近年は太陽光発電を導入する家庭も増えてきたため、売電している話を聞いて興味を持った方もいることでしょう。
しかし、太陽光発電は初期費用も高額で家庭によっても売電状況が変わるため、本当に導入してよいものか迷ってしまいます。もう一度太陽光発電の基礎知識を見直して、自分の家庭に向いているシステムなのか確かめてみましょう。
今回は太陽光発電のメリットや寿命、メンテナンスなどの要点をご紹介します。
太陽光発電システムの価格
はじめに、太陽光発電システムで気になる価格をチェックしてみましょう。
導入するために必要な価格や補助金について解説します。
2017年度補助金はでる
2017年現在、国からの太陽光発電システムへの補助金は実施されていませんが、太陽光発電と蓄電池に関する補助金があります。
これはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスZEH支援事業に基づいたもので、2020年までに標準的な新築住宅として、2030年までに新築住宅の平均で、住宅の一次エネルギー消費量をゼロとする住宅の実現を目指す試みです。
ZEHは高断熱、高性能設備、制御機構、蓄電システムを組み合わせた住宅で、補助金1戸当たり75万円、蓄電システム1kwh当たり4万円、補助対象経費の1/3または40万円のいずれか低い金額が支給されます。
また、自治体では太陽光発電システムに対する補助金を行っている地域があります。例えば石巻市では、平成29年度太陽光発電等普及促進事業補助金として、個人の場合1kw当たり2万円を乗じて得た金額、上限8万円千円未満切り捨てが支給されています。
事業用は25万円が上限に設定されています。
太陽光発電システムの価格推移
太陽電池モジュールの価格は年々減少傾向にあり、導入しやすい価格になってきています。2012年では、補助金を引いた金額で1kw当たり33万円程度でした。
それが2015年に入ると30万円を切るメーカーも登場し、20万円後半まで下がってきています。
一般家庭での太陽電池パネル容量は5kw程度のため、1kw当たり3万円下がれば15万円の差額となり、5万円下がれば25万円も違ってきます。これだけ下がれば初期費用が安く、同じ価格で大容量のソーラーパネル(太陽電池パネル)を導入することも可能です。
なお、太陽光発電の事業教養開始日は系統連系工事が完了し、送電網に接続した日です。売電はこの時点から開始できます。
これから太陽光発電システムを導入するメリット
再生可能エネルギーとなる太陽光発電の売電価格が年々下げられています。
2015年度住宅用は33円だったのが、2017年度住宅用は28円と下がっています。
売電価格は今後も下がっていくと予想されており、今太陽光発電システムの導入をすべきか迷っている方もいるでしょう。しかし、それでもメリットがあるのが太陽光発電システムです。
今後は多くのメーカーで、1kw当たり20万円台で購入できる太陽電池パネルが増えていくと考えられているため、初期コストを大きく節約することが可能です。また、技術進化によりセル単位の変換効率が上がっており、昔と比べて発電効率が上がっています。
毎年電気料金が上がっていることも大きなポイントです。売電価格が下がっても電気を買う金額が上がっていれば、太陽光発電システムのメリットがあるといえます。
太陽光発電システムの寿命
太陽光自体は時間が経過しても投入エネルギー量が減少せず、エネルギー収支が高い仕組みです。
しかし、太陽光発電システムが何年持つかによって、いつ導入すべきかの選択は変わってきます。
太陽光発電システムを長期的に活用できるなら、売電価格が下がっても同時に初期費用が低下しているため、導入するメリットがあるといえます。
早速、実際の使用年数から見ていきましょう。
実際の使用年数
京セラは、1984年4月に太陽光発電システムの基礎研究や実証実験を兼ねて、千葉県佐倉市に出力43kwの大規模太陽光発電システムを設置しています。
2009年で25周年を迎えるにあたってノーメンテナンスで稼働し続けたソーラーパネルとしても有名です。実証データでは、25年後の経年劣化による発電量の割合は、9.62%であることがわかりました。(※2017年現在も稼働中)
また、大抵のメーカーで10年発電保証を付けており、中でもソーラーフロンティアでは20年保証を実施していることから、ソーラーパネルの耐用年数は20年持つと考えることができます。
ソーラーパネルの劣化は緩やかで、20年後に10%の発電量が低下したとしても、まだまだ使うことは可能です。
故障と経年劣化の違い
ソーラーパネルの経年劣化は緩やかなため、メンテナンスフリーとして販売されている商品もあります。確かに頻繁に壊れる機器ではありませんが、絶対に故障しないというわけではありません。
