太陽光発電設備を導入しようと考えている方にとって、最も気になるのが「果たして儲かるのか」という疑問ではないでしょか。
せっかく導入したのに収益が出ないのであればコストが無駄になってしまいます。
結論からいうと、太陽光発電は十分収益を上げられるものです。
ただし、事前に知っておくべきことがあります。
太陽光発電の収益をあげるうえで関わってくる制度、どのようにすれば利潤を上げることができるのかなどをご紹介します。
太陽光発電の仕組み
太陽光発電は太陽電池を使って電気を生み出すシステムです。
太陽電池には、シリコンなどの半導体が用いられており、それが太陽の光を受けると「光電効果」という現象を起こします。
光電効果とは、太陽電池が光を受けることで半導体内に正孔(プラスとマイナス)が生まれ、電子が動き回る現象のことです。
この電子の動きを利用して電気を作り出します。
住宅用に用いられている太陽光発電では、太陽電池で作り出した電気をそのまま家電などに使用することは不可能です。
太陽光パネルで作った電気を、住宅で使用するには「パワーコンディショナー」が必要になります。
パワーコンディショナーとは、太陽光パネルで作った電気を電力会社が供給しているのと同じ交流電力に変えてくれるものです。
太陽光発電は、火力発電のように石油や石炭などの資源を使わず環境を汚染することもないため、再生可能エネルギーとして注目を集めています。
またその性質上、住宅用・産業用に限らず、人工衛星など宇宙開発にも利用されているのが特徴です。
ビジネスとしての太陽光発電
太陽光発電の普及が進み、今ではたくさんの場所でソーラーパネルの設置が見られます。
ところで、太陽光発電ビジネスが広まったきっかけとは何でしょうか。
太陽光発電ビジネスが盛んになったわけ
現在、太陽光発電ビジネスはかつてない盛り上がりを見せています。
日本は太陽光発電導入量でドイツとともに世界をリードしており、2011年末の時点で導入量は491.4万kW、2001年からの10年間で太陽光発電は8倍にも増加したのです。
しかし、太陽光発電自体は40年以上も前から日本に導入されていました。
それにも関わらず、なぜ近年になって注目を集めだしたのでしょうか。
その主な理由として
- わが国のエネルギー自給率の問題
- エコへの関心
- 東日本大震災
- 固定価格買取制度の開始
という4つがあげられます。
では、具体的な内容を見てみましょう。
まず1つ目の理由は、わが国のエネルギー自給率の問題です。
現在、日本はエネルギー消費量世界第5位でありながら、原子力発電を含まないエネルギーの自給率は5パーセントしかありません。
これは世界の中でもかなり低いほうの水準になります。
日本はエネルギーのほとんどを海外からの輸入に頼っているのです。
日本が主要な発電機関としている火力発電ですが、その燃料である石油や石炭・ガスなどはほぼ海外から輸入しています。
これでは、日本の貿易赤字が拡大するばかりです。
中東の情勢に左右され、電気料金が引き上げられる可能性もあります。
太陽光発電であれば輸入に頼らず自国での生産が可能です。
「完全に本国内で生産可能なエネルギーを作り自給率問題を解決する」という目的で太陽光発電が普及していった背景もあることを覚えておきましょう。
2つ目の理由は、エコへの関心です。
1990年代後半から現在に至るまで、地球温暖化の問題が声高に叫ばれるようになりました。
現在では世界中の大半で対策が進められており、人間の存続に危機感を抱いている状況です。
火力発電は温室効果ガスであるCo2を排出するものですし、原子力発電は放射性物質を含んだプルトニウムを残してしまう発電方法です。
地球温暖化をはじめとする環境問題が声高に叫ばれている今こそ、火力や原子力発電に代わる再生可能エネルギーを促進する必要があります。
その一環として太陽光発電が増加しているのです。
3つ目の理由は、2011年に起きた東日本大震災の影響です。
福島第一原発の事故は記憶に新しいですが、あの出来事で社会的に「脱・原発」の動きが強まり、クリーンなエネルギーである太陽光発電の導入に拍車がかかった経緯があります。
最後の理由は、「固定価格買取制度」の開始です。
固定価格買取制度は「家庭で発電された電気を電力会社が原則10年間(家庭用10kW未満の場合)固定価格で買い取る」という内容で2012年から開始されています。
この制度により、太陽光発電を導入すれば儲かるという単純な原理が生まれました。
家庭でも積極的に太陽光発電投資を行うようになって設置量が増加したのです。
太陽光発電って稼げるの?
