太陽光発電の設置には、さまざまな費用がかかります。
いざ導入するにあたって、費用の内訳や、値段の正当性などが気になるところです。
設置するシステムそのものだけでなく設置場所などでも値段は変動しますが、費用のおおよその目安や相場をおさえておくと安心です。
ここでは、2017年度最新の平均価格と相場、ソーラーパネルの比較などをお伝えします。
2017年度太陽光発電の平均価格
太陽光発電の設置には、どれほどの費用がかかるのでしょうか。
まず、太陽光発電のシステム設置費用の相場価格とその内訳を見ていきましょう。
太陽光発電システムの設置費用
太陽光発電をはじめるにあたって、必要になる費用の種類には
- ソーラーパネル(モジュール)
- パワーコンディショナー(パワコン)
- 架台
- 工事
- 接続費
- その他
に分けられます。
太陽光発電はオーダーメイドです。
それぞれの地域、屋根の形状、販売業者などの条件によって価格は変わりますが、おおよその参考にしてください。
メーカー | サイズ | 価格 |
パナソニック(HIT) | 5.15w | 179.5万円 |
シャープ(ブラックソーラー) | 5.28w | 178.0万円 |
ソーラーフロンティア(標準タイプ) | 5.25w | 160.0万円 |
となっています。
そのほかの、ソーラーパネルの設置価格も5wでおおよそ140~180万円。
これが、太陽光発電の設置価格といえます。
5wは住宅用の太陽光発電システムの中でも、少し大きめのものです。
サイズが小さくなれば、価格も下がります。
国内パネルと海外パネルを含む1kWあたりの相場価格
ソーラーパネルを選ぶ際には、「1kWあたりがいくらになるのか」というkW単価を調べ、何年ほどで元が取れるのかを考えて選ぶ方法が一般的です。
kW単価とは、太陽光発電システムの設置にかかる費用金額である、太陽光発電システム全体、工事費用、諸費用のすべて込みの税抜き価格を、システムの発電量(kW数)で割って算出したものを言う場合がほとんどです。
kWとは、車でいうところの「最高時速」であり、太陽光発電システムの能力を表します。
kW数が高いと、性能が良く価値も高いと言えます。
すなわち、kW数の高いシステムをなるべく安い金額で買うと、お買い得ということになります。
例えば
3kWのシステムで費用120万円の場合の見積もりは
120万円 ÷ 3kW = kW単価 40万円/kW |
4kWのシステムで費用140万円の場合の見積もりは
140万円 ÷ 4kW = kW単価 35万円/kW |
となり、後者の方がお買い得です。
また、kW単価が異常に高いようであれば、不当な価格を提示されているのだと判別することができます。
現在では、特殊な施工が必要でない限り、kW単価50万円以下で購入できることが普通です。
株式会社アイ・ジャパンによると、相場は以下の通りです。
平成28年(2016年) 7~9月期
平均36.3万円/kW (税込39.2万円)
引用:http://www.aijapan-home.jp/article/15157557.html 「太陽光発電の価格・相場2016年~2017年展望」
メーカーごとにスペックの異なるソーラーパネルを販売していますが、国内メーカーは品質重視のぶん少し高く、海外メーカーは安くなる傾向があります。
太陽光発電機器の内訳比率
太陽光発電設置の見積もりは、太陽光システム全体、工事費用、諸費用を合計して出すことがほとんどです。
そのため、太陽光パネルの値段だけを見ていても、実際にかかる費用はわかりません。
太陽光発電機器のシステムコスト全体の中で各費用が占める割合は、自然エネルギー財団が2015年に発表した「太陽光発電事業の現状とコスト 2014」という論文で、以下のように示されています。
コストの種類 | 全体の割合 |
モジュール | 40% |
パワコン | 11% |
架台 | 12% |
工事費 | 23% |
接続費 | 2% |
その他 | 12% |
引用: 「自然エネルギー財団「太陽光発電事業の現況とコスト 2014」
https://www.renewable-ei.org/images/pdf/20150226/PV_Cost_Report_2014.pdf
上記でも少しふれた、パナソニック(HIT)5.15w/179.5万円を今の内訳にあてはめると
パナソニック(HIT)5.15w/179.5万円の内訳 | |
モジュール | 107.7万円 |
パワコン | 約19.7万円 |
架台 | 約21.5万円 |
工事費 | 約41.2万円 |
接続費 | 約25.1万円 |
その他 |
コストの差は、太陽電池モジュール(ソーラーパネル)によるところが大きく、コストがかかる設備では、国内メーカーの高品質モジュールを利用している場合がほとんどです。
また、設置を行う業者の技術や施工期間によって値段が変化するため、充分に確認しましょう。
