2016年4月の電力自由化によって、従来は居住区域と対応する電力会社としか契約できなかった電気が自由に選択できるようになりました。
たとえば関西電力エリアでも、大手の一般電気事業者ではなく新規参入してきた小売電気事業者のサービスが気に入れば契約を見直すことが可能です。
しかし具体的に「どれだけ電気料金が安くなるのか」「どんなサービスがあるのか」わからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、電力自由化の仕組みとメリット・デメリットについて解説します。
関西電力エリアの範囲って?
関西電力エリアには、近畿地方2府4県が含まれています。
具体的には、以下の地域です。
- 京都府
- 大阪府
- 滋賀県
- 赤穂市福浦を除く兵庫県
- 奈良県
- 和歌山県
- 三方郡美浜町以西の福井県
- 熊野市以南の三重県
- 岐阜県不破郡関ケ原町の一部
関西電力のエリアは日本の国土のおよそ8%にしか過ぎません。
しかし、そこには日本の総人口の17%に相当する約2,000万人が住んでいます。
日本の国内総生産の16%を占める経済活動が行われ、それはオーストラリアの国内総生産に匹敵する規模です。
関西電力の主要電力系統は福井県にある3基の原子力発電所です。
そのほか水力発電所・火力発電所なども擁しています。
日本すべての電力会社の中で、関西電力の販売電力量は全体の16%という高い水準を誇っているのです。
電力自由化で選べる電力会社は?
これまでは電気というのは最寄りの電力会社と契約するのが当然で、電力市場は自然独占といえる状況でした。
しかし2016年4月に電力自由化が施行されたことにより、電気事業における市場参入規制が緩和されます。
ここには市場競争を導入して、電気料金の引き下げや電気事業における資源を効率的に再配分する目的があります。
具体的には「発電・小売り・送配電」すべてが自由化されました。
電力会社の発電部門と送電部門を切り離す発送電分離によって、自由に競争が行われる環境が整えられたのです。
電気料金プランは100以上
電気事業者一覧をご覧いただくと圧倒されますが、電力自由化によって消費者は100以上の膨大な電力会社を自分のライフスタイルに合わせて選ぶことができるようになりました。
たとえば関西の近畿エリアならば27社85プランを選択可能です。
これまで通り関西電力を使い続けるのも一つの方法ですが、東京電力・四国電力・大阪ガス・eo電気・スマ電などから電気プランを選ぶこともできます。
値段・セット内容・発電方法など自分の好みで選択できるため、メリットが大きくおおむね好評のようです。
主な料金プランの特徴は?
・東京電力
東京電力が関西エリアで提供する「プレミアムプラン」では、これまでの関西電力の従量電灯Aとくらべ、特に月々400kWh以上の使用量がある家庭でお得になります。
・四国電力
毎月の使用量が200kWh以上向けに「ブループラン」、300kWh以上向けに「オリーブプラン」、500kWh以上向けに「オレンジプラン」をそれぞれ用意し使えば使うほどお得になっています。
・スマ電
スマ電が関西電力エリアで提供しているプランには、たとえば「あんしん!スマ得ホームプラン」があります。
これまでの関西電力の従量電灯Aに相当する毎月120kWh以上使用する家庭にお得なプランです。
また、平日夜と土日祝日の電気代がお得になる「がっちり!夜得ホームプラン」や、関西電力の従量電灯Bに相当する事務所・店舗向けの「ショッププラン」などもあります。
・大阪ガス
関西電力の従量電灯Aに相当するベースプランAには、2つのオプションがあります。
「ガスセット割引」では、電気と一緒に大阪ガスのガスを契約することで電気代が1%割引とお得になりますし、「長期2年割引」ならば2年契約をすることで電気代が2%引きになります。
電気料金を比較
ここでは電気料金のポイントを押さえて、電力会社やプランの比較から簡単なシミュレーションをしていきましょう。
電気料金にかかる内容
日本の電気料金の内訳は
- 発電費用
- 送電費用
- 再エネ賦課金(再生エネルギー促進のための負担額)
- 税金
によって構成されています。
総務省家計調査によれば、2011年日本全国の家庭の平均電気量は月額8,188円でした。
家庭毎の平均全消費支出は月額247,223円ですから、そのうちのおよそ3.3%を占めていることがわかります。
基本料金(または最低料金)+電気料金単価×電気使用量で比較
電気料金の請求はこちらの計算式でおおよその金額を算出することができます。
基本料金(または最低料金) + 電気料金単価 × 電気使用量 |
それぞれの電力会社や電気料金メニューによって、電気料金がどうなるか比較してみましょう。
・関西電力/従量電灯A
使用量 | 電気料金 |
100kWh | 2,314円 |
