公式ブログ

所得税控除が可能?個人年金で掛かる税金・雑所得の計算方法

太陽光発電

国民年金とはまた違う「個人年金保険」という年金があることはご存知でしょうか。老後の備えが国民年金だけでは不安だと感じている人が増えている昨今、個人年金保険が注目されています。

 

ところで、個人年金保険にはどのような種類があるのでしょうか。また、生命保険料控除と同じように所得税控除や住民税控除は受けられるのでしょうか。

 

そこで今回は、契約前に押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。

 

個人年金ってなに?

どんなに有効な商品でも、具体的な内容がわからなければ手が伸びないものです。まずは個人年金のシステムについてお伝えしていきます。

 

普通の年金と違うの?

 

個人年金保険とは、ある一定の年齢になったら受け取ることができる貯蓄型の年金のことです。老後資金としてだけではなく、教育資金・住宅資金として利用されることもあります。いずれにしろ、個人年金保険は保険の一種であることに変わりはありません。

 

一般的に「年金」といえば国民年金を指すことが多いかもしれませんが、こちらは全国民の加入が義務となっている公的年金制度です。混同されがちですが、個人年金は民間の保険会社が販売している保険商品の一種なので国民年金とは違います。

 

国民年金は20歳以上が強制加入となり、決められた年齢を迎えることで受け取りが可能な老齢基礎年金、障害を持ったら受け取ることができる障害基礎年金、本人死亡時に遺族が受け取ることができる遺族基礎年金などがあります。

 

個人年金にも2種類ある

 

個人年金は運用方法の違いで2つに分けることができます。特徴を理解し、どちらか適したほうを選択しましょう。

 

【 定額年金 】

契約時点の予定利率で積立運用をするタイプを「定額年金」と呼びます。たとえ受け取り時に景気が大きく変動していたとしても、予定通りの金額を受け取ることになります。

 

そのため、今後も金利動向が変わらない、もしくはデフレ傾向が進んだ場合にメリットの大きい運用方法です。ただし、逆にインフレが進んだ場合は現金の価値が下がるためリスクがあります。

 

【 変額年金 】

定額年金と違って運用実績によって将来もらえる年金額が決まるタイプの年金です。

 

貯蓄や保険というより投資に近い性質があり、実績が不調であれば年金額は支払った保険料の合計を下回る可能性もあります。将来の備えとしてコツコツ貯めておきたい方よりも、ある程度まとまった金額を預けておきたいという方におすすめです。

 

個人年金の受取金額に税金がかかる?

個人年金の受取金額には税金がかかります。どのようにして税額が決まるのかは、保険料負担者である「契約者」と年金を受け取る「年金受取人」が誰なのかというのがポイントになってくるので注意しましょう。

 

たとえば契約者・被保険者・年金受取人が同一ならば、所得税のみが課せられることになります。ところが契約者と被保険者が同一人物で、年金受取人が違う場合には初年度は贈与税、2年目以降は所得税を課せられます。

 

契約者と年金受取人が異なると、たとえそれが夫婦であっても大きな贈与税がかかるリスクがあります。そのため、基本的に契約者と年金受取人は同一人物にしておくことをおすすめします。

 

契約者と年金受取人が同じ場合は「雑所得」として課税

続いて、年金を受け取った場合の注意点について解説していきます。

 

雑所得の計算式

 

雑所得は契約者と年金受取人が同じならば「総収入金額-必要経費=雑所得」という計算式で求められます。たとえば年金受取開始年齢60歳で年金受取期間10年間、年金年額86万円、保険料総額720万円という契約をしているAさんの例を見てみましょう。

 

Aさんは30歳から60歳まで毎月2万円の保険料を払い込み、60歳から70歳まで年間86万円の年金を受け取ることができる年金を契約しています。

 

現在、Aさんは無職で年金以外の収入はありません。総収入額は今年の年金額86万円、必要経費は払込保険料のうち今年の年金額に対する金額に相当する72万円になります。したがって雑所得は「86万円-72万円=14万円」です。

 

雑所得が25万円未満の場合は源泉徴収されません。したがってAさんのケースでは基礎控除38万円の範囲内ということになり所得税は不要です。しかし、年金の他に収入があり、雑所得が25万円を越えるようならばその10.21%を所得税として源泉徴収を行うことになるのです。

 

総収入に含まれるもの

 

総収入とは、収入から必要経費などを引く前の収入の合計金額のことです。給与所得者の場合は1年間の給与等の総額になり、給与所得控除を引く前の金額になります。

 

年金の他に収入がある場合には必ず総収入に加算しなければいけない点に注意しましょう。

 