経年劣化とは、年数が経過しても性能や機能に問題がなく発電できるという意味です。ところがソーラーパネルは屋外に設置するため、台風などの自然災害の影響や、工事時の接続不良などにより故障することはありえます。その割合とは、NEDO太陽光発電システム評価技術研究会により、16.9%に上るデータが出ているようです。
太陽光発電システムの故障はソーラーパネルのセルが劣化するというより、パワコンの不良に多くみられます。ソーラーパネルに対しては、メーカーによって自然災害補償が付けられているものでは、10年間で200〜300万円の補償が得られるため安心して導入が可能です。
機器の保証期間
国内で販売されているソーラーパネルのほとんどが、10年以上の保証期間となっています。そしてソーラーパネルには、製品保証と出力保証の2つがあります。
製品保証とは初期不良に対する保証で、出力保証とは一定期間において出力を保証するものです。
つまり、公称の太陽電池容量より大幅に出力が低いときは保障が受けられます。
ほかにも、災害補償が付けられている商品もあります。
火災や台風などにより、ソーラーパネルが壊れた場合の補償制度です。
また、火災保険のなかにはソーラーパネルも屋根の一部とし、災害時に屋根とソーラーパネルを一緒に補償してくれる保険会社もあります。
注意したいのが、パワコンなどシステム機器の保証期間です。
ソーラーパネルが長期保証となっていても、システム機器は短期間となっている場合もあります。
発電モニターに関しては、12年など短期間保証を付けているメーカーもあります。
法律で定められている耐用年数
法律で定められた太陽光発電システムの耐用年数とは、減価償却計算するための法定耐用年数のことです。
法的な耐用年数
太陽光発電システムの法的な耐用年数は、国税庁が定めており17年としています。この基準で、太陽光発電システムは機械装置に分類されています。
耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の「55 前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」に、該当します。
産業用と家庭用との違い
法的な耐用年数は、確定申告で太陽光発電システムを減価償却しなければ、関係ありません。事業用として活用する場合は、太陽光発電システム減価償却するため、法定耐用年数を考慮する必要があります。
法定耐用年数は何に影響するのか
法定耐用年数は、太陽光発電システムを利用して売電利益を得る場合に必要です。
売電収入を得た際の減価償却費用の算出に必要
太陽光発電システムを設置すれば、発電した電力を売電するため利益を得ることになります。
これは、家庭用太陽光発電システムも同様で、サラリーマンの方は一定以上の収入があれば確定申告の必要があります。給与所得を得ている方は、給与以外の年間所得が20万円以上となった場合、確定申告の必要があります。
所得とは必要経費を引いた収入で、必要経費とは太陽光発電の購入費用やメンテナンス費用のことです。そのための計算として減価償却費用を調べる必要があります。
減価償却費用を算出する計算式
1年間の減価償却の計算は、太陽光発電システムの導入価格÷17年で割り出します。
年間減価償却分×年間売電量÷年間発電量で、経費割合がわかります。
年間売電収入−経費で、太陽光発電システムの所得が計算可能です。
太陽光発電システムの寿命を延ばすためには
ソーラーパネルの経年劣化を防ぐには、素材に注意してください。
ソーラーパネルの素材は、シリコン系、化合物系、有機物系があり、一般的にはシリコン系と化合物系が使われています。シリコン系でも、アモルファスは劣化が激しいタイプです。
定期メンテナンスが重要
システム不良を防ぐためには、毎年定期点検してもらうことです。
パワコンは10年で修理が必要となるケースが多いため、目安としておきましょう。
メリットの多い太陽光発電をお得に導入
太陽光発電システムは、まだまだ導入メリットがある商品です。
自治体からの補助金制度を利用すれば初期費用を安く抑えられます。また、売電できるうえに節電や環境対策にも繋がります。ソーラーパネル自体は20年以上持つ品質の商品も少なくないため、年々導入数が増えているのが現状です。
事業用として利用する場合には、初期費用を減価償却して節税にもなるためメリットは大きいでしょう。いつ導入すべきか迷っている方は、こういったメリットを参考に適切な商品選びをしてみてください。
- 補助金を利用すると1kw当たり30万円以下の商品も出ている
- ソーラーパネルの初期費用は年々減少している
- ソーラーパネルと周辺機器の保証がどうなっているか確認すべき
- 売電利益を得るなら減価償却で節税もできる