太陽電池の発電量には限界がありますが、よりパワフルな太陽電池を求めるならば単結晶シリコン型をおすすめします。
多結晶シリコン系・薄膜シリコン・アモルファスシリコンなどと比べても変換効率が圧倒的に高く、発電量・売電収入に期待ができるからです。
そこで今回は、単結晶シリコン型太陽電池にポイントを絞り、その特徴やメリット・デメリット、最高交換効率の測定までを詳しく解説します。
太陽電池とは
太陽光パネルに使用されている太陽電池ですが、その素材や特徴にはどんなものがあるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
太陽電池の種類
・シリコン系太陽電池
現在の太陽電池のほとんどがシリコンを主原料としています。
シリコンは条件次第で電気を通す性質を持つ半導体で、「光を当てる」ことも条件の一つとなるために太陽電池として採用されています。
シリコン系太陽電池には、単結晶シリコン太陽電池と多結晶シリコン電池などがあります。
このうち単結晶シリコン太陽電池は、1つの発電セルが1つのシリコン結晶でできているというものです。
20%前後という非常に高い変換効率が実現可能で、現在市販されているものの中で最も性能の高い太陽電池といえます。
ただしその分、値段は高めです。
多結晶シリコン太陽電池は、1つのセルの中に複数のシリコン結晶が入っているというものです。
単結晶シリコン太陽電池と比べると変換効率は落ちてしまいますが、量産が可能でリーズナブルというメリットがあります。
・化合物系太陽電池
シリコン以外の物質を組み合わせて作った太陽電池です。
市販品をのぞけば世界最高水準の変換効率を持つものも生成可能になっています。
太陽光電池に使用できるほど純度の高いシリコンを精製するのは難しく、世界的なシリコン不足が続いています。
シリコンを使用しない化合物系太陽電池ならば、シリコンの供給問題の影響を受けません。
ただし、実用化されている化合物系太陽電池の変換効率はそれほど高くないという難点もあります。
交換効率の高いシリコン型の電池
いろいろな太陽電池の中でも、交換効率の高さを誇っているのはシリコン型です。
実用化されているものの中では、単結晶シリコン太陽電池が圧倒的な交換効率を誇っています。
単結晶シリコン型のメリットは
交換効率の高い単結晶シリコン型の太陽電池ですが、その具体的なメリットとは何でしょうか。
太陽光発電の発電量を増やす
単結晶シリコン型の変換効率は最大で20%、平均でも13%~18%と非常に高い水準にあります。
日本のように狭いスペースで太陽光発電をするには、効率良く発熱量を増やさなくてはいけません。
そのため結晶パネルの中でも、変換効率の高い単結晶シリコン型が昔から重宝されてきました。
故障が少ないため、メンテナンス費用が安い
単結晶シリコン型は長い製造の歴史があります。
そのため、工場での生産過程などについても改良が重ねられているのです。
製造法が研究されてきた単結晶シリコン型は、故障が少ないことが特徴といえます。
メンテナンス費用をかけなくても発電力が安定していて、耐用年数も長いというメリットもあります。
単結晶シリコン型のデメリットは
単結晶シリコン型にも欠点はあります。あらかじめ、そのデメリットを理解しておきましょう。
製造コストがかかる
単結晶シリコン型は、化合物型はもちろんのこと、多結晶シリコン型と比較してもどうしても高価です。
純度の高いシリコン結晶を安く手に入れることは至難の業で、そもそも原材料費が高いというデメリットがあります。
さらにその製造過程では、太陽電池セルの電極を1つずつ繋げていかなくてはいけません。
そのため、製造コストも非常に高くなってしまうのです。
製造過程の仕様で無駄な面積が必要になる
単結晶シリコン型は、円柱状のシリコンのかたまりから製造されます。
円柱状のものを八角形に切り取っていくため、どうしても8つの無駄なパーツが生じてしまうのです。
世界的なシリコン不足の折、これを問題視する声もないわけではありません。
エコロジー的な観点からも、今後見直していくべきポイントともいえるでしょう。
太陽光パネルメーカーの交換効率トップ5は
太陽光パネルを提供するメーカーは多数あります。
まずは、交換効率トップ5を見てみましょう。
- TOSHIBA 21.2%(SPR-X21-345)
- SHARP 19.6%(NQ-256AF)
- CIC 19.5%(CS-320G31)
- Panasonic 19.1%(VBHN245SJ33)
- Canadian Solar 18.1%(CS6V-245MS)
東芝が断トツですが、そのほかのメーカーも高い数値を出していることがわかります。
ここには登場していませんが、できるだけ導入コストの安いソーラーフロンティア株式会社などのメーカーを選ぶか、高い交換効率で多くの売電収入を望むかで選択が分かれるところです。
いずれにしろ、この交換効率はどのような計算式で算出されているのでしょうか。
交換効率の計算式
交換効率とは、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する時の変換割合のことです。
パネルが受けた太陽光エネルギーのうち、どれくらい電力に変換できたのかという値になります。
つまり、交換効率が高いほど、より効率良く発電が行われていることになるのです。