前述した「固定価格買取制度」や、発電した電力のすべてを売電できる「全量買い取り制度」も開始されており、太陽光発電はある程度安定した収入が見込めます。
太陽光発電において大きなリスクの1つとされていた導入コストも、ここ最近でかなり下がってきています。
家庭用のものであれば200万円以下で設置できるものが大半です。
もちろん、メンテナンス・パワーコンディショナー交換などの費用はかかりますが、総じて収益がプラスになることは間違いないでしょう。
売電とは
売電とは自宅で発電した電気の余剰分を、電力会社に買い取ってもらうことです。
現在、家庭用に導入されている10kW未満の太陽光発電では、発電したすべての電気を買い取ってもらうということはできません。
余剰買取といって発電した電気を自宅で使い、その余った分を買い取ってもらうということになっています。
※ 10kW以上であれば、住宅用でも全量買い取りを選択することも可能です。
売電価格
太陽光発電で収益を上げるのに肝心なのが「売電価格」です。
ここでは、売電価格の仕組みを見ていきましょう。
太陽光発電の売電制度
太陽光発電の売電には「固定価格買取制度」が適用されることになります。
固定価格買取制度を具体的に説明すると
「太陽光発電で作った電気を、決まった価格で・決まった期間・電力会社に買い取ってもらえる」
というものです。
電力の価格は、調達価格等算定委員会の意見をもとに経済産業大臣が決定します。
平成29年度の買取価格は10kW未満のもので28円、出力制御対応機器の設置が義務付けられている場合は30円となっています。
出力制御装置とは需要を大きく上回る発電量が出たとき、それ以上その発電装置が発電を行わないよう電力会社が調節できるようにする機械のことです。
北海道電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の供給区域では、その設置が義務付けられています。
また、10kW以上の太陽光発電の売電価格は、平成29年時点で21円+税となっています。
太陽光発電の売電期間
太陽光発電の売電期間は、10kW未満の太陽光発電の場合で10年間です。
これは、出力制御対応機器の有無に関わらず変わりません。
10kW以上の買取期間は20年です。
ソーラーパネルで儲けるには?
ソーラーパネルで儲けるためにはどうすればよいのでしょうか。
結論からお伝えすると、とにかく「早く設備を導入すること」です。
2012年に開始された固定価格買取制度は、年ごとに買い取り価格が見直されます。
残念なことに電気の買取価格は徐々に下がってきているのです。
買取価格の高いうちに太陽光発電を導入しようと多くの業者や個人が参入したためでしょう。
しかし、買取価格が下がったからといって採算が取れないということではありません。
なぜなら買取価格の下落とともに、太陽光設備単価も下がってきているからです。
2009年あたりまで、住宅用太陽光発電の価格は1kWあたり60~70万円が相場でしたが、2017年では1kWあたり30万円を切る場合もあります。
導入コストが安いということは、早い段階で初期投資を回収し売電収入を得られるということです。
太陽光発電でより多く稼ぎたいのであれば、何より早めに設備を導入することをおすすめします。
【注意】太陽光発電の出力制度
太陽光発電は電気を売って収益を上げるものですが、買い取ってもらえるはずの電気が電力会社によって買取を拒否されてしまう場合もあります。
現在、電力会社の中には管轄している地域において、需要以上の電力の買取を拒否できる権利を持っているところがあります。
買取を拒否する、つまり電力会社が家庭の発電を制御するということです。
買取を拒否できる電力会社の地域では、家庭の発電装置に「出力制御対応機器」というものの設置を義務付けています。
これによって電力会社が発電出力をコントロールできるようになるのです。
可能性は非常に低いですが、家庭に設置するような10kW未満の太陽光発電でも対象になる場合があります。
現在、10kW未満の太陽光発電装置にも、出力制御対応機器の設置を義務付けている電力会社はこちらです。
- 北陸電力
- 中国電力
- 四国電力
- 沖縄電力
- 北海道電力
- 東北電力
- 九州電力
該当地域にあたっていても、基本的に売電を制限されることはないと考えて差し支えありません。
なぜなら、出力制御される優先順位が
50kW以上 > 10kW以上50kW未満 > 10kW未満
となっているからです。
該当地域で太陽光発電の運用が心配な方は、販売店で出力制御された場合の補償サービスを行っているところもありますから確認してみると良いでしょう。
早い段階でソーラーパネルの導入を
現在、電気を使用するすべての人が「再生可能エネルギー促進賦課金」という電気料金を負担しています。
これは再生可能エネルギーを促進するための費用の徴収で、日本のエネルギー自給率向上を目的としたものです。
こういった流れを見ても、まだまだクリーンエネルギーの進展が期待されていることが伺えます。
さらなる太陽光発電の電力を求められているのです。
太陽光発電の普及に伴って設置にかかる費用は、開始当初と比べると約半分ほどになっています。
初期投資の回収が早くなるということは、売電収入を得るタイミングも早くなるということです。
今のところ売電価格は毎年下がっています。
だからこそ、なるべく早い段階で導入をすることが望ましいのです。
パネルの性能やコスト・設置環境などの必要な知識を身に着けて、後悔のない太陽光発電の導入を実現しましょう。
- 太陽光発電の普及は「エネルギー自給率の問題・環境問題・東本大震災・固定価格買取制度」をきっかけとして広まった
- 固定価格買取制度とは「発電された電気を電力会社が原則10年間(10kW未満)or20年間(10kW以上)固定価格で買い取る」というもの
- 固定価格買取制度の買電価格が年々下がっているが太陽光発電の導入費用も同時に下がっている
- 少しでも多く収益を上げたいならば売電価格が下がらないうちに設備を導入するのがおすすめ