kW単価は、かかる費用全体をkW数で割ったものとなるため、費用全体を抑えた方がお得になります。
しかし、必要な人件費やアフターフォローが削られて安い金額になっていると結果的に損をするため、注意が必要です。
2017年度ソーラーパネルの平均価格
太陽光発電の価格は、メーカーやkW数で大きく差が出ます。
そのほか、屋根の形状や勾配などの環境によっても変動します。
そのため、平均価格はあくまでも目安ですが、知っておくことで検討する際の参考にできます。
ソーラーパネルの価格
ソーラーパネルは、その出力の大小や性能で値段が変わります。
参考までに覚えておいてください。
パネルは20枚程度を連なって使用します。
1枚の値段は、10万円~20万円程度ですが、1枚で売ることはほとんどありません。
まとめて、買うことで割安になります。
ソーラーパネルのメーカー比較
太陽光発電のメーカーは国内外ともに増え、選択肢が広がっています。
予算や目的に応じて選ぶようにしましょう。
ここでは、ソーラーパネルのメーカーをいくつか紹介します。
- パナソニック
25年の長期保証や品質など、信頼と実績のある、安心できるメーカーです。 - 三菱電機
堅実な印象のある国内メーカーで、国内生産にこだわっています。 - シャープ
50年以上、太陽電池の研究開発を行っているため、高品質な製品をそろえています。 - サンテックパワー
中国拠点のメーカーで、高い水準のパネルを低価格で提供しています。 - カナディアンソーラー
安価で信頼性の高いメーカーとしてシェアを広げている、カナダ拠点のメーカーです。
メーカー別ソーラーパネルの特徴
メーカーごとに製品の強みが違いますので、それぞれのメーカーの代表的なものをいくつか紹介します。
特徴を知って、どんなパネルを選ぶべきか考えてみましょう。
- 東芝
アメリカのサンパワー社と提携を結んでおり、高い変換効率のパネルを使用しています。さらに、バックコンタクト方式によって、さらに発電効率を高めています。 - パナソニック
「太陽光パネルは熱に弱い」という弱点を克服した、パナソニックHITが高品質で人気です。 - 京セラ
太陽光パネルの種類が豊富で、設置後のきれいさが群を抜いているサムライシリーズがあります。パネルの軽さも特徴です。 - カナディアンソーラー
国内メーカーのものと比べて割安で、コスパが高いです。保険会社による二重保証もついて安心です。 - ソーラーフロンティア
国内で生産されたパネルは高性能ながら値段が抑えられています。広い屋根のある家向きです。
2017年度パワーコンディショナーの平均価格
パワーコンディショナー(パワコン)とは、発電された電気を使用できる形に変換する機器のことです。
パワコンの価格は、最大出力、変換効率、設置場所などで変わります。
設置するソーラーパネルに合わせて選びましょう。
パワーコンディショナーの価格
パワーコンディショナーの価格は、出力の大きいものから小さいもので違いはありますが、約20万円~40万円の間です。
屋内に設置するものと屋外に設置するものでの値段の違いがあります。
パワーコンディショナーの選び方
パワーコンディショナーを選ぶときには、発電量を左右するポイントとして、変換効率、最大定格出力、MMPT機能の3要素が重要です。
変換効率とはモジュールから送られてきた直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する際に、どれほど無駄なく変換できるかという効率のことです。変換効率は一般的に、95%前後となっています。
最大定格出力が、太陽光発電システムの出力量(kW)より大きく下回っていると、その性能を十分に発揮できないため、注意が必要です。
MMPT機能とは「最大電力店追従機能」の略です。
電圧と電流が不安定なモジュールをコントロールし、常に最大の電力出力が出せるポイントを探す機能となっています。
パワーコンディショナーのメーカー比較・特徴
基本的に、パワーコンディショナーはソーラーパネルと同じメーカーを選ぶとトラブルが少ないですが、メーカーによってさまざまな特徴があるため、いくつか紹介します。
- 三菱電機
変換効率だけで比較すると、もっとも高い水準である97.5%のパワコンを誇ります。そのぶん価格が高めです。 - シャープ
パワコンが、マルチストリング方式で昇圧機能と接続箱を内蔵しているため、別途接続箱を買うコストの削減や、省スペースであるためにパネルを多く設置できる利点があります。 - 京セラ
軽くて小さく、駆動音も静かです。
2017年度蓄電池の平均価格
太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、太陽光の売電量を増やせるほか、夜間などの発電できない時間帯の電気をカバーできるようになります。
蓄電池の価格
蓄電池の価格はいかがでしょう?