交換効率は、1平方センチメートルあたりの太陽電池セルに対して、当たった太陽光エネルギーがどう変換されたかを基準にして算出されます。
計算式はこちらです。
変換効率=出力電気エネルギーW÷太陽光エネルギーW×100
たとえば1平方センチメートルあたりの太陽電池セルに100Wの太陽光エネルギーが当たり、100Wの電力が得られている場合、その太陽電池の交換効率は100%ということになります。
また、交換効率には「セル交換効率」と「モジュール交換効率」があります。
セル交換効率は太陽電池セル1枚あたり、モジュール交換効率はモジュール1平方メートルあたりの変換効率です。
太陽電池モジュールとはソーラーパネルの別名でもあります。
1枚の太陽電池モジュールは何十枚もの太陽電池セルが結合してできています。
モジュールの中で、セルとセルは導線でつながれていますが、配線・回路・電気抵抗などによって交換効率は低下するものです。
そのため、モジュール交換効率はセル変換効率よりも低くなっています。
太陽光発電システムの交換効率とは、モジュール変換のことを指すのが一般的ということを覚えておいてください。
東芝SPR-X21-345パネルで交換効率を計算
東芝SPR-X21-345パネルは、世界最高記録のモジュール交換効率21.2%を誇る商品です。
公称最大出力も345Wと抜群の性能を誇っています。
実用モジュールでは、2020年までにモジュール変換効率を20%にすることを国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は目標に定めてきましたが、すでにこれを越える値をマークしてしまったということです。
東芝SPR-X21-345パネルが高い発電効率を誇っているのには理由があります。
従来の太陽光電池パネルは、表面にある電極が太陽光を遮っていましたが、東芝SPR-X21-345パネルでは表面から電極を取り除き、すべて裏側に設置して高い発電量をキープする仕組みへと改良しました。
これが、東芝が採用した「バックコンタクト方式」です。
加えて、二種の電極を交互に配置することによって電子のやりとりをスムーズにしており、より高い発電効率を実現することに成功しています。
他社と比較してみる
他社の太陽光電池パネルでは、日照量の少ない時には少ない電気エネルギーしか出せないというデメリットがありました。
ところが、バックコンタクト方式を使った東芝SPR-X21-345パネルでは、朝晩・雨天時などの日照量が下がった時でも、運転電圧があまり変化せずに、安定した発電を実現できるというメリットがあります。
また一般的にシリコン系太陽電池は気温が高くなると、太陽電池モジュール変換効率が低下する傾向があります。
しかし東芝SPR-X21-345パネルは暑さに強く、真夏の炎天下でも高い交換効率を維持しているのは特筆に値するでしょう。
このように東芝SPR-X21-345パネルは大変優れた太陽電池ですが、他社もそれを追いかけるようにしてさまざまな商品が開発されています。
自宅に設置する際には屋根の大きさや形状を考慮して、最適の太陽電池を選択するようにしましょう。
自宅の屋根の大きさも考慮に入れる
太陽電池を自宅の屋根に設置するにあたっては、屋根の大きさや形状を正しく把握しておく必要があります。
できるだけたくさんの太陽電池を設置した方が、より多くのエネルギーを得ることができます。
交換効率の良いパネルだけを少しだけ置くよりも、何種類かのパネルを組み合わせて屋根中に設置した方が良いのです。
たとえば縦置きにするか横置きにするかによっても結果は異なります。
最大出力345Wのパネルを9枚横に敷いてデッドスペースを作るよりも、345Wのパネル16枚を縦に敷き、隙間を使って253Wのパネルを2枚置くことで、より多くの出力を確保することができます。
総出力は、851W~920Wと約30%もアップします。
このことからも、余白を作らずに設置することが、いかに重要なのかがわかります。
効率のよい発電にはパネル選びが重要
太陽電池と一口にいっても、シリコン系太陽電池・化合物系太陽電池などさまざまなタイプがあります。
自宅で太陽光発電をしようとするならば、さまざまなパネルの中から的確なものを選び、正しく設置することが大切です。
また、変換効率や設置する枚数なども発電量に大きく影響します。
ポイントを押さえてぜひ太陽光発電の運用にチャレンジしてみてください。
さらに高い交換効率の太陽電池・運用年数の長期化など、さらなる発電コスト低減技術開発が進めば、太陽光発電の普及率はさらに伸びることが考えられます。
国の研究グループも2020年の発電コスト目標を、14円/kWhとして戦略的に働きかけているようです。
年々導入コストが下がっている昨今、太陽光発電の未来は明るいといえるでしょう。
- 単結晶シリコン型は交換効率が良いがコストが高く、多結晶シリコン型は交換効率は落ちるがコストが安い
- 単結晶シリコン型は長い製造の歴史があり故障が少ない
- 交換効率は「出力電気エネルギーW÷太陽光エネルギーW×100」で求められる
- 東芝SPR-X21-345パネルはバックコンタクト方式を採用しており高い交換効率を誇っている
- 自宅屋根の大きさや形状を正しく把握することが重要
- 屋根の上にできるだけ余白がないように敷き詰め総出力数をアップさせる