個人年金の掛金は必要経費として計算

この項では、個人年金の必要経費について説明します。

 

必要経費の計算式

 

個人年金の掛金は必要経費として計上できますが意外と周知されていません。

計算式はこちらです。

 

【 必要経費=1年間に受け取る年金額×(払込保険料の合計÷年金の総支給額) 】

 

総支給額は年金の種類によって異なるので注意しましょう。

 

確定年金の場合

 

確定年金の総支給額は「年金額×年金が支払われる期間」という計算式で必要経費が算出されます。

 

保証期間付終身年金の場合

 

保証期間付終身年金の場合、必要経費は「年金額×余命年数」です。

 

確定年金の雑所得の計算例

たとえば契約者と年金受取人を同一として、60歳から10年間を受取期間として年金金額35万円、払込保険料の合計290万円の確定年金を契約しているBさんの例を見てみましょう。

 

この場合の必要経費は「35万円×(290万円÷(35万×10年))=29万円」が必要経費となります。したがって雑所得は「35万円-29万円=6万円」です。

 

このように確定年金を始めとした個人年金保険は年金から差し引くことができる必要経費が大きめなので、雑所得も小さくなり所得税が発生しにくくなっています。

 

10年保証期間付終身年金の計算例

契約者と年金受取人が同一で、55歳から一生涯受け取ることができる10年保証期間付の年金を契約しているCさんの例を見てみましょう。Cさんの年金年額は45万円、保険料払込合計金額は950万円になっています。

 

保証期間付終身年金の場合、余命を何年として計算するかが問題になってきます。所得税法施行令82条の3で基準とされている余命は、55歳時点で男性23年、女性27年となっています。

 

つまり、55歳でCさんの年金の受け取りが始まった時には、余命が27年として計算されます。必要経費は45万円×(950万円÷(45万円×27年))=35万円ということになります。

 

個人年金保険にかかる所得税は以上のように計算されますが、一定の条件を満たした個人年金保険料を支払っていると所得税や住民税が安くなることもあります。

 

個人年金保険控除によって所得税率10%の人ならば6,800円ほど、20%の人では10,800円ほどの節税効果を見込めます。年額はさほど大きくないように思えるかもしれませんが、30年間で見た場合10%の人で約20万円、20%の人で約32万円の節税です。全体で見れば決して小さな額ではありません。

 

個人年金保険控除は平成24年に改正され、所得税・住民税とも控除金額が新しくなりました。所得税の控除対象はこちらの通りです。

 

・年間支払保険料が20,000円以下ならば総額

・20,000円~40,000円ならば(支払保険料等×1/2)+10,000円

・40,000円~80,000円ならば(支払保険料等×1/2)+20,000円

・80,000円以上ならば一律40,000円

 

一方、住民税は年間支払保険料の控除対象はこちらの通りです。

 

・12,000円以下ならば総額

・12,000円~32,000円ならば(支払保険料等×1/2)+6,000円

・32,000円~56,000円ならば(支払保険料等×1/4)+14,000円

・56,000円以上ならば一律28,000円

 

ただし平成23年12月31日以前の契約に関しては旧制度の適用となり、年間支払保険料の設定がやや高めになっている点に注意してください。

 

個人年金保険は特に利回りが高いわけでもなく、将来にわたって利率が固定されているのでインフレ時に対応できない等のリスクもあります。個人年金保険料控除を利用しなければ貯蓄商品としての魅力が半減するといっても過言ではありません。

 

節税できる金額を積立の利息と考えればメリットは大いにあるといえるでしょう。この利点を活かすためにも途中解約は回避したいところです。長年にわたって無理なく支払い続けることができるプランにすることをおすすめします。

 

個人年金は所得税控除を活用しよう

国民年金の破綻も心配されている中、個人年金保険への注目は年々高まっています。しかし、そのメリットを最大限に活かすには所得税や個人年金保険控除について正しく理解する必要があるといえるでしょう。

 

生命保険料控除証明書を受け取って個人年金控除を活用すれば、社会保険料と同じく総所得から差し引かれて所得税や住民税の軽減になります。また、半年払や年払いの場合、月払保険料よりも負担する保険料が少なくて済みます。

 

個人年金保険はタイプによって特徴が異なります。定額年金・変額年金とそれぞれの特徴を正しく理解してから契約するように心掛けてください。

まとめ
・個人年金は貯蓄型の年金で保険の一種
・個人年金には所得税がかかり契約者と受取人が違う場合はさらに贈与税がかかる
・掛金は必要経費として計上し税金が控除される

最新情報を受け取る

ブログでは書いていない太陽光発電の情報などもFaceBookページで発信しています。ぜひ、「いいね!」をお願いします。