個人年金保険には、いろいろな種類があります。数えきれないくらいの商品から、注目したい商品を厳選して紹介します。
関心を持つ方が多い返戻率に注目して、商品ごとの特徴や強みを見てみましょう。返戻率を実質的に高めてくれる税制面の優遇措置にも注目しました。老後の安定した生活に向けた資産形成の一貫として、一通り理解しておきましょう。
個人年金おすすめ比較ランキング
個人年金と一口に言っても、保険会社ごとにいろいろな商品を扱っています。最適な選択肢は、個々の状況や契約時の年齢によって変わるものです。一般的な話にはなりますが、比較的安心して検討できる商品を比較形式で紹介します。
保険は一旦加入すると、生涯を通してお付き合いすることになるため、自分に合った選択は重要です。保険相談サービスなどを利用すればより具体的なアドバイスをもらえるため、個別プラニングを依頼するのも良いでしょう。
トップ3の特徴と参考返戻率
比較的安心して検討できる個人年金の中から、おすすめしたい商品3つを紹介します。
住友生命 たのしみワンダフル
保険料払込期間が過ぎた後に一定期間とることで、年金額が増額されます。保険料が一定金額以上だと返戻率があがる特徴もあって、まとまった資金を積み立てる場合に適しています。平成29年4月現在の契約例と返戻率のシミュレーションを参考までに見ておきましょう。
<< 住友生命 たのしみワンダフル 契約例 >>
契約年齢20歳・60歳払込満了
月払い保険料 1.5万円
65歳から10年の確定年金で受け取り
→年金受取総額778.8万円 ※参考返戻率約108.1%
払込保険料総額は、1.5万円×12×40年で720万円と計算できます。これを5年間据え置き、65歳から10年間の確定年金にて支給を受けると、年金受取総額778.8万円になる見込みです。参考返戻率は778.8万円÷720万円×100で約108.1%と計算されます。
返戻金が高めに設定されている分、保険加入者の死亡に対する給付は控えめです。既払込保険料相当額を死亡時点での配当金と一緒に支払います。年金受取期間に入ってから死亡したら、年金支給が継続される仕組みです。
明治安田生命 年金かけはし
月額6,000円から加入できて、契約時に年金受取額を固定できる商品です。医師の検査や告知なく契約できるため、既往症がある方も契約できます。若いうちにはじめるほど返戻率が高くなって、資産運用上は有利です。返戻率を高めるため、保険料払込期間中の被保険者死亡に対する給付が控えめになっています。契約途中にもしものことがあれば、未払い年金の現価を死亡給付金として支給する仕組みです。
<<明治安田生命 年金かけはし 契約例 >>
契約年齢20歳・60歳払込満了
月払い保険料 1万円
65歳から10年の確定年金で受け取り
→年金受取総額約449万円 ※参考返戻率約107%
払込保険料総額は、1万円×12×40年で420万円と計算できます。これを5年間据え置き、65歳から10年間の確定年金で受け取ることを考えると年金受取総額449万円になる見込みです。参考返戻率は449万円÷420万円×100で約107%と計算できます。
太陽生命 個人年金保険
太陽生命の保険プランは、生命保険や医療保険、個人年金を掛け合わせて加入するスタイルがメインです。保険関係を全てまとめて見直し、整理しておきたい方には便利です。他の保険との兼ね合いで個人年金保険単体でのシミュレーションは行いにくい商品ですが、一般的な生命保険会社が提供している商品相当の返戻率になるものと考えられます。保険関係を一元管理することで、自分に万が一のことがあったときも安心です。請求漏れが起こりにくく、遺された家族にとってのメリットは大きくなります。
個人年金は返戻率(利率)だけで良い?
