電収入を期待して、導入された方や検討されている方も多くいることでしょう。

 

しかし、年々買い取り単価は下落し、2017年は事業用(産業用)の10kw以上2,000kw未満の発電量で21円+税となり前年よりも3円下落しました。

2012年は40円+税でしたので買い取り単価は半額にまで下がったともいえます。

 

このまま買い取り単価は下がり続けることが予想される中で10年後太陽光発電はどのような展開になると予想されるか見ていきます。

 

 

太陽光発電の買い取り価格とは

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年々下がっていく太陽光発電の買い取り価格ですが、その価格はどのようにして決められているのでしょうか。

 

”「調達価格や調達期間は、電源ごとに事業が効率的に行われた場合、通常必要となるコストを基礎に適正な利潤などを勘案して定められます。具体的には、中立的な調達価格算定委員会の意見を尊重し、経済産業大臣が決定します。」”

 

「資源エネルギー庁HP参考」http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html

 

 

資源エネルギー庁のHPには、このように記載されています。

 

買い取り価格が下落しているのは設置価格が下落してきているからであり、価格・技術ともに競争の激しい太陽光発電は5年前と比較すると発電効率が上昇し、設置価格も大幅に下落しています

。10年を目安に初期投資の費用が回収できることを目安に、決められていますので設置費用の下落とともに買い取り価格も低下しています。

 

 

2000kw以上の発電では入札制度に変更

 

改正FIT法の内容のひとつとして、2000kw以上の大規模発電では従来の固定買い取り制度ではなく、入札制度に変更となりました。

 

太陽光発電の設備認定が多くなり、買い取り費用が将来的に膨大になることが問題として挙げられています。

これは、事業者間を競争させることで買い取り価格を減らすことを狙いとしています。

固定価格買い取り制度が適用されなくなったことで、大規模発電の事業の見通しは立てにくくなりました。

 

 

太陽光発電の買電(売電)の仕組み

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太陽光発電など、再生可能エネルギーの固定買い取り制度(FIT制度)とはどのような仕組みなのでしょうか。

 

”「再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます。この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなりより普及が進みます」”

 

「資源エネルギー庁HP参考」http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html

 

資源エネルギー庁のHPに、このように記載されています。

太陽光発電は現状助成なしでは成り立たない事業です。

しかしそれを国民が電気料金に「再生エネルギー発電促進賦課金」を上乗せして支払うことで、無理矢理成り立たせているというのが実情です。

 

太陽光発電などの再生可能エネルギーをなぜ普及させたいのか

 

国民への負担を上乗せさせてまで、なぜ経済産業省は再生可能エネルギーを普及させたいのでしょうか。

それは、エネルギーの自給率を上昇させるためです。

 

2011年の東日本大震災の影響で、国内の原子力発電所が全て停止するという事態になりました。

化石燃料の輸入が増大するということは、資源小国の日本では電気料金が乱高下しやすく安定供給が難しくなります。

そもそも、30年前に原子力発電が普及した背景はオイルショックが原因です。

 

自然エネルギーを利用することで、エネルギー自給率を向上させて安価で安定的な電気を普及させることが政府の方針です。

安価であるためには、太陽光発電の発電単価も他の発電(特に原子力発電)と同じくらいまで下げる必要があり、売電単価も買電単価より安くなることが予想されます。

 

 

買い取り期間は10年?

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固定買い取り価格の期間は10kwを境に変わります。

住宅用の10kw未満が10年、事業用の10kw以上が20年となります。

 

固定買取期間について

 

事業用10kw以上が20年となっている理由については、太陽光発電の稼働実態が20年以上あることから定められ、住宅用が10年となっている理由は屋根や外壁の塗り替えが10年~15年で行われていることから設定されました。

 

 

法定耐用年数はどちらも17年ですので、予算に余裕があり、晴天率が高い・土地の造成などの初期投資が安いなど条件の良いところでしたら、10kw以上導入した方が長期間売電価格を確保できますので、お得といえます。

 

 

固定買取期間終了後はどうなる?