蓄電池の価格は、蓄電できる容量、充放電回数、すなわち寿命により大幅に変わってきます。
安いものでも約100万円、高いものになれば400万円にもおよびます。
一般的な家庭であれば200万円前後のものが基準となります。
太陽光発電における蓄電池には、補助金を出す自治体がほとんどです。
東京都で言えば、さまざまな条件で変化はするものの満額で24万円の補助金を受けられます。
蓄電池の選び方
蓄電池を選ぶにあたって、比較する点がいくつかあります。
まず、ライフスタイルに合わせた蓄電容量とサイズを事前に調べることが大切です。
また、本体価格のほかに設置費用もかかるため、確認しましょう。
充放電回数、すなわち寿命もチェックしておきたい項目です。
保証されている回数を超えると容量が減ります。
さらに、太陽光発電と併用できない蓄電池もあるため、使えるかどうかも重要なポイントとなります。
最後に、メーカーによって保証内容は違います。
期間と内容をきちんとチェックし、もしものときに備えましょう。
蓄電池のメーカー比較・特徴
- 京セラ
蓄電容量が大きいのが特徴です。10年保証を打ち出した、業界の先駆けでもあります。 - シャープ
8000回の充放電を繰り返しても70%の容量を維持できるなど、寿命が長い製品を提供しています。 - パナソニック
商品ラインナップが豊富で、サイズや容量を目的に合わせて選べます。
太陽光発電システム費用の推移
太陽光発電システムは、気軽に買うには難しい金額です。
しかし、1993年のシステム費用が370万円/kWだった過去と比べてみると、価格が下がってきている傾向にあります。
2016年の費用推移はどうだったのでしょうか。
太陽光発電普及拡大センターによると、システム費用の推移は以下の通りです。
2016年全体での平均価格 36.7万円/kW
期間(2016年) | 全体平均 | 新築設置 | 既築設置 |
1~3月期 | 36.5万円/kW | 35.4万円/kW | 37.4万円/kW |
4~6月期 | 36.8万円/kW | 35.1万円/kW | 38.9万円/kW |
7~9月期 | 36.3万円/kW | 35.4万円/kW | 37.6万円/kW |
全体として2016年内の価格変動に大きなものはありません。
しかし、1993年のシステム費用の10分の1まで価格が抑えられていることがわかります。
今後さらに初期費用が安くなるのを待つべき?
2017年度の売電価格は、2016年度より3円/kWh下がります。
すでに2019年度の売電価格が発表されており、業界全体が値下げに取り組んでいくことになります。
もともと、売電制度は太陽光発電を普及させるために始まったものであり、太陽光パネルの価格が下がって導入しやすくなった今、売電価格が下がるのは当然のことです。
今年度中に設置するのと来年度以降に設置するのでは、売電による利益の額に差が出ます。
そのため、設置を検討している方は、早めの導入をおすすめします。
太陽光発電システムは設置費用がかかっても回収しやすい
これからの太陽光発電システムは、自家発電によって電気を買わなくてすむようにし、余った電気を売るというモデルが当たり前の世の中になっていきます。
早めに設置をすることで、売電価格も高い水準を維持できます。
太陽光発電システムを利用して、経済的な生活を送ってはいかがでしょうか?
- 太陽光発電システムは1kWあたりの価格を目安に選ぶ
- メーカーには特長があり、ライフスタイルにあわせて選ぶのが良い
- 基本的には、パネル、パワコンは同じメーカーのものを使う
- 初期費用が下がって設置しやすくなったが、売電価格も下がっている
- 太陽光発電システムは経済的