返戻率と合わせて確認したいポイントとして、税金の優遇措置と支払い方法があげられます。何年間にも渡っておつきあいする保険商品だからこそ、より有利と考えられる商品を選択しましょう。
税金の優遇措置
個人年金の保険料は、所得控除の対象とされます。生命保険料控除として所得から差し引きされて、税金を安くしてくれる仕組みです。生命保険料控除では、生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を別々に計算します。生命保険料に対する金額の上限にあたる契約をしている方でも、個人年金保険料は別枠扱いにされるところがポイントです。
税金の優遇措置を受けられる個人年金保険には、個人年金保険料税制適格特約がついています。節税を兼ねて保険商品に加入する場合は、特約の付加情報を確認しましょう。節税効果まで考慮すると、返戻率より大きな資産運用効果が期待できることが分かります。保険料払込期間は、最高4万円の所得税控除と最高2万8,000円の住民税控除。年間最大6万8,000円だけ得することを考えると、効率的な資産運用手段と言えます。
支払い方法
一時払いを選択した場合、支払いをした年度しか優遇措置を受けられません。単純な返戻率に関して言えば有利になる支払い方法ですが、総合的に考えると結論は変わってきます。一般的には、コツコツ保険料を支払って、節税効果を最大にする方法が王道です。長い目で見たときにどうすれば自分にとってのメリットが大きくなるのか、よく考えて選択します。
個人年金の返戻率の推移
個人年金の返戻率は、契約時の年齢によっても変わってきます。生命保険で、契約年齢によって基準保険金額が変わっていくのと同様です。具体的な数字を交えつつ、返戻率の推移を見ていきます。
月払い個人年金の年齢別の返戻率の差
月払い個人年金の場合、若いうちにスタートするほど返戻率は高くなります。たとえば、ランキングで紹介した明治安田生命年金かけはしを使って、シミュレーションしてみます。男性の据え置き期間なし、月掛け保険料1万5,000円にて計算すると、以下のようになりました。
契約年齢 20歳 : 返戻率 106.3%
契約年齢 30歳 : 返戻率 105.2%
契約年齢 40歳 : 返戻率 103.0%
契約年齢 50歳 : 返戻率 101.9%
20歳ではじめるのと50歳ではじめるのでは、5%近くも差がつきます。30年分の税制優遇まで考慮したら、もっと大きな差になるはずです。なるべく有利な契約を考えるなら、早いうちからコツコツ貯める商品が適しています。商品によってはもっと大きな差がつくこともあって、年齢に合わせた保険選びが求められます。
一時払い個人年金の年齢別の返戻率の差
一時払い個人年金は、さらに大きな差がつくのが通常です。個人年金保険単体での利回りを何より重視して考えるとしたら、なるべく若いうちに一時払い契約をする方法も検討されます。ただし、長期的視点で考えたインフレリスクは考慮しましょう。
利回りを上回るレベルのインフレが起こった場合、実質的には元本割れしている状態です。個人年金に限ったことではなく、契約時に利回りを固定するリスクはあります。将来的な見通しを慎重に考慮して、マネープランニングを進めてください。
高い利回りなら太陽光発電もおすすめ
個人年金保険を単純な資産運用手段として見た場合、支払保険料に対する利回りを物足りなく感じる方もいるはずです。もっと高い利回りを期待するなら、太陽光発電投資を検討できます。
1口10万円からで高い運用利回りが期待できる
2017年4月に募集を開始した太陽光投資ファンドの目標利回りは5%。個人年金保険で運用するケースと比較して、高い利回りが期待されます。太陽光投資ファンドは、1口10万円など小額単位で資金を募る仕組みです。出資者から集めたお金で太陽光発電システムを設置、システムに対する賃貸料と売却利益から分配を受けます。
運用利回りはさることながら、安定性も魅力です。再生エネルギーに対する固定価格買取制度を利用することにより、20年スパンの安定した利回りが期待されます。固定価格買取制度とは、太陽光など再生可能エネルギーを使って産み出された電気を決まった値段で売却できる仕組みです。国の後押しも追い風となり、今後の安定した需要が見込まれます。
天候のリスクを考慮しリアルタイムで発電量を確認することも可能
自然エネルギーを対象にした投資なので、日照条件や天候に左右されます。遠方の太陽光発電システムに投資すると、本当に稼働しているのか不安を感じる方もいるでしょう。そんなときに活用したい制度がリアルタイムの情報発信システムです。ファンド募集を行っている会社によっては、ライブ映像や天候状態、発電量などを確認できる仕組みがあります。
天候リスクを回避するため、投資先を厳選するのも一案です。年間通して安定した日照量が期待される地域に投資すると、期待利回りが安定しやすいメリットがあります。ファンドの説明や特色をよく読んで、地政学的な優位性の見極めが重要です。
自分のライフスタイルに合わせた資産運用の検討を
自分に合った商品を選ばないと、支払保険料に見合うだけのメリットを得にくくなります。個人年金保険は、できる限りリスクを抑えて老後の資金準備をしたい方にとっては有効な選択肢になるものです。
反面で、積極的な資産形成手段としては控えめな利回りに落ち着いています。リスクとリターンは、表裏一体の関係です。元本保証に近い特性を持つ保険では、利回りが低く設定されやすいのは当然でしょう。太陽光発電のように他の投資商品も含めて比較検討することにより、効率的な運用を目指していきます。
・返戻率以外に税制面でのメリットやライフプランをふまえたうえで、総合的な判断が必要。
・積極的な資産運用手段として資金を投入する場合は、太陽光発電投資を検討したい。