再生可能エネルギーの固定買取価格制度により、電力の売電価格は一定になりながらも年々単価の減額が進んでいます。
再生可能エネルギーが普及し太陽光発電導入の際のコストも軽減されたため、今後も売電価格は下がり続けるでしょう。
そんな売電価格の低下が確実視されるなか、2017年度から太陽光発電をはじめた場合でもメリットはあるのでしょうか。
今回はこれから太陽光発電を導入して利益を出すために気を付けたい点や、売電価格における注意点などをご紹介します。
太陽光発電の売電単価はいつ決定している?
太陽光発電を導入し、発電した電力を電力会社に買い取ってもらうことのできる仕組みを売電といいます。
この売電単価は、電力会社との売電契約(接続契約)が完了した時点で決定しています。
太陽光発電を設置しようと決定してから、実際に運転開始になるまでには様々な手続きが必要となり、実際に契約が締結するまで何ヵ月もの期間を要します。
現在の売電価格は経済産業省が開く専門家をあつめた調達価格等算定委員会の話し合いなどを参考に決められ、固定買取価格制度により、その年の4月を年度初めとして価格が決定されています。
その金額は年々減額されているため、自身の設置した太陽光発電設備手続きは早めに行って年度内に調達価格を決定させたほうが良いでしょう。
太陽光発電の売電単価の推移
太陽光発電の売電単価は基本的に毎年推移しています。
この項では、具体的な価格の推移と固定価格買い取り制度の影響について見ていきます。
2017年までの売電単価一覧
2017年までの余剰売電の売電単価は以下の通りです。
年度 | 売電単価 出力制御対応機器の設置義務あり |
売電単価 出力制御対応機器の設置義務なし |
2010年 | 48円 | 48円 |
2011年 | 42円 | 42円 |
2012年 | 42円 | 42円 |
2013年 | 38円 | 38円 |
2014年 | 37円 | 37円 |
2015年 | 35円 | 33円 |
2016年 | 33円 | 31円 |
2017年 | 30円 | 28円 |
2012年の固定価格買取制度で産業用の普及が増える
2012年より、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度」がスタートしました。
年々深刻化する環境破壊を受けて、二酸化炭素の排出抑制を促進させ、クリーンでエコな再生可能エネルギーの普及を目指すことが目的です。
この制度は、10kW以上の産業用太陽光発電の場合、発電したすべての電力を買い取らなければなりません。
これを全量買い取りと言います。
全量買い取りの場合、売電契約をした時点から20年間同じ価格での買い取りとなります。
長期的に安定した収益が見込めて収益性の高い事業であるため、産業用の太陽光発電は短期間で広く普及していきました。
2015年に売電単価確定のタイミングが変わった?
太陽光発電での売電価格が決定するタイミングは、2015年以前は、「電力会社に接続契約を申請した時点」で決定していましたが、2015年以降は、「電力会社と接続契約が締結した時点」での決定に変更となっています。
事業用太陽光発電設備の導入は、設置から運転開始までの期間が長期に渡ってしまうことがほとんどです。
現在、太陽光パネルなどの設備の低価格化が進んでいるため、接続契約申請を行っている間に建設コストが下がり、低価格で太陽光発電を導入して、高価格で売電する事態が発生してしまいます。
本来低価格での売電を行うべきところの差額の負担は、国民への賦課金となるため、このような事態を避けるために、接続契約締結完了時の売電価格決定にタイミングが変更されました。
売電単価が「接続契約」になった影響
売電契約を結ぶには設備認定が必要です。
申請から接続契約まで2か月ほどかかることもありますが、どのような流れかを見てみましょう。
設備認定と売電契約の流れ
太陽光発電設備を導入したあと、売電を行うためには、資源エネルギー庁より設備認定を受ける必要があります。
国の要件を満たした太陽光発電設備であることを証明するためです。
約1か月の期間を経て設備認定を受けたあと、認定通知書の写しを電力会社に提出し、接続契約の申し込みを行います。
契約開始日程を決めるのに1か月から2か月かかり、その後、施工業者と電力会社、所有者の立ち会いのもと申請内容に間違いがないか確認し、契約締結となります。
電力会社の接続契約のタイミング
接続契約は、太陽光発電設備を設置し、設備認定を受けたあとではじめて申請可能となります。
設備認定の申請から認定までに約1か月、その後接続契約の締結までに1か月から2か月要する場合もあるので、余裕を持ったスケジュール組みを行いましょう。
売電単価決定のためにすべき手続き
太陽光発電で利益を得る場合、年度内の接続契約締結が大切です。
急いで契約を結ぶために申請の流れを確認しておきましょう。
3月末までに完了すべきもの
太陽光発電での売電で利益を得る場合、最も重要なのが「年度内に接続契約まで締結すること」です。
固定価格買い取り制度は年々減額されているため、1年でも早く太陽光発電を導入し、売電価格を決定する必要があります。
ですので、年度末にあたる3月末までには、接続契約を締結させる必要があります。
1月末までに設備認定を申請
3月末までに接続契約を締結させるためには、接続契約の申請に必要な設備申請を1月末ごろまでに行う必要があります。
設備認定後、電力会社に接続申請を行ってから、受理に約1週間、締結には混雑時で約2か月かかることもあります。
特に、年度末までの締結を目指す業者は多数見受けられますので、早めの準備が肝心です。
11月末までに見積もりを
太陽光発電設備の施工には約2か月かかります。
売電価格を年度内の価格で決定させたいのであれば、3月末の接続締結から逆算して、11月末までには見積もりを行っておきましょう。
一括見積もりを行ってくれる業者があれば、あらかじめお願いしておくとよいです。
買取期間について
再生可能エネルギーの普及に向け、固定価格買取制度が導入されました。
制度の概要について見てみましょう。
固定買取制度とは?