250kWh | 6,575円 |
350kWh | 9,704円 |
450kWh | 13,036円 |
650kWh | 19,764円 |
・東京電力/スタンダードX
使用量 | 電気料金 |
100kWh | 2,751円 |
250kWh | 6,456円 |
350kWh | 8,987円 |
450kWh | 11,579円 |
650kWh | 16,763円 |
・四国電力/オリーブプラン
使用量 | 電気料金 |
100kWh | 7,800円 |
250kWh | 7,800円 |
350kWh | 9,315円 |
450kWh | 12,354円 |
650kWh | 18,405円 |
料金を比較してみると毎月使う電気量によって、お得な電力会社やプランが異なることがわかります。
たとえば100kWhの家庭が関西電力から四国電力に乗り換えても5,468円も割高です。
しかし、450kWhならば四国電力のオリーブプランに切り替えれば755円お得になりますし、250kWh以上利用する場合は東京電力のスタンダードXにした方が安くなるといった具合です。
電気の使用量に応じてプランを選ぶこともでき、550kWまでは「スタンダードプラン」、それ以上は「シンプルプラン」に切り替えることも可能です。
250kWh使用するなら東京電力、100kWh未満ならば関西電力のままが無難といったところでしょう。
おすすめの電気会社3選
関西電力エリアで契約可能なおすすめの電気会社を紹介します。
eo電気
関西電力エリアで、ケイ・オプティコムによるインターネット接続サービスの「eo光」を利用している人ならば誰でも契約することができます。
eo光ネット・eo光電話・eo光テレビなどと電気料金を一本化できるので大変便利です。
「シンプルプラン」が従量制ではなく、1kWhあたりの固定単価が設定されているため、あまり電気を使わない家庭ならばお得にすませることができます。
auでんき
通信会社大手のKDDIが提供しています。
auのスマートフォンや携帯電話を契約していることが契約条件です。
「でんきMプラン」「でんきLプラン」では、電気代に応じたau WALLETへのキャッシュバックがある「auでんきセット割」もあり大変お得になっています。
また「auでんきアプリ」を利用して電気使用量を確認したり、電気料金予測を見たりすることができるため、無駄遣いをセーブすることもできそうです。
ソフトバンクでんき
東京電力エナジーパートナーが電気を供給し、通信大手会社ソフトバンクが販売を行っています。
日中に在宅している人が多く、比較的電気を使う3~4人家族にお得な「バリュープラン」ならば、関西電力の従量電灯Aと比較して電気代が2年間で29,760円お得になるという大変リーズナブルなプランです。
電気代に応じてT-POINTも貯まるなどの特典もあり、トータルすると3人家族ならば3年間で約30,680円お得になる計算になります。
しかし2017年1月31日に新規受付を停止しているため、受付再開を希望する声が多数寄せられているようです。
このように、新規事業者との契約は定員制で早い者勝ちというケースもあります。
もし気になるプランを見つけたら、なるべく早く契約することをおすすめします。
契約期間と解約条件などを忘れずに確認を
新しく電力会社と契約する際には、月々の平均使用電力を正しく把握して一番お得になるプランを見つけることももちろん大事です。
しかし、同時に契約期間や解約条件を忘れずに確認するようにしなくてはいけません。
プラン名に1年、2年などと付いていなくても、最低契約期間は1年というようなプランは結構あります。
どんなにお得な電気料金メニューでも、途中解約したいとなった場合には多額の違約金が発生する場合もありますから注意が必要です。
サービス提供外への引っ越しで、やむなく解約するような場合には違約金がかからないこともあります。
詳細は相談してみることをおすすめします。
電力会社を選んでお得に電気料金を支払う
電力自由化によって、これまで関西電力エリアだった地域でもさまざまな電力会社を選択できるようになりました。
世帯人数・スマホや光回線契約の有無・生活時間帯・電気使用量などによって家庭ごとに最適となる電気会社やプランは異なりますから、じっくりと比較検討することをおすすめします。
チェックポイントに注意して、自分の生活スタイルに合った電力会社を選んでみてはいかがでしょうか。
- まずは現在の電気使用量を正しく把握することが大切
- 電気使用量によってお得な電力会社・プランは異なるため月ごとだけでなく通年で考えるべき
- 最低契約期間や解約条件・解約料金など電力会社を解約する時のことも視野に入れる必要がある
- 電気料金比較だけではなく、ポイントサービス・通信費割引などトータルで計算してみる