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固定買取期間が定められているのは、その間に初期投資費用を回収してもらうためであり、その期間が終了したあとは

 

”「法に基づく価格の規制が終了しますので、買い取り期間終了後または終了が近づいた時点で発電事業者と電気事業者との合意により買い取り価格を決めていただくことになります。」”

 

「資源エネルギー庁HP参考」http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/faq.html

 

資源エネルギー庁のHPには、このように記載されています。

 

合意できなければ、電力の買い取りをしてもらえないわけですから、実質は価格交渉の余地無く、電力会社の言い値で売らざるをえない状況になることは、容易に予想できます。

 

これまでの価格を継続してもらえる可能性は限りなく低い、と言わざるを得ません。

 

 

買い取り価格の推移からみる10年後予想

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太陽光発電の買い取り価格の推移から10年後どのような状況になっているかを予想していきます。

まずは価格の推移をグラフで表してみました。

 

 

太陽光発電の固定買い取り価格の推移をみますとその下げ幅は大きく2012年時点と比較すると2017年時点で住宅用(10kw未満)で14円、事業用(10kw以上)で19円も下がっています。

現在の電力会社の料金と、太陽光発電の買い取り価格を比較してみました。

 

2017年5月現在

 

この表から太陽光発電の買い取り価格は、実際の電力料金よりもまだまだ高いことがわかります。

これが他の発電システムと同様レベルまで下がることが、本来の目的といえるでしょうからどこまで下がるかを調べてみました。

 

JPEX(日本卸電力取引所)のサイトを調べますと、電力がどのくらいの金額で市場取引されているかがわかります。

その金額は2017年5月現在で9~10円となっており、太陽光発電の売電価格も最終的にはそのくらいまで下がるのではないかと予想されます。

(JPEXサイト:http://www.jepx.org/index.html

 

しかし、10年後例えば固定買取期間が終了したとき、ここまでいきなり価格が下がるかというと疑問も残ります。

なぜなら、政府としては太陽光発電を含む再生可能エネルギー源とした発電で日本の総発電量の13~14%をまかなう目標があるからです。

 

2014年度での再生可能エネルギー源とする発電の割合は、5~6%程度でありまだまだ目標にはほど遠い数字です。

政府としても、太陽光発電のさらなる普及を目論む中で買い取り価格を低く見積もりすぎると普及の妨げとなりますので、実際には少し高めの金額設定になることが予想されます。

調達算定委員会の試算11円/Kwh、発電コスト検証ワーキンググループのコスト試算結果12.5円~16.4円/kwhが実情に近い値になるのではないでしょうか。

 

 

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業)とは

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2016年度から補助金として、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SⅡ)で公募された案件です。

高性能建材屋高性能設備機器等を導入する既築、新築、増築及び改築の建築物に対してその経費の一部を補助するものであり、対象申請者は建築主等(所有者)、ESCO(シェアードセービンクス)事業者、リース事業者等となります。

 

経費は、2/3まで支給されかなりの金額がカバーされます。

補助対象設備はZEB実現に寄与する高性能建材、空調、換気、照明、給湯BEMS装置等で構成するシステムとなっていまして、一見すると太陽光発電のことは触れられていません。

 

しかし、交付決定したシステムを見ますと、太陽光発電や蓄電池でも補助金が受けられることがわかります。

あくまで太陽光発電に対してのみではなく、自家消費を前提としたシステムを導入する建築物を対象として支給される補助金ですが、新しくビルなどを建築することを計画されている場合こちらの補助金を利用するのもひとつの手だと言えるでしょう。

 

 

蓄電池併用でさらにお得に

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今後の太陽光発電導入検討する上では、家庭用蓄電池の導入も併せて検討することが主流となってきます。

 

それだけ太陽光発電の売電価格と買電価格近づいてきているためです。

固定買い取り期間が終了すればほぼ確実に、買電価格>売電価格となることでしょう。

 

そのときに活躍するのが蓄電池です。

買電価格>売電価格という状況になりましたら自家消費することが断然お得になります。

 

補助金からみる政府の方針転換と今後のモデルケース

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国から蓄電池設置に関する補助金で2016年度に方針転換が図られました。

2015年度までは蓄電池そのものに補助金が交付されていましたが、2016年度から状況はかわり、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)というシステムに対して補助金が支給されるようになりました。

 

これは、エネルギーの自家消費を目的とした家に対して交付される補助金です。

このシステムを2030年までに標準的な住宅にすることを目的として、普及させることを目標としています。

 

このことからも、大規模発電(全量買取)&高額な固定買い取り価格で利益がでるというビジネスモデルは今後難しくなり、小規模発電(余剰買取)&自家消費で電気代0の住宅を実現するというのが主流になるでしょう。

まとめ
・買い取り価格は11~16円/kwまで下がることが予想される
・太陽光発電と蓄電池のセットで自家消費するスタイルが主流
・自家消費が主流となるので、現状から急速な接続枠の拡充は見込みづらい
・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業)を利用すれば太陽光発電設置に関しても補助金は交付される。(※あくまで建物が基準なので太陽光発電単体では無理です。)
・政府は2030年までにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)を標準住宅にする目標がある
・政府は再生可能エネルギーの割合を総発電量の13~14%にする目標がある
・太陽光発電の市場は今後とも拡大見込みとなる

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