2012年から開始された固定価格買取制度は、再生可能エネルギーの普及を目的としてはじめられ、設備の設置費用の低コスト化に伴い、その売電価格は年々引き下げられています。
制度の施行より3年間は、再生可能エネルギー事業を普及させるために、高単価に設定されていましたが、その後は普及も広がったことから減隠されることが明言されていました。
この固定価格買取制度は、出力制御対応機器の設置義務の有無で価格が異なります。
設置量10kW未満と10kW以上で異なる
固定価格買取制度は、太陽光発電設備の発電量によって異なります。
10kW未満の住宅用設備と、10kW以上の事業用設備の2種類で分けられます。
2017年度の売電価格は、10kW未満で28円(出力制御なし)、30円(出力制御なし)であるのに対し、10kW以上の事業用は21円となっています。
さらに、一度決定した売電価格が継続となる期間も、10kW未満は10年、10kW.以上は20年と期間に差があります。
2017年以降太陽光発電を導入するにあたって
2019年になると、余剰電力の買取期間終了が訪れる太陽光発電システムが出てきます。
また、さまざまな注意点があることを覚えておきましょう。
産業用は必ず電力会社が新規買取を中止していないか確認する
近年、地方の主要電力会社が、新規申し込み分の電力の買い取りを中断しているケースが増えてきました。
これは、10kW未満の住宅用太陽光発電設備の場合には適応されませんが、10kW.以上の発電量となる産業用太陽光発電設備の場合には、適応となります。
産業用発電設備はその初期費用が高額になるため、売電での利益が非常に重要となります。
太陽光発電を導入したあとに、売電契約を締結しようと考えていた電力会社が、電力の買い取りを中断していた、ということがないように、事前に確認しておきましょう。
設備や条件が揃ったらすみやかに導入を
再生可能エネルギーの固定価格買取制度による売電価格は、年々減額されています。
毎年1円から2円の値下げが行われており、今後もさらに値下げが続くことは確実です。
太陽光発電の設備や条件が整ったら、年度内の売電契約を結び、売電価格がなるべく高いうちに決定されるよう準備を急ぎましょう。
一度決定した売電価格の調達期間は、住宅用なら10年、産業用なら20年です。
少しでも早い契約締結が利益を生むカギとなります。
太陽光発電を導入するなら行動は早めに
電力の売電価格は、年々低価格化が進んでいます。
太陽光パネルの低価格化で設備費用が削減できることから、今後も売電単価は下がり続けることでしょう。
さらに、売電単価の決定は、電力会社との接続契約が締結した時点に変更となり、以前よりも遅い時点での決定となりました。
これらを受け、これから太陽光発電を導入する場合は、一刻も早い売電単価の決定が重要になります。
現時点で決定された売電単価よりも高額になることはほとんど考えにくいので、太陽光発電の設置準備が整い次第、すぐに行動に移すことが重要です。
それと同時に、産業用の太陽光発電では売電すら中止している電力会社も存在します。
これから事業用太陽光発電を導入する場合は、設置場所での売電が可能な状態かどうか確認することが必須です。
2017年以降、太陽光発電で目標価格を達成し利益を生み出すには、スピーディーな行動と、売電のこれからを読む力が必要となりそうです。
- 売電価格は電力会社との接続契約締結時に決定となり、以前よりも遅くなった
- 売電単価は年々減額しており、今後も下がり続けることは明らかである
- 売電で利益を生み出すには、年度内の接続契約締結を目指すべき
- 太陽光発電の導入準備が整い次第、早めの行動が重要となる
- 産業用太陽光発電は、電力会社の電力の買取中止に